疼きを鎮める怒り

疼きを鎮める怒り


薄着になって縁側で風を浴びていると、足音が響く。


「ライズハート様!」


「どうしたオーガ、騒がしいぞ」


赤い巨躯を持つオーガの手の中に、俺に付きまとう人魚の小娘がいる。

普段のやかましさは鳴りを潜め、荒く息を繰り返す。


「何があったか教えろ」


「はっ。いつものようにメイルゥ殿が来たのですが、既に熱に浮かされてこのような状態でして……」


全くあの人魚共は何をしているのだ。わざわざこんな所まで来るような事でもあるまい。

しかしこれを放っておいても目覚めが悪そうだ。確かこいつらの長女はヴィサスと共にいるし、何かの役に立つかもしれん。


「オーガ、そいつを俺の寝室に連れていけ。ユニコーン!水と……団子でも準備しておけ」


「かしこまりました」


ユニコーンを呼び出し、オーガと共に寝室へ向かう。

敷いた布団の上に寝かされた小娘は俺の姿を認めると笑顔を浮かべる。

その表情はいつもと同じようで、妙な色っぽさを感じさせるものだった


「わぁ、うえさまだぁ……」


「そんな状態でここまで来れるから心配はしてなかったが、元気そうだな」


「ひどいー……」


「何があったか言えるなら言ってみろ、聞いてやらんことも無い」


「えっとね、ハゥフニスちゃんがね……」


聞けば他の人魚があの恐怖の王と交わる所を見たのだと言う。それから身体が熱に浮かされて落ち着かず、何とか俺の元まで来たと小娘は言った。


「それで、俺にどうしろと?」


答えは分かり切っているが聞くしかなかった。予想が外れることを祈るが現実は無情で──


「うえさまに、抱いてほしいなって……」


予想通りの答えが返ってきた。


「貴様はそれで良いのか。他の人魚共に話せば良かっただろう」


まだ終わっていない。ここからこの小娘を追い出す手段はあるはずだ。

しかし奴は首を弱々しく横に振り、それを否定する。


「やだ……うえさまがいい……」


熱に浮かされている癖に、あの強い意志を持った瞳が俺を見つめる。

しかしここで負ける訳にはいかない。こちらにその気はないのだ。


「俺に貴様を抱く理由はない」


これは俺にとって当たり前の事だ。色恋沙汰に巻き込まれるつもりもない。

しかしこのままでは、底の見えない大海に引きずり込まれてしまうだろう。

よろよろと小娘が起き上がり、俺に近寄って来る。


「わたしがそうして欲しいから……」


胸元に倒れ込んでくる奴を突き放す事が出来ず、受け止める。

潤んだ瞳が俺の顔を映す。


「うえさま……わたしのこと、ハゥフニスちゃんみたいにして……?」


「ライズハート様、言われた物をお持ちしま……失礼しました、こちらに置いておきます」


どうするか悩んでいると後ろで襖が開き、ユニコーンが入口の傍に盆を置く。

言い訳をする暇もなく奴は姿を消した。


「おい待て、勘違いするな!!」


まずい、アレは完全に勘違いされている。

今出て行ってもユニコーンに追い返されるだろう。

小娘が熱っぽい息を吐きながら更に擦り寄ってくる。


「ねぇ……うえさま、おねがい……」


「くそっ」


どうあがいても逃れられない状況になった。諦めて小娘を布団の上に寝かせるとその胸に触れる。

初めて触れる柔らかい感触に昂りそうな気持ちを抑え、痛くないようにしながら反応を確認する。


「ん……きもちいいよ、うえさま……」


「そうか」


優しく胸に触れる度にぴくぴくと動く小娘を観察していると、物足りないと言いたげな視線に気づく。

服の上からでも分かる突起に指で触れ、それをゆっくりと押し潰す。


「あっ、そこもっ……きもちい……」


単調な動きでは飽きるだろうと思い、指の腹で撫でたり、時折摘み上げると良い反応を示す。

どうにかしなければいけない焦りなのか、初めて触れる女体に対する興奮なのか。俺の身体が熱くなっていくのを感じる。


「うえさま、下も……触って」


胸だけではまだ足りないようで、自らスカートをたくし上げる。

そこには薄手の白い下着があり、既に染みが出来ていた。

濡れたそこに触れると小娘が声を上げ、身体が跳ねる。


「んっ、あぁ……きもちいいよぅ……」


甘い声が部屋に響き、それが俺の理性を削り取る。

指でそこを擦る度に、小娘の声が高くなる。


「ねっ……うえさま、ちゃんとさわって……」


言われるままに濡れた下着を脱がせて、ぴっちりと閉じた小娘のそこにゆっくりと指を入れる。

きつく指が締め付けられ、くちゅりと湿った音が俺の手から漏れ出る。


「んぁっ……はぁ、んっ……」


狭い中で指を僅かに動かせば、それに合わせて小娘も腰を揺らす。

指を更に奥へと入れれば、さらに締め付けがきつくなる。


「そこっ、もっと……」


ある一点に触れた時、小娘が一際高い声を上げて身体を震わせた。

何度もそこを刺激し続けると、中から蜜が溢れ出る。


「なにか、きちゃう……!」


声を上げながら身体を仰け反らせ、指が締め付けられる。どうやら軽く達したようだ。

少し休憩をさせる為に指を引き抜こうとすると、小娘が腰を動かしてそれを制止する。


「やぁ……ぬかないでぇ……」


「わかった、落ち着くまでこのままでいてやる」


