白の聖女と黝の聖女

白の聖女と黝の聖女



以下の設定を加えています

・ホールの力はかつての武具の持ち主の思いに引っ張られる。

・エクレシアの大槌はドラグマ追放時に剥奪されている。







教導が凶導へと姿を変え、その真の正体を表す。

大地が割れ、白く輝く教導国家は破滅を嗤う劇場の舞台に生まれ変わった。


ホールが次々と開き、異形達が蠢き始める。

悲劇のデスピアン、喜劇のデスピアン達がわらわらと湧き出していった。


クケケケケケケケ!

キャハハハハハハ!

エヘヘヘヘヘヘヘ!


不気味な笑い声が烙印劇城デスピアに響き渡る。

そしてホールの力で出現したのはデスピアン達ではない。

デスピアン-クエリティス

かつて教導の騎士 フルルドリスの着ていた神器たち、その成れの果ての姿である。


次々と「デスピア化」が進行していくなか、ある神器もホールの力によってその姿を変えようとしていた。


大槌、教導の聖女エクレシアの武器である。


かつてエクレシアはアルバスの落胤を巡って教導国家ドラグマから追放処分を受けていた。

追放後、使っていた大槌は剥奪され、新たなる使い手が現れるその時まで保管庫に封印されるはずだった。


大槌にホールからの力が流れ込み、浸透し、染み渡る。そして生まれた「意志」が目覚めた。


目覚めた「意志」は持ち主の思いの残滓を見た。


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『貴方、名前がないの?じゃあ、私が付けてあげますね!』

『ええっと…』

『貴方はアルバス。真っ白を意味するアルバスです!』

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アル…バス…?

そうか、私の前の持ち主はアルバスという少年を…


そこには純粋で美しい慈愛があった。

いく先のない1人の人間を包み込む、温かい気持ち。


これらを核として黒い力がカタチを成していく。

それはかの聖女に酷似したものだった。

これを以って、本来存在し得ない、新たなるデスピアンが起動する。


「黝き聖女 エクレシア」


黝きエクレシアは背中から異形の羽を広げ、自分の意志で飛び立つ。

自分を形作る一つである、アルバスという少年に会いに行くために。



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エクレシアとアルバス一行は妖目の相剣師であるフルルドリスの案内の元、相剣達の住まう秘境「大霊峰相剣門」を目指していた。


長い道のりの途中の街で一晩を過ごすことになった。


「はあー、今日も歩いて疲れましたね!アルバス君はお変わりないですか?」

「大丈夫だよ、エクレシア。これくらいのことは慣れたよ。」


アルバスとエクレシアは同じ屋根の下、言葉を交わした。2人はそれぞれの寝室の前で別れる。


「「おやすみなさい」」






ガチャガチャ


丑三つ時、アルバスは窓が開く音がして目が覚めた。

眠い目を擦り、薄目を開けて窓に落ちる影を見る。

「エクレシアか…?」


「はい、貴方がアルバス君ですね。こんばんは、アルバス君。」

「エクレシアなのか…?嫌、君は…」


アルバスはエクレシアによく似た人物を見る。

全体的に黒い色調の服、深い蒼の刺繍。

そして深淵のように、見ているものを引き込むような黒い瞳。


君はエクレシアじゃないな、と言おうとしたがそれは叶わない。

いつの間にか黝いエクレシアはアルバスを布団の上に押し倒して見下ろしていた。


「白い私はこの子を溺愛していたのね…私も『エクレシア』なんだから嫉妬しちゃうわ。」


突然の出来事と情報量で頭がパンクしているアルバスをよそに、黝いエクレシアは言葉を続ける。


「黒い龍の子、私が貰っちゃおうかしら」

黝いエクレシアの吐息がアルバスの顔に微かにかかる。

顔が真っ赤に染まるアルバス。

黝いエクレシアがアルバスに顔を近づけようとしたその時


バァン!


