現実改変ペパーTS概念(?)小説 その2
スレ主January 28, 2023【前回のあらすじ】
突如女になってしまったペパー。
ハルトたちに助けを求めるもネモとボタンは元々ペパーは女の子だったと言い出す。ハルトはそれに疑問を持っていたがおっぱい丸見えの状態のペパーの部屋にいるべきではないと言われて追い出されてしまう。
自分が元々女の子のはずはないと主張するペパーだったが自分の部屋にある衣服が全て女モノになっていたのだ。さらにネモとボタンはペパーと一緒に女モノの下着を買いに行ったと言い出す。
そんなものは嘘だと主張するがネモとボタンに正気を保てていないと言われてしまいペパーは部屋で泣き出してしまうのだった。
___________
その頃ハルト達は……
「ねぇ、ボタン。ペパーって本当に女の子…だったっけ…?」
「何言ってんのハルト?ペパーは女の子だよ。そんなの当たり前だし」
「そっか……」
(あれ?そうだっけ……?初めて会った時から昨日までずっと男の子だったような…?)
ペパーが女の子になってしまったこともそうだが、ネモとボタンの様子が明らかにおかしい。まるでペパーが元々女の子だったかのような素振りをしている。
「ハルトも変なこと聞くし……」
「いや……なんか違和感があって……」
「ハルトも疲れてるんだよ。ハルトも休みな……」
「うん……そうするよ……」
ハルトはボタンのすすめで放課後に医務室に寄りベッドに横になって休息をとることにした。
「う~ん……」
ベッドの中で休息をとるはずが頭が混乱して休息をとるどころではない。ペパーは一体どうなっているのか。ネモとボタンはなぜペパーを元々女の子だったと言っているのか。
色々と考えていたときにふとボタンからペパーのお見舞いに行ってほしいと言われたことを思い出した。
もしかしたらペパーから話を聞けば何か分かるかもしれないと思った。
(でも……どんな顔をすればいいのかな……。動揺してたペパーに会っても……気まずいし……それに……)
(あんなにおっきいおっぱい初めて見た……それに乳首も見えてたし……!どうしよう……色んな意味で気まずいよ!)
顔を赤らめながら悶々としていたが行動を起こさなければ今起きている事態の謎は解けないと思い意を決してペパーに会いに行くことにした。
「よし……行こう……」
ハルトは廊下に出てペパーの部屋へと向かいドアをノックした。
「ペパー…いる……?僕だよ、ハルトだよ。お見舞いに来たから部屋に入れてよ。」
すると中からペパーの声が聞こえてきた。
「話したくない……」
「ペパー……?」
「帰ってくれよ……」
「そんなこと言わないでよ。せっかく来たんだしさ……ペパーと話したいな……」
「嫌だ……」
「ペパー……?」
「オレは男だ……。男なんだ……。男なんだ……」
ペパーのすすり泣く声が聞こえる。
「ペパー!しっかりして!僕は君の味方だから!ペパーが男の子だってのはちゃんと覚えてるから!」
「もう何もかもが分からないんだ!怖いんだ!助けてくれよぉ!ハルト!」
「ペパー!」
「ひっく……うっ……うぅ……うわあああん!」
「大丈夫……大丈夫だよ……ペパー……」
部屋のドアが開いてハルトは泣き崩れるペパーを抱きかかえた。
「ペパー……落ち着いて……」
「オレは男なのに……なんでこんなことに……」
「大丈夫だよ。大丈夫……」
「オレは男なんだ!オレは男なんだ!」
ペパーはハルトの胸の中で泣いていた。
ハルトはペパーの頭を撫でて落ち着かせる。
「ペパー……大丈夫……大丈夫……」
ペパーはハルトの胸に顔を埋めながら静かに泣くのだった。
しばらくして落ち着いたところでハルトは話を切り出す。
「ねぇ……ペパー……昨日までは本当に男の子だったよね……?」
「ああ……そうだよ……」
「じゃあ……どうして今女の子になってるんだろう……?」
「それは……わからない……」
ペパーは俯いて黙り込んでしまう。
ハルトはペパーの顔を見つめる。目の周りは赤く腫れていて、涙の跡が残っている。
その表情はとても不安そうだった。
