異世界転生アウラム

異世界転生アウラム


名前はアウラム、それ以外はわからない、自分がどこか遠い場所にいたことと何か大切なものを忘れているという漠然とした感覚だけが残っていた

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「晴れててよかったね~、絶好のデート日和って感じで」

「デートならいつもしてますよね」

「まあ、それはそうなんだけど」

アウラムとマスカレーナは手を繋いで繁華街を歩いていた

アウラムにとってマスカレーナは恩人であり、この世界について右も左もわからなかった自分が今こうして生きていられるのは彼女がいたからに他ならない

なぜここまでしてくれるのか、そう尋ねると「なんか君ってほっとけないんだよね~、一人にしたらどこまでもいっちゃいそうで」と笑うだけだった

「マスカレーナさんもしかしてここって」

繁華街とはいうが実のところ建物の大半はホテルである、アウラムはデートを重ねることでそれが何を意味するのかをなんとなくだが理解していた

「な~に~、恥ずかしいの?」

からかうように笑うマスカレーナに視線を逸らすアウラムの顔は赤くなっていた

「堂々としてればいいんだよ、わたしたちはカップルなんだから」

「いや、だけど…」

マスカレーナの誘いは嬉しい、だが心の奥底にある罪悪感ようなものがそれを拒む、なにかを裏切っているそんな気がしてならないからだ

「え…?アウラムくんは私とじゃ…いや?」

男を試すような少しわざとらしい振る舞い

それにアウラムは慌てて弁解した

「ち、違います!僕だってマスカレーナさんと一緒にいたいと思ってます!」

アウラムは覚悟を決めた、彼女を悲しませたくないそれも紛れもない本心であった

「もう~冗談だって、イジワルなこといってごめんね、じゃあ入ろっか」

「じゃあ、私のおごりね」

マスカレーナはいつもそういってデート等の代金を支払う

現在のアウラムは職場を持ち、収入もある、だからお世話になったぶん対価を払うべきだそう申し出ても「アウラムくんとはそういう関係でいたくないの」そういってそれを受け入れることはなかったからだ

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浴室でシャワーを浴びながら二人は抱き合い何度も唇を合わせた

「はぁ…アウラム…くんっ」

マスカレーナの貪るような接吻はどこまでも貪欲で限りがない、それに対してアウラムの動きは少なく、彼女の欲望を受け止めることに専念していた

「マスカレーナさん、そろそろのぼせそうですし一旦上がりませんか?」

「…うん」

マスカレーナはどこか物足りないといった視線を向けるもアウラムの言葉に従い濡れた身体を拭いて浴室をあとにする

ベッドに腰を掛けるやいなやマスカレーナはアウラムの肉棒を自身の口内に咥え込む

「そんな、いきなり」

「らっへ、ガマンできないもん」

マスカレーナの口奉仕まさに百戦錬磨でアウラムの欲望を的確に刺激する

「アウラムくん…」

それに加えて剥き出しの好意をぶつけられればどんな男でも敵わないだろう

だが自分を抑えて耐えていた

「ねえアウラムくん、ガマンしてるでしょ?ほんとはもっと乱暴にしたいでしょ?」

「…そんなことは」

「あのね、アウラムくんはいつも優しくて、私を受け止めてくれる、でもいつも何かを抱えててそれがなにかも教えてくれないそれがつらいの」

「それを…私には…いえない?」

今度は試してなどいない紛れもないマスカレーナの本心だった

「…僕は、…怖いんだよ」

アウラム絞り出すように声を出した

「僕はマスカレーナさんのことが好きだ、幸せにしたいと思ってるでも、」

「僕にはそれを保証できない」

「僕は自分が何者でなにをしてきたかさえわからない」

「だからすべてを知ったときこのままでいられるかわからない、それで君を傷つけてしまうかもしれない…それが怖いんだ」

「……………」

マスカレーナは少し押し黙ると、やがて決意したかのように口を開く

「じゃあこう考えてみない、今の君は過去のことを全部なかったことにして私を愛するの、それでもし記憶が戻ったらこのままでいるか、私のことを忘れるか好きに決めればいい」

「そんなの!都合が良すぎるよ!」

「それでいいのよ、私は好きでもない男に身体を売ったことだってある、私はもとから都合のいい女なのよ」

言葉は軽い、だが声は震えている、だからこそアウラムも決意する彼女のすべてを受け入れると

「僕は我慢をやめます、それでマスカレーナさんに酷いことするかもしれない」

「うん」

「でも僕にとってマスカレーナさんは大切な人です、それだけはなにがあっても変わりませんから」

アウラムはマスカレーナに優しくキスをすると再開とばかりに自身の肉棒をマスカレーナの喉奥に突き刺していく

「んっ…んぐっ」

正直息苦しいいだけで気持ちよくなんてない、だがマスカレーナはそれを表にはださない、平気なフリは得意だ、そしてなによりそれは望んだことだから

アウラムもそれを察したのか苦悶の表情を浮かべているがそれと同時にそれでも気丈に振る舞うマスカレーナの姿に被虐心が刺激される

相反する二つの心はわずかに後者が勝りアウラムは動きを止めることはなかった

「うっ……!出るっ……!」

「っ!?んぶっ!」

やがて絶頂を迎えたアウラムは自身の欲望をマスカレーナの口内に吐き出していく

マスカレーナは吐き出されたものを飲み込むと呼吸を整え妖艶な表情をむける

それはアウラムの罪悪感を吹き飛ばし愚息は硬さを取り戻していく

「マスカレーナさんが悪いんですよ僕を煽るようなことをするから」

アウラムは上に覆いかぶさるとマスカレーナの秘部に自らのものを押し当てていく

マスカレーナを強く抱き締るとペースなど考えず激情の赴くままに腰を動かしていく、それはレイプ同然のものだがアウラムに強く求められているという事実はマスカレーナに快楽をもたらしている

「マスカレーナさんっ!マスカレーナさんっ!!」

「あっ……!アウラムくんっ……!もっと!」

二人は互いの名を呼びあいながら同時に果てる

だがそれでもアウラムは治まることはなく二人の情事はマスカレーナが気を失うまでに及んだ

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先に目覚めたのはマスカレーナであった

アウラムは昨日のことが嘘みたいに静かに眠っている

「…ごめん」

無意識に発せられたその言葉は自分へのものではなく思い出せないでいる大切な誰かなのだろうとマスカレーナは考える

自分は泥棒、奪うことに躊躇などしない、必ずや自分のものにしてみせる

マスカレーナは心の中で宣戦布告するのであった

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