甘えん坊極まるナギサ様
「~〜〜っ···疲れましたぁ···」
いやぁ、本当に疲れました···大体自業自得とはいえ、連日の徹夜作業はクるものがあります···
私、桐藤ナギサはある人物に会うために告解室に来ています。別にその人に罪を聞いてもらいたい訳ではなく、甘えたいから来ているんですけれどね。
(居てくれると、いいのだけれど···)
期待半分、不安半分でドアをノックします。コン、コン、コンと音が鳴った後、間を置かずに返事が聞こえてきました。···良かった、居てくれた···
「失礼します、サクラコさん」
「ナギサさん!?珍しいですね、此処を訪ねるなんて」
そう、私が会いたかった相手はシスターフッドの長、歌住サクラコさん。あの日以降、こうして会うようになった人です。···彼女が相手だと存分に甘えられる。ということで
「今日もお願いしても良いですか?」
と聞くとサクラコさんはくすりと笑いながら「えぇ、もちろんです」と答えてくれましt「ただ···」···?
「此処だとあれですので、場所を変えましょう」
―――――――――
―――あれから少しだけ移動したあたりでサクラコさんが、「はい、どうぞ」と言いながら腕を広げてくれたので遠慮なく抱き着くことにします。―――あぁ、やっぱり落ち着きますね、なんて思っているとサクラコさんが徐ろに私の顔を持ち上げます。0距離で見つめ合う形になるのでちょっと恥ずかしいです···
「酷いクマ···眠れていないんですか?」
「っ···えぇ、トリニティで起きた騒動の後始末に追われていましたから···ほぼ自業自得なんですが、ね」
「あぁそれで···それはナギサさんが悪いですよ。生徒達をあんなに昇天させたらこうもなります」
「私はただ、甘えようとしただけなのに···」
「ミネ団長も言っていましたが、ナギサさんのハグ···もとい甘えるはとんでもない劇薬ですからね。仕方がないですよ」
なんてことを言うのでしょう、思い出したく無かったのに。これには流石の私も怒ります。マカロンがあったら口の中にぶち込んでいたところです。代わりに翼でベシベシと叩く事にします。ちょっとだけ悲鳴が聞こえますが知りません。
···そういえば彼女、あの日からドンドン温かくなっていってるんですよね···思い立ったが吉日です。
「サクラコさん。甘えるついでにもう一つ、お願いしてもいいですか?」
――――――――――
「フフフッ♪」
「············」
私達は仮眠室に来ています。こうやって一緒に寝てもらえば、私の欲求を一気に満たせるという訳でs「ナギサさん?」
「?何でしょう?」
「どうして私は抱き枕にされてるんですか?」
「仕方がないでしょう?私にとって、これが一番良いんですから。貴女だって、この後の予定が無いから来てくれたんでしょう?」
「確かに今日の予定はありませんし、丁度仮眠を取ろうと思っていたので」
「なら好都合でしょう?」
「でも抱き枕にするのはどうかと思いますよ」
「抱き返してくれてる癖に何を言ってるんですか」
「ゔっ」
「大体、サクラコさんが温かいのが悪いんです。観念して私に付き合ってください」
「それってどういう···ひぅ!?」
私は[話は終わりだ]と言わんばかりにサクラコさんの胸元に顔を埋めます。···本当に温かくて、心地よいんですよね、彼女。「こんなに甘えん坊になっちゃって···」なんてボヤきが聞こえてきますが気にせずに顔を押し付けます。
「きっと、貴女の温もりが移っちゃったんですよ」
彼女の呟きに思わず顔を上げると、穏やかな笑みを浮かべた、サクラコさんの綺麗な、赤い眼が
あぁ、駄目だ。私、だらしない顔してる。でも、仕方ありませんよね、それだけ安心出来るんですもの。
だからこれは、あったかくて、ほっとできる、サクラコさんのせい。
いっきに、ねむたくなってきたのも、サクラコさんのぬくもりにあてられたせい。
それは彼女もおなじだったようで。
「「―――ふぁ···」」
全くおなじタイミングでの欠伸でびっくりしたのか、またおなじタイミングでキョトンとして
それが可笑しくなって、ふたりしてクスクスとわらいあって
そうして、ひとしきり笑ったあと、お互いの額をくっつけあわせて
「ねましょっか」
「そうですね。おやすみなさい、サクラコさん」
「えぇ、おやすみなさい、ナギサさん」
わたしたちは、ふたりなかよく、すやすやとねむりについたのでした