異常な猛暑が毎年来たらそれはもはや正常だと思うんだよね

異常な猛暑が毎年来たらそれはもはや正常だと思うんだよね


────便利屋事務所にて


「はぁ…暇ね……」


アルがそうこぼす、その姿は、とても社長には見えないほど緩んでいた


「いつものことでしょ、社長」


「うっ…そうだけど…今月の家賃もギリギリね……」


そう、社長とは名ばかり、実際は破綻寸前のペーパーカンパニーレベルであった


「くふふ、私はまたテントとか廃墟でもいいよ〜?」


「いやよ…今年の暑さでそれは死ぬわ……でも依頼が来ないことには……」


そう頭を悩ませていた時だった


「あの…アル様…」

社員の一人、ハルカが帰ってきた


「あらハルカ、おかえり…最近暑いのにどこに行ってるの?」


「アル様、実は……あれ?…」 バタッ


突如ハルカの視界がゆらぎ、真っ暗になる


「え、ハルカ!?ハルカ!!」


「ちょ!?ハルカちゃん!」


「っ……!ハルカ!?」


ハルカが急に倒れた、よく見ると服は土でかすかに汚れている


「ムツキ、急いで先生に連絡して!」


「うん、わかった!!」


急なことで事務所が騒然となる 


そして1時間後




────うん、もう大丈夫、多分熱中症だ…水分取ってしばらく休ませれば良いと思う"


「よかった…急に倒れるものだから…」


先生に来てもらい、ひとまずは無事らしく社員達は安堵する


"にしても、ハルカが倒れたって聞いた時はびっくりしたよ"


「ええ……最近良く外に出ていたから…それで」


"この時期は気をつけてね、今年は記録的な猛暑らしいから"


そうこう話をしていた時


「ん?あ…あれ……」

眠っていたハルカが起きた


"やぁ、目が冷めたかい"


「え…!?なんで、先生がここに……!?」

ハルカは目覚めたばかりで、少々取り乱した様子だった


"落ち着いてハルカ、君が熱中症で倒れて、私はアル達に呼ばれたんだ"


「わ、私の…せいで先生と、アル様にもご迷惑を……」


"大丈夫だよ、それに熱中症は放っておけば死に至る可能性もある、                  そんな状態の生徒を放っておけないよ"


先生は優しい声でなだめ、説明する


「ハルカ…そのとおりよ……いまは休んでちょうだい……」

アルが涙目になりながら言う


「そういえばハルカ、社長になにか言おうとしてなかった?」


「そういえばいってたね、何だったの?」


「え…ああそれは……」


「あ、アル様……このお金…使ってください……!」


そう言ってハルカは少し汚れたバッグから封筒に入ったお金を渡す

ぱっと見、20万はあるだろう


「「「「!?」」」」


社員たちに衝撃が走る


「え……!?ハルカ、このお金どこで」


「え…えへ……アル様のために、バイトを掛け持ちして」


次の瞬間、社員たちと先生はハルカを全力で抱きしめていた


「あなたまた……ごめんなさいね、社員にこんな……!」


「あ、え……な、なんでアル様があやまって……!?」


「ハルカ……」


「ハルカちゃん……」


"ハルカ……"


「な、なんですか……?」


その後、ハルカは一人で頑張りすぎた罰と称してしばらく

撫でられる抱きつかれるの幸せ漬けに処された








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