甘石幼稚園 そのご

甘石幼稚園 そのご

ホテル案内人

「たくみー!かけたよー!」

「はい、じゃあ見させてもらうね」

ゆいちゃんが描いた絵を見る

そこには真っ白い服を着たゆいちゃん?と…

「これねー!わたしとーたくみのけっこんしき!おっきなケーキもあるんだ〜」

なるほどこれはウェディングケーキか…そしてやっぱりこれはゆいちゃんと俺か…俺は結婚してるけど…此処で夢を壊すのはあまりにも酷いよな…

「そうだね、いつかなれるといいね」

「うん!」

すっごい笑顔だ…まぁ今だけだよな…大きくなったら忘れるよな

「ゆい〜たくみせんせいってけっこんしてるからけっこんできないんじゃないの?」

「えりかちゃん!?」

後ろに並んでいるえりかちゃんがゆいちゃんにマジレスする

「うっ…そ、そんなことしってるもん!だからいまのおくさんよりもわたしをたくみにはすきになってもらうんだから!」

「そんなにうまくいくもんかな〜こどものゆいとおくさんじゃあしょうぶにもならないとおもうよ〜」

「ぐ、ぐぅぅ…」

正論を言うえりかちゃんに言葉を失うゆいちゃん…

「え、えりか…あんまりひとのゆめをひていするのはよくないですよ…」

「そうだよ…それにみらいはどうなるかわからないよ」

つぼみちゃんといつきちゃんがあいだにはいる

「それはそうだけど…じゃあいいかたをかえる!たくみせんせいはいまのおくさんとしょうらいりこんすることはありえるの?」

「え!?」

えりかちゃんはとんでも無い事を言い出した

「だぐみ"…」

泣き顔でこっちをみるゆいちゃん

え…どうしたらいいのこれ…

【パターンA】

「ゆいちゃん…僕は今の奥さんと離婚する気は無いんだ…だから」

「そ、そんな…うえええええん!!」

「あったくみせんせいがゆいちゃんをなかせました!」

「しなだっちいけないんだー!」

ガララ〜

「何の騒ぎですか?いったい…ってゆいちゃん何で泣いてっ」

「セクレトルーせんせー!!だぐみ"があ"ー!だぐみ"があ"ー!!」

「品田先生…あなた…先生ともあろう人が園児を泣かせたんですか…」ゴゴゴゴ

「いや…その…」

「後でお話があります…」ゴゴゴゴ


【パターンB】

「離婚するかもしれないな〜」

「そうなの!?やった!やった!!」

「え!?たくみせんせおくさんとりこんするんですか!?」

「たくみせんせいいまのおくさんよりゆいちゃんをえらぶなんてキラやば〜!」

「りゃくだつってやつルン!これはだいニュースルン!」

「そうとなればさっそくみんなにほうこくだー!」

「ちょ…ちょっと!?」

しばらく経って…

「ねぇ…拓海さん…この前幼稚園に寄った時に偶々聞いちゃったんだけど…私と離婚したい言ったの本当?」

「いや、言ったけどそうじゃなくて…」

「…ごめんね…私じゃ不甲斐ないよね…さよなら拓海さん…」

「の、のどかー!!」



詰んだー!!!

完全に詰んでる…どっちで言っても絶対に碌でも無い事になる…


…………(じー…)


皆んな俺の方見てるし…えっと…

俺の目に入ったのは配り余った紙…そうだ!

俺は紙をとって胸ポケットにしまっている鉛筆で絵を描きはじめる


カリカリカリカリ

「………できた、僕は皆んなの大きくなった時の事は先生として全員応援してるよ」

「じゃ…じゃあ」ぱああああ

「でも僕にも大きくなったら何になりたいかの夢があるんだ…それが…」

俺は鉛筆で描いた絵を皆んなに見せる

「僕は奥さんとはお爺さんお婆さんになってもずっと仲良くしていたい…それが僕の大きくなったらなりたい事です…」

「…そ、そんな」

「だからこれはゆいちゃんと勝負かな」

「しょ…しょうぶ?」

「どっちが夢を叶えられるか僕とゆいちゃんの勝負…きっとゆいちゃんの想いが強ければ僕の夢に勝ってその夢は叶うと思うよ…」

不安そうなゆいちゃんの顔がみるみる笑顔になっていく

「うん!わたしのおもいはたくみにまけないんだから!」

いつもの笑顔なゆいちゃんに戻った…あー良かった…

「えっと…ゆい…」

「えりかちゃん…」

「ごめんなさい…ちょっといいすぎちゃった」

「…ううん!だいじょうぶ!もうきにしてないよ!えりかちゃんもおおきくなったときのゆめがかなうといいね!」

「う、うん!」

「まったくえりかはひとさわがせですね」

「めでたしだね」

2人も仲直りして…つぼみちゃんといつきちゃんもうんうんと頷いている…皆んな根は良い子なんだよなぁ


「た、たくみせんせい!かいてないですけどわたしもおもいつよいですから!」

「わたしもつよいルン!」

ましろちゃんとララちゃんがそう言うが…どう言う事だ…


「………」

「ちゆちーはいかなくていいの〜?」

「ひ、ひなた!?」


補足

園児達と話す時の拓海先生は一人称を僕にしてるよ!


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