(なんて言えばいいのかな……。大丈夫って言うだけなら簡単だけど……。でも大丈夫そうじゃないからお見舞いと話を聴きに来た訳だし……)
(でも……このままだとダメなのは確かだ……。なんとかしないと……)
「ねぇペパー……今朝何があったか教えてほしい……それにみんなの様子もなんかおかしいし……」
「うん……分かったよ……」
ペパーはゆっくりと口を開き始めた。
「今日の朝起きた時に急に女の子になったみたいで……それで3人を呼んで相談したらネモとボタンは全然信じてくれなくて……ハルトは追い出されちまったし……それどころか昨日まで男の子だったって言っても女の子だったってネモとボタンは言い出して……それに部屋に今まで着ていた衣服もなくなって全部女モノになってるし……」
「そうだったんだね……」
(やっぱり……僕の記憶違いとか勘違いなんかじゃなかったんだ……)
「僕も信じられないよ……。ペパーが女の子になったっていうのは……」
「だよなぁ……。オレだって未だに実感がないんだから……」
「でも……僕もちゃんと覚えてるから……。ペパーは男の子だったってことを……」
「ありがとう……ハルト。今はお前だけが頼りだ……」
この世界で独りぼっち。そう思っていたペパーはハルトという仲間を初めて見つけ感謝しきれない状態だ
「うん……でも……」
「…?ハルトどうしたんだ?なんか顔が赤いぜ?熱でもあるのか?」
ペパーはハルトの様子がすこしおかしいことに気付く。ハルトはとても親身になっているがなぜか目線はあさっての方向に向いている。もじもじとしてなにかを我慢しているようにも見えた。
「いや…その…」
「恥ずかしがりちゃんじゃないんだから、遠慮しないで言ってくれ!」ハルト「おっぱい…」
「え?」
思わぬ一言にペパーはきょとんとした。
「さすがにパジャマ羽織っただけのおっぱい丸見え姿でいられると気まずいよ!」
「えっ?あっ…!」
ペパーはハルトの言葉で思わず自分の胸元を見る。
胸元についたそれは2つのカイスの実を左右に並べたようなもので、その頂の部分にはモモンの実の色の綺麗な突起があった。パピモッチの酵母で発酵させたパン生地のようにムニュリとしていてハルトの身体に押し付けていることで柔らかく形を変えている。
「うわああああ!」
ペパーは思わず声を上げてしまった。
精神的に追い詰められていたせいで身体への意識が行っていなかったからか、自分の身体の状態に改めて気づいたのだ。
ペパーはベッドのシーツで身体を隠した。
「ごめん!ペパー!」
慌ててハルトは謝る。
「本当にゴメン!別に悪気があって言ったわけじゃなく……その……」
「いいよ……ハルト……。分かってる……」
「本当に……?」
「うん……。オレだって元は男だったけど……今はこんな姿だから……。ハルトの気持ちはよく分かる……」
「ペパー……」
「それに……オレだってこんなに大きい胸が付いてたらそりゃあ興味はあるし……」
ペパーは顔を真っ赤にして俯いた。
「ペパー……」
「ハルト……」
ハルトは意を決してペパーの手を握った。
「ハルト……?」
ペパーは首を傾げる。
「ペパー……大丈夫だよ。きっと元に戻れる方法を見つけるから……」
「ああ……ありがとう。ハルト……」
「僕が必ず元のペパーに戻してあげるよ」
「……!ハルト!ありがとう!やっぱりお前はオレの親友だ!お前だけが頼りだ!」
「うん!任せて!ペパー!絶対に男に戻すよ!僕は君の味方だ!」
「ハルトォ…!」
ハルトはペパーに近づき手を握りしめ見つめ合ったその時だった。
ロトロトロトロト………
ハルトのスマホロトムが鳴る。
「あれ、着信?誰からだろう…?」
ハルトはロトムスマホの通話ボタンを押して電話に出る。
しかし画面と通話の両方が砂嵐の状態になっていた。
気味が悪くなって通話を切ろうかと考えていた時、砂嵐のノイズの中から誰かの声が聞こえてくるのに気が付いた。
「……ロー…」
「…ハ…………」
「…ハロー…………ト」
フトゥーAI「ハローハルト。こちらフトゥーAI」
スマホロトムの画面の砂嵐が消え薄暗い部屋のような場所にいるフトゥーAIを映し出した。
「!?は……博士!?」
「父ちゃん!?」
