甘い折檻(後編)
mob全身から血の気が引くのを感じる。
先ほどまで体を支配していた興奮と快楽はどこかに隠れ、恐怖に支配される。
スレッタとの約束を破った、スレッタにバレた、スレッタに嫌われるかもしれない・・・
震える私に、しかしスレッタは優しい笑顔のまま話しかける。
「・・・もう、大丈夫ですって、我慢できないくらいでミオリネさんを嫌いになったりしませんよ」
抱きしめ、撫でて宥めてくれるスレッタに体を預けると、彼女の香りが鼻腔を擽る。
溜まりに溜まった性欲も、焦燥感も、彼女の甘い香りに溶かされて・・・
「でもやっぱり、お仕置きがあった方がいいと思うんですよね」
意識が現実に引き戻される。
『・・・す、すれった?』
「はじめはご褒美しか設定してなかったですけど、ミオリネさん、きっとお仕置きがあった方が次も頑張れると思うんですよ!」
笑顔のまま、目だけが笑っていないスレッタが、私に顔を近づける。
「許してほしかったら、おしおき、わかりますよね?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『ぁあ゛♥ あ゛♥ うぁ・・あ♥』
じっとりと濡れた背中を抱きしめられる。
どれほどこうしていただろうか、目隠しをされ、甘い拷問を受け続けている私には、最早時間の感覚は存在していなかった。
裸に剥かれ、両手を胸の前で拘束され、目隠しをされ。
身体全体でスレッタの感触と、匂いと、声に包まれ続け・・・それでも私は絶頂できずにいた。
「ミオリネさぁん♥ 声がさっきよりトロトロになってきてますよ・・・♥」
『すれった・・・すれったぁ♥』
「可愛い声を出してもダメですよ・・・これはおしおきなんですから♥・・・ぢゅる、ぢゅぼぉ♥」
笑い声、次いで水音ともに耳孔に暖かな感触。
スレッタの舌だ、と理解すると同時、敏感になっている事項を思うさま蹂躙される。
ぬめる舌に舐られる快感に、思わず体を逃がそうとする。 しかし、当然のように逆側の耳を塞ぐ形で頭部を押さえつけられ、抵抗することも許されない。
じゅる、んぢゅ・・・ぢゅぽ、じゅるるっ♥
逆耳を塞がれたことで頭のなかを反響する水音に、自分がいまスレッタの玩具にされているのだと自覚してしまい、興奮が掻き立てられる。
逃げたくても逃げられない快感に、無意識にへこへこと動く腰。 しかし、咎めるようにスレッタに下腹部を押し込まれ、かすかな逃避すら快感に結び付けられてしまう。
『う・・・あ゛っあああっ♥』
「ミオリネさんの子宮、押さえられただけでゾクゾクって・・・♥ もうちょっと押してみましょうか、それ、ぎゅーっ♥ ぎゅーっ♥」
『ッ♥♥♥♥♥♥♥』
下腹部越しに子宮を押し込まれ、スレッタに教え込まれた子宮快楽が想起される。
きゅんきゅんと膣が収縮し、粘つく蜜がとろとろと溢れ出す。それでも・・・
「ミオリネさんもうイっちゃうんですか? ・・・ダメ、ですよ?」
手が止まる。あとほんのひと撫でで絶頂というところで、快楽を取り上げられる。
『っ♥ な、んでぇ・・・イかせてよ、すれったぁ』
「だって、これはお仕置きなんですもん♥ いっぱいいっぱい気持ちよくして・・・イく寸前で止めてあげますね?」
天真爛漫な悪魔の微笑みに、一瞬呼吸が止まる。
ひゅっ、という音を了解と取ったのか、お仕置きが再開される。
汗と私の蜜でぬめる手で、スレッタはミオリネという名の楽器を演奏する。
ぐちゅぐちゅ、ぬちゅ、しゅるる、くちゅ
切なげに震える内ももを撫で上げ、腹部を優しく押し込み、へそをほじくり。
耳孔を舌で蹂躙し、口の中を指でかき回し、肩口に噛みつき。
