痴漢

痴漢


ガタンゴトン ガタンゴトン ガタンゴトン ガタンゴトン ガタンゴトン……

驚いている間に、背後から痴漢の指が千早の尻を鷲摑みにした。

「あぅっ」

思わず声が出る。

周囲のサラリーマンたちが一瞬ぎょろりとこちらを見たが、誰も何も言わなかった。

電車は揺れる。振動と車内の温度でじわじわと汗が噴き出す。

「は、はなして、ください……っ このひと、痴漢で……っ」

何が起きているのか分からない。

千早は混乱しながら、周囲の男達に呼びかけるが、返事はなかった。

代わりに、別の男達の腕が伸びてきて千早のスカートの留め具を背後から外した。

「なっ、えっ」

スカートが足元にずり落ちてしまう、混乱しながら助けを求めて周囲を見回す。

周囲の男たちの目は、みんな爛々と輝く欲望の視線で千早を見ていた。

「はなっ、はなせっ、この、こんなことしてっ、警察に突き出すぞっ」

千早はひきつった声を男達に向けるが、男達は嗤うだけ。

そのまま下着をずり下ろされる。

「ひっ……やっ、やめろっ、だれかぁっ!!」

必死に叫ぶが誰も助けてくれない。

それどころか周囲の男たちの手が伸びてきて千早の身体に触れる。

「やっ、やだっ、やだぁっ」

千早は首を振りながら泣きわめくが誰も助けてくれない。

男の手が尻肉を割り開いて、排泄のための穴を露出させる。

「やだぁっ!いやっ!やめてぇぇっ!」

上着を背後からずり上げられて、膨らんできた乳房が先端まで晒される。

足が開かされて、誰にも見せたことのない割れ目に触れられる。

スマホを取りだした男は、警察に通報するでもなく千早の痴態を撮影していた。

ガタンゴトン ガタンゴトン ガタンゴトン ガタンゴトン ガタンゴトン……


「ひっ……く、もぉやめ、てぇ……」

千早はひくひくと泣きじゃくりながら哀願する。

もうずっと電車に揺られている。

(つぎの駅で降りたら駅員さんに、警察とかに連絡してもらおう)

最初は痴漢にそんなことを思う余裕があったけれど。

一時間近く電車に乗らされたころにはもう、そんなことを考える余力はなかった。

男の手が無遠慮に身体を這い回り続けたせいで身体はぐったり疲れているし、周囲から送られてくる視線はねっとりといやらしくて。

「もう、許してよぉ……」

千早は泣きじゃくりながらひくひくと肩を震わせる。

(……あ……)

ガタガタという振動とともに電車が止まる。空気の抜ける音がして扉が開かれる。

到着駅はイマイチ分からなかったが、ここから降りれば少なくともこのおぞましい痴漢からは解放されるはずで。

「……お、おりましゅ」

呂律の回らない口調で千早は小さく呟くとふらふらと立ち上がる。

周囲の男たちもニヤニヤと嗤いながら千早を見送る。

「あ……っ」

よろけた拍子に後ろから押されて、小さく悲鳴を上げながら転げるように降りた。

ジワリと、秘所が湿る感触にピクリと震える。

また、痴漢されるの?と泣きそうになりながら顔を上げると。

扉が閉まり、無情にも扉は閉まる。

背後でゆっくりと動き出した車体が完全に見えなくなるまで見送ると、千早はようやくほっと息をつくことができた。


そうして、気が付くと、千早は一人きりでまだ遊園地の迷路の中。

床に這いつくばって受けた辱めに身を震わせているのだった。

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