現実改変ペパーTS概念(?)小説 冒頭
スレ主ここはグレープアカデミー。全寮制の学園だ。
そんなアカデミーの生徒が暮らす寮の一部屋で一人の『生徒』が頭を抱えていた。
『生徒』の名前はペパー。
「あぁ……どうしてこうなったんだぜ…?」
ペパーは男として産まれ、そして今まで生きてきたはずなのだが、朝起きて鏡を見たら自分の姿が女性へと変わっていたのだ。
昨日までついていたはずのモノも無くなり、声も高いものへと変化しており、顔つきもどこか丸みを帯びたような感じになっている。
そうしてしばらくの間呆然としていたのだが、時間が経つにつれ段々と現実を受け入れ始めていった。
「まぁ考えてても仕方ないぜ……。とりあえずは皆に相談するしかないよな……」
ペパーはスマホロトムを取り出して親友の3人。ハルト、ネモ、ボタンにメールを送った。
「困ったちゃんなことになってるから部屋に来てほしい…送信…と…」
するとすぐに返信が来た。
ハルト【いいよ】
ネモ【じゃあこれからみんなで行くねー!】
ボタン【とりあえず行くから】
それを見てペパーは少しホッとした。
それからしばらくした後、部屋の扉をノックする音が聞こえたので、ペパーは恐る恐るそのドアを開ける。
そこには彼の親友であるハルトとネモ、それとボタンの姿があった。
「えっと……悪いんだがはやく部屋に入ってくれないか…?」
「うん。大丈夫だよ」
ハルトは明るい声で返す。
「お邪魔しまーす!」
ネモが部屋のドアを開けた。
「……呼んでおいて急かすん?」
ボタンは相変わらずな感じだ。
3人は部屋に入る。ペパーは玄関で今起こっている異常事態について話を切り出した。
「あのさ……これ見てくれないか?」
ペパーは自分の着ているパジャマを脱いで上半身裸になると、そのまま下の方まで脱ぎ始めた。
それに驚いたのかハルトは慌てて目を逸らす。
「オレ…女の子になっちまったんだぜ!?」
「………そんなことでうちらを呼んだん?」
「いや、そんなことって言うけどマジなんだぜ?ほら胸だってあるし……」
「……そんなの当たり前……だってペパーは女の子だし」
ボタンの言葉を聞いてペパーは困惑した表情を浮かべる。
「えっ……今なんて言ったんだぜ?」
「ペパーは元から女の子だし。うちらにドッキリとか仕掛けるならもっと面白いこと言えし」
「ペパーは女の子だよ。前からずーっとね」
「えっ………?ペパーが元々女の子…?そ…そうだっけ?」
何を言われてるのかわからない。オレが元々女の子だって?ネモとボタンはまともに取り合ってくれない感じだしハルトも何かしらの違和感を覚えてるように見える。何かがおかしい。頭が変になりそうだ。
「とにかくペパーは服を着ようか。下着もつけないで服脱いだままだと風邪引いちゃうよ」
「ちょ……待ってくれ!まだ聞きたいことが……」
「今の状態だと刺激が強すぎるハルトは部屋から出た方がいい。ペパーが着替え終わるまで待ってて…」
「あっ…うん…」
ボタンに言われるがままにハルトは部屋から出て行った。
それを見届けた後、ペパーは言われた通りに服を着始める。
ボタンがオレの引き出しから下着を出して着替えるようにと差し出す。その手元にあったのは自分の部屋にあるはずがないフリルの付いたの白い女物のパンツとブラジャーのセットだった。ペパーはそれをまじまじと見つめて顔を赤らめて驚く。
「女物!?どこからそんな…!?」
「どこからって…ペパーの衣服棚の引き出しからに決まってるし」
そんなはずはない。そう思い衣服棚のいつもトランクスを入れている引き出しを覗くと本来あるはずの男モノのトランクスが1枚残らずなくなっており、代わりに可愛らしい女性モノの下着とブラジャーが綺麗に整頓されて収まっていた。
(どういうことだぜ……?)
ペパーはその状況を理解できずにいた。
「この下着はどうしたんだよ……?」
「……?その下着はペパーが買ったやつだし。前にネモと3人で買い物に行った時に一緒に選んであげたやつじゃん」
「そんなはずないだろ……!?いつの間にこんなのを買ったんだぜ……?」
「1週間前にハッコウシティでボタンと一緒に買いに行ってあげてたんだけど…覚えてない…?」
ネモはオレの記憶に存在しない話を語りだした。
「嘘だ!!」
ペパーは大きな声で叫ぶ。
「これはオレのじゃない!!オレはこんなのを買ってないぞ!!!」
「それはペパーの記憶違い……。確かに買ってたしペパーは女の子だからそういうのは必要だし」
「違う!絶対に違う!」
ネモとボタンは顔を見合わせて首を傾げる。
「もしかしたら記憶喪失かもしれない……医務室でちゃんと見てもらった方がいい……」
「えぇ……そうなの……?」
「違う!オレは元々男だ!男なんだよぉ……!」
「うわ…これ記憶喪失どうこうの話じゃないかも…うちらが思っている以上に重症かも…」
「お父さんのことでものすごく大変だったから心労でおかしくなってるんじゃ……?」
「頼む……信じてくれよ……オレは本当に……!」
「ごめんねペパー。今はちょっと休んだ方が良さそうだね。また落ち着いた頃にゆっくり話を聞くよ」
「おい……!」
「とりあえず今日は授業休もうか。疲れてるみたいだし」
「待ってくれよ……!」
「ペパーが体調崩して授業に出れないってとりあえず先生に連絡してくるから!」
ネモは部屋を出て行く。
「ペパー……とりあえずは安静にしてるといいし。じゃあ……お大事に……」
「行かないでくれよ!オレは男なんだよ!オレはオレなんだぜ!?」
「……大丈夫。落ち着いて。うちらはずっと友達……」
「なんなんだよこれ……!どうして誰もオレの言うことを信じてくれないんだ……!?」
「後でハルトにお見舞いに行くよう言ってあげるから…」
ボタンも部屋から出て行き、部屋に一人取り残されるペパー。
ペパーは頭を抱えながら床の上に座り込む。
「うぅ……ぐすっ……うっ……うっ……うぁあああん……ひっく……」
ペパーは泣き出してしまった。自分の身に起きていることがあまりにも信じられなくて、そして自分が自分でなくなってしまったような感覚に襲われて怖くて仕方がなかった
(誰か助けてくれ……)
ペパーはただひたすらに部屋の中で誰にも届かないであろう助けを心の中で求めるのだった…