ドアが強く開かれる。

ホールの異常な力を感知したエクレシアがアルバスの元に駆けつけたのだ。


「アルバス君!大丈夫ですか!?」


エクレシアは布団の上でアルバスに絡む、エクレシアの形をした者に驚きながらも最大級の警戒をする。


「何者ですか!アルバス君から離れなさい!」

「あら、白い私じゃない。今からアルバス君と楽しい夜にしようと思ったのに。無粋じゃない。」

「エ、エクレシアが…2人…?」


混乱するアルバスを尻目に2人の聖女は睨み合う。


「アルバス君は私のモノにしちゃうって決めたの。白い私には帰って貰うわ。」

「ななな、何を言ってるんですか!?貴女こそ穢らわしい手でアルバス君に触れないでください!」


「まあいいわ、白は放っておきましょ。ね?アルバス君?」


そう言ってアルバスに跨り、体を絡ませる黝いエクレシア。

気づけばアルバスの口は黝いエクレシアのキスで塞がれていた。


んっ、ふぅ、むぅぅ……っ


甘い舌遣いでアルバスの理性を溶かしていく。

エクレシアならこんな事はしないとわかっていながらも巧みなキスでアルバスの思考が鈍る。


「アルバス君!ダメッ!こっちを見て!」

思わずエクレシアが横から腕を組み、割り込む形で耳を舐める。


2人の聖女から奉仕されるという背徳的な状況でアルバスは本来の思考もままならない。


「エッ、エクレシアぁ…」


「アルバス君、気持ちいいですか?

 ふふっ、相性は抜群なのは嬉しいですよ♡

 もっとマーキングしちゃおうかしら」


カチャカチャとベルトとズボンを脱がされる。


黝いエクレシアはアルバスの肉棒を自身の穴に挿し込む。

トロトロに蕩けたアルバスの瞳が2人のエクレシアのストッパーを壊していく。


「アルバス君が私の中に…!嬉しいな…!」

「アルバス君!私がエクレシアですよ!偽物の私に騙されないでください!」


エクレシアは服を脱ぎ、アルバスにわざと押し当てながら口を塞ぐ。上の柔らかい感触の暴力と、下からの圧倒的な快楽のコンビネーションでアルバスの理性は限界に近づいていく。


部屋に複数の水音が響く中、アルバスは絶頂を迎えた。


「あっあっあっ…!でっ出る…!」

「〜〜〜〜〜っ!

 初めてをアルバス君にあげちゃった♡」

「アルバス君!アルバス君!」


「白い私よりも先に頂きました。もちろん避妊なんてしてないですよ?えへへ、アルバス君♡」


その言葉でエクレシアは黝い自分を押し退け、アルバスに抱きついた。


「アルバス君は他の人には渡しませんから…」


エクレシアの心の声が漏れる。それを聞くアルバス。

潤んだ目で見つめてくるアルバスをエクレシアは見つめる。


「他の人にも、黝い私にも渡しません…!」


エクレシアは溢れる感情を抑えられず、アルバスに覆い被さる。

「アルバス君、私、貴方が大好きだから…

 どこにも行かないでっ…」


黝いエクレシアの誘うようにねっとりとした行為とは違い、昂る感情の勢いのままにエクレシアはアルバスを抱く。


「アルバス君一緒にイきましょう!愛してる!」

「エクレシアぁ!」


ぢゅぷ、ちゅ、くちゅっ、じゅぷ、ちゅうっ……


「ふぅぅぅっ♡んぅ、く、ひぁぁぁぁ……♡」


慈愛を超えた純粋な異性としての愛が2人を包み、共に落ちていく。


「ふぇ……んむっ!?んぅぅーっ♡♡ふ、あぅうッ♡♡♡♡♡」


「一緒ですよ?これからどこまでもずっと!アルバス君!」


「「あああああ♡♡♡♡♡」」






「私が相手してた時は朦朧としてたのに、白の私だと意識があるなんて、アルバス君はあっちがいいのかしら。嫉妬しちゃうわ。ますますアルバス君が欲しくなっちゃうじゃない。」


むぅっと膨れる黝いエクレシア。


エクレシアと体を重ね合ったアルバスに「次は私」と言わんばかりに黝い聖女が入れ替わる。








彼が果てるまで2人の聖女によるアルバスの奪い合いは終わらず、夜が明けるまでこの喜劇は続く。

舞台となった宿の一部屋には一晩中甘くも淫らな音が響き渡っていた。







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