「久しぶりだねペパー、ハルト。まさかまた会えるなんてね」
まさかの人物からの通話にペパーとハルトは驚きを隠せなかった。
その人物はタイムマシンの自身を未来へ転移させることでタイムマシンを止めたフトゥーAI。
かつてハルトと共に世界を救った親友の一人だ。
「運よくゼロラボにあるのと同じ結晶体がある未来の場所へと移転されたんだ」
「まさかまた会えるなんて…父ちゃん…」
ペパーは今自分の身に降りかかった不幸とその状況がが吹き飛んでしまいそうなほど喜び嬉し涙を流した。
「ハルト、ペパー。実はそのことで1つ重大な問題が発生したんだ」
「問題?」
「……今回、ハルトとペパーに連絡をしたのはそのことについて」
「ボクがあの時タイムマシンで未来へと旅立った時に時空に小さな歪みが生じてしまったんだ。それが重大な問題なんだ」
「歪み?なぜそれがあるとわかったんですか?それに重大な問題って?」
ハルトはフトゥーAIに質問を投げかける。
感動の再会ではあるが、突然出てきた時空の歪みの話について飲み込めない状態だ。
「ハルト、今から順を追って説明する。聴いてくれ」
「ボクがタイムマシンで移転してから数か月でなんとか簡易的なラボをつくり、そこで未来からペパーたちを見守る装置を完成させた時に装置が時空の歪みを発見したんだ。発生した時間からボクが未来へと旅立った時に生まれたものだとわかったんだ」
「時空の歪みは下手をすれば世界を滅ぼしてしまう危険なシロモノで簡易的なラボしかない今の状況では時空の歪みを修復のできないため、歪みを監視しながら歪みを修復する装置の開発をしていたんだ」
「しかし、ある日その時空の歪みが何事もなく消え去っていた」
「世界の滅亡が運よく回避されたと安堵したとき、ボクは違和感を覚えたんだ」
「違和感って…」
ハルトは嫌な予感がした。
「まさか…」
同時にペパーもフトゥーAIが連絡をしてきた理由を察したのだった。
「ボクが常に持ち歩いてるペパーの写真…。その写真の中のペパーが女の子に変わっていたんだ」
「最初の時はボク自身の視覚機能にエラーが発生しているのではないかと思いボクの再起動を何度もしたが写真のペパーは女の子になったままだったんだ」
「慌ててペパーたちのいる現在の時間を機械で確認したところ、ペパーが女の子に変わってしまっていたんだ」
「時空の歪みが正しい方法で修復されなかったことで現実世界の歴史に歪みが生じ、ペパーが初めから女の子であったと歴史が書き換わってしまったんだ」
ハルトとペパーの悪い予感は当たってしまった。フトゥーAIからの連絡は感動の再開と不幸の再開であったのだ。
「歴史は変わってしまったがペパーは身体以外、ハルトとボクは歴史の書き換えの影響を受けずに済んだんだ。その理由はまだわからないのだけれどもね」
「あの博士…ペパーが戻る方法って…」
ハルトはフトゥーAIにペパーを男に戻す方法を聞こうとする。できないことがあっても自分のできる範囲でペパーを助けたい。そう考えたからだ。
「時空の歪みが正しい方法で戻されれば書き換えられた歴史も元に戻る…」
「だが、その正しい方法を見つけた上で正しく時空の歪みを戻すには未来のテクノロジーがあったとしてもとても難しく時間がかかるんだ」
「現代のハルトとペパーの力ではどうしようもできないことなんだ」
「ボクは一刻も歴史を元に戻せるように頑張るが、もしかしたらキミたちが考えている以上の時間がかかるかもしれない」
「もしハルトができることがあるとすれば…。それはペパーを精神的に支えることだ」
「心の拠り所がなく味方のいない状態ではペパーの心は壊れてしまうだろう。だからハルト…ペパーをよろしく頼んだよ…」
「わかりました…博士!」
「父ちゃん…ハルトといっしょになんとか頑張るぜ!」
「ボクの方で進展があれば連絡はする。ハルトとペパーは自分たちの力で解決できないことが起きたらボクにいつでも連絡をくれ。可能な限り力にはなる」
「では、ボクは未来の方で歴史を元に戻す方法を探すからなんとか頑張ってくれ…。幸運を祈る…」
プツッと音がしてスマホロトムの通話が切れたのだった。
(続く)