現パロ 学パロの十年後 エピローグ+おまけ
※会話劇。なんでも許せる方だけどうぞ。
直義殿と正成殿の会話。
おまけは作戦前の新田殿と師直殿の会話。
エピローグ
作戦から数日後、某ホテルのラウンジ。
直義「今にして思えば、何故あんなにあの作戦を行おうとしていたのか、よくわからないのです」
楠木「確かに妙な焦燥感があって、絶対にやらねば、という感じであったな」
直義「あの『鬼』状態は私が居ないとならないようだし、新田先輩が居ないと目玉いっぱいにも
ならないのなら、そんなに急いで何かをすることもなかったのに…」
楠木「何故であろうな。拙者もあのときの自分はちょっとおかしかった気がするでござる」
直義「結果的に兄上の中に居た目玉の『鬼』は燃やせたようなので良かったのですけど。
『鬼』では無い方はまだ居るみたいですが、それはまた何かあった時に考えようかと」
楠木「あれは前世の尊氏殿なのかな。義貞殿が『もう一人の尊氏』と言っていたのは
正しかったのか」
直義「新田先輩も刀を持ったら何だか変になっていましたけど、もしかして皆に前世成分が
あるのでしょうか」
楠木「拙者にあるかなあ…」
直義「楠木先輩も結構武士感ありましたよ。刃物相手に立ち向かう感じが」
楠木「確かにあまり刃物が怖いとは思わなかった」
直義「(やはり豪傑メンタル…)」
楠木「まあ実際に攻撃されていたらどうなっていたことやら。もう一人の尊氏殿が拙者たちに
攻撃出来なかったおかげで助かったとは思う」
直義「…あの人私のことを『直義』と呼んだのですよね」
楠木「拙者のことも『楠木殿』と。刀を持った義貞殿も『尊氏』と呼んでいた」
直義「前世なら単純に昔の時代の人だと思っていたのに、何故名前が今と一緒なんでしょうね」
楠木「もう異世界のパラレルワールドとしか思えんのは作家の性かなあ…」
直義「平行世界というやつですね。案外前世は皆武士で、その殺伐とした世界で殺し合って
いたのかもしれません」
楠木「嫌でござるな。でも、あの時の義貞殿は…刀を持った義貞殿は尊氏殿と相対して
嬉しそうだった。笑っていたし」
直義「敵だったのは間違いなさそうなのですけどね。ただ恨みのようなものは無さそうで」
楠木「今の義貞殿を考えても、あまり恨みを滾らせるタイプでは無かったのか。あくまで戦うのが
好きそうな感じ」
直義「そうですね。…それに新田先輩は兄上があんな悍ましい姿に変わり果てても、ちゃんと
認識してくれるのだなと」
楠木「本当に義貞殿の感性は独特であるからなあ…」
直義「不思議な人です。不思議といえばもう一つ、少し考えていたのですよ、どうして
今になって急に事が動いたのかを」
楠木「何か理由に思い当たったでござるか?」
直義「…先輩が執筆した青春小説」
楠木「!? え、あれ?」
直義「あの小説、先輩が色々苦心の末に生み出した話ですよね。もしかしたら、もしかしたら
なのですけど、先輩が前世の何かを受信して書いたのではないかと」
楠木「いやあれは以前言っていた通り、高校時代の義貞殿の話が元ネタなのだが…」
直義「でもあの話、兄上と新田先輩のキャラが恋のライバルみたいな