「んっ……はぁ……」


息を整える間も指が締め付けられる。今まで一度も経験したことがないその感覚に俺も段々と余裕が無くなっていく。

小娘の呼吸がある程度落ち着いたところで、落ち着く為に指を抜く。


「んっ……」


まるで名残を惜しむかのように、指の先に蜜が糸を引く。

指を確認すれば、白濁した液体が付いていた。


「上様……わたしばっかりじゃだめだよ……」


「おいっ……」


落ち着いた小娘が起き上がり俺の服に手をかける。


「どうしたら良いか、教えて……?」


そう言って服を脱がされ、仕方なく裸になると小娘が何か言いたげにそこを見つめる。


「これ、入るかな……?」


「無理をするな」


「無理じゃないもん……おねがい、上様……」


俺に向かって伸ばされた手を掴み、指を絡ませて小娘を布団に縫い付ける。

そしてその上に覆い被さると自分の腰を動かし、俺の肉棒を小娘の割れ目に擦り付けた。

濡れた音を立てながら何度かそれを繰り返していると、そこが俺の物を中へ飲み込もうと動く。

少しづつ腰を進めると、中へ進む度に締め付けられる。

半分ほど入ったところで何かに引っかかる。


「おい、これは……」


「ん……上様なら、良いよ……」


その言葉を聞き、最後まで一気に奥まで入れた。繋がった場所から赤い血が流れ、布団を濡らす。


「はぁ……いたい……」


痛みで涙を浮かべる小娘の頬に触れると、その手に擦り寄るように顔を当ててくる。


「上様、動いていいよ……」


「まだ痛むだろう」


「ちょっと、だけ……でも、一緒に気持ち良くなりたいよぅ……」


その言葉と熱っぽい瞳に俺の理性が溶かされそうになる。しかし、ここで流される訳にはいかない。


「もう少し待て」


「いじわる……」


しばらくして奴の腰を手で押さえ、少し腰を引いてから、奥を突くようにゆっくりと動かし始める。

徐々に速度を上げていくと、それに合わせて小娘の声も再び甘い声に変わっていく。


「あっ……んぁっ!はぁっ……!」


乱れた小娘の姿と声が、俺の身体に熱をもたらす。


「やだ、へんだよぅ……おくにひびくのっ、きもちいぃ……」


動き出した事で理性が飛びかけているのか、呂律の回らない声で喘ぐ。


「ずっとっ、きもちよくて……おかしくなっちゃう……!」


小娘を揺さぶる度にその声が大きくなる。もう痛みは感じていないようで、俺の腰に脚を絡ませてきた。

奥を突く度に中が締め付けられる感覚と、肉同士がぶつかる音が響く。

そしてそれに混じって聞こえる水音が行為の激しさを表しているようだった。


「あぅ、あっ、んんっ……!!」


「はっ……くっ……」


限界が近づき、動きを激しくしてしまう。中の締め付けも強くなり、向こうも果てそうなのだろう。


「んぁ……うえさまっ、もう……」


「っ……あぁ」


とどめと言わんばかりに奥を突くと、一際高い声を上げて身体を震わせる。

中が締め付けられて、俺も中に精を放つ。

荒くなった呼吸を整えながら小娘の様子を見ると寝息を立てている。


「はぁ……」


射精したことで熱が引き、冷静さを取り戻す。

俺は何故こんなことをしてしまったのだろうか。

とりあえず、色々と片付けをしなければ……

萎えた肉棒が抜け、血と精液が混ざったものが零れる。


「これは洗って何とかなるか……?」


汗も流したい。布団の処理は奴らに任せるか。


「ユニコーン!」


「お呼びですか、ライズハート様」


襖の向こうから声がする。まさかずっとそこに居たのか?


「事が終わるまで離れておりました」


「心を読むな!俺は小娘を風呂に入れる。その間に掃除しておけ」


「御意」


準備を整え、役に立つとは言い難い小娘の服を着せてその身体を抱きかかえる。

風呂場に着くと、腕の中で眠る小娘を揺すって起こす。

ゆっくりと瞼が開き、その瞳が俺を見る。


「起きろ、小娘。風呂だ」


「ぅん……上様?」


奴は覚醒した後周りを見回す。その後先程の出来事を思い出したのか、顔を赤らめて俯く。

動きたくないかもしれないが、このままではお互い困る。

下ろしてやると服を脱いで浴室へ行こうとして、止まる。


「一緒に……」


「早くしろ」


呼ばれたなら仕方ない。同じように裸になると背中を押して入るように促した。

浴室に置かれた椅子に小娘を座らせて、頭から湯をかけると湯船に入れるとそれに続く。


「お湯、あったかい……」


「湯船で寝るなよ」


「溺れないからだいじょーぶ……」


「寝たら置いて行くぞ」


「それは駄目!」

閉じかけていた目を開くと、こちらに倒れてきた。


「おい……」


「寝ないから大丈夫!」


眩しすぎる笑顔を向けられ、目をそらす。


「皆になんて言おうかなー」


その言葉で自分も何をしていたか思い出す。どうしたものか……


「大丈夫、無理矢理されたなんて絶対言わないよ!」


「そうではない……」


今は何も考えないでおくか。そう思いながら2人で風呂から上がって廊下を歩く。


「えへへ……」


俺の手を握りながら歩く小娘の顔はとても幸せそうだった。

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