じりじりと弱火で、長い長い拷問のような快楽を経て、しかし絶頂へは導かず。
『・・・も、お、やだぁ♥ きもちいのこわいの、助けてよスレッタっ・・・んぃぃっ♥』
「大丈夫ですよ、ミオリネさん♥ まだまだ気持ちよくして、でもミオリネさんが言わない限り・・・」
壊してなんて、あげませんから♥
スレッタは私以外と肌を重ねたことはない。
私を求め、私を貪り、その身に秘めた淫魔の才を開花させた。
スレッタ・マーキュリーの指は、舌は、体全ては、ミオリネ・レンブランを快楽に狂わせることに特化しているといってもいい。
その才能全てが『決して絶頂に導かない快楽拷問』に注力したとき、その甘い苦痛は如何ほどのものか、私は身をもって味わっていた。
爪の背が真っ赤に充血したラビアの、そのわずか外側を撫ぜられる。腰がカクカクと動き、スレッタの指を熟れ切ったそこに触れさせようとするが、あらかじめ予想していたかのようにスレッタの指は逃れてしまう。
快感で脱力しきった後孔にスレッタの小指が突き刺さる。奥をかき混ぜてほしいのに、第一関節のあたりまでしか挿入してもらえず、つぽつぽと出し入れされて快感だけが蓄積し続ける。
ピン、と天に向かって勃起する乳首には目もくれず、乳輪を優しく優しく周回する。口の端から唾液が零れ落ちる直前、スレッタの舌が私の口内に潜り込み我が物顔で暴れまわった挙句、音を立てて唾液を啜られる。
開かされた口に、スレッタの舌から唾液が垂らされる。甘くすら感じるそれをこくこくと喉を鳴らして飲み下すと、まるで媚薬でも飲まされたように体が熱くなるのを感じる。
ぽろぽろと涙が流れる。
気持ちいい、スレッタの匂い、しあわせ、スレッタが気持ちよくしてくれる、つらい、すれっただいすき、くるしい、すれった、イきたい、たすけて、もっといじめて、おしりも、おっぱいも、おまんこも、もっと、もっと・・・
『すれった・・・わたしをこわして♥』
「よく言えましたね、ミオリネさん・・・ご褒美です♥」
きゅっ、と、紅色になったクリトリスをつままれた瞬間、ぷしゅりと音を立てて、潮を噴きながら私は絶頂した。
全身が硬直し、ぱくぱくと膣口が開閉を繰り返し、あまりの快感に忘我を極めた私に
「それじゃ、ここからは壊れるくらいイかせちゃいますからね♥」
クリトリスを両手で摘まみ、容赦なくこね回すことで、スレッタは応えた。
『あ゛ーっ♥ あ゛ーっ♥ お、お゛お゛っ♥ 』
子宮を押し込まれる。絶頂する。
乳首を摘ままれ、捏ね潰される。絶頂する。
挿入された指が私の膣の弱点を容赦なく削る。潮を噴いて意識が飛ぶ。
二本指が私の後孔を貫き、激しく出し入れされる。意識が戻り、再び深い絶頂を極める。
『すれった♥ もっと♥ もっとこわして、すれったぁ♥』
「ミオリネさんったら、そんなにイきたかったんですね・・・♥ ほら、舌を出してください♥」
『んぅ・・・じゅる、ん、ちゅぅ♥』
舌を絡められ、唾液を混ぜ合わせる。
八重歯を撫ぜられ、吸い出された舌を甘噛みされるだけでイくほどに敏感になった体を、抱きしめられ、まさぐられ
どこからどこまでが絶頂の切れ目か分からなくなっても、スレッタに食べられ続けて。
最早どこまでがお仕置きで、どこまでがただの交わりだったか分からなくなるほどに、私たちはお互いを貪り続けるのであった
「・・・ミオリネさん、次は2週間我慢、してみましょうか」
『却下よ却下! 今回だけで何回死ぬかと思ったか!』
「そんなこと言いながら、表情がとろとろになってますよ?」
『・・・また我慢できなかった時、いっぱいお仕置きしてくれるなら♥』
また私のこと、壊してくれるなら♥