甘い折檻(前編)

甘い折檻(前編)

mob

戯れに切り出された『賭け』

一週間、スレッタが決めたその期間、スレッタは私に指一本触れず、私も快楽を求めることなく。

我慢できればご褒美をあげますよ、とまるで幼子に言い聞かせるような言葉。

私の中の叛骨心が刺激され、売り言葉に買い言葉と条件を飲んだことを後悔したのはその日の夜のこと。


「ふーっ♥ ふーっ♥」


無邪気に、それゆえに容赦なく行われるスレッタの調教によって後戻りできなくなった私の身体は、一晩快楽を与えられていない、それだけで燃え上がるような情欲で狂いそうになる。

スレッタが、触れてくれない。 自分で慰めることも許されない。

じわりじわりと煮詰められていく私を、スレッタは慈母のような瞳で眺め、恋人として愛してくれる。

抱きしめ、宥め、微笑みかけ・・・しかし情欲のみは満たしてくれない。

一日、二日と、ベッドに体を擦り合わせる、自慰とも呼べない稚拙な振る舞いでどうにか耐え忍んでいたが、最終日を目前にして限界を迎え。


「う゛っ♥あ゛ぁっ♥」


ぐちゃぐちゃと、細い指が快感を求めて遠慮なく蜜壺をこね回す。

度重なる愛撫で皮の下に戻ってくれなくなった真珠を擦り、痛むを覚えるほどに勃起した乳首を捏ね潰して。

以前であれば快感よりも痛みを覚えてしまうような、乱雑な自慰、しかし・・・


「なんえ・・・なんでぇ♥」


絶頂が、訪れない。

・・・すでに私の身体は、誰が主なのかをよく知っているのだ。

だから、私の短く、過酷な労働を知らない柔らかい指では、快感を与えられても絶頂できない。

もう私は、あの、労働で少し硬くなった、私より長い指の許可が無ければ絶頂できない身体なのだと、理解させられる。


「・・たぁ♥ すれったぁ♥」


口の端から愛しい人の名前が零れだす。

決して応えてもらえないとわかっているのに、恥知らずにも恋人の名前を呼びながら自慰に耽る。

そんな私の耳に


『呼びましたか?ミオリネさん』


その場にいるはずのない少女の声。

弾かれたように顔を上げる。


『ミオリネさん、私の言いつけを破っちゃいましたね』


咎めるような言葉を、しかし一切気にしていないという風に、可愛らしい顔を嗜虐の笑みで彩って、スレッタは私に告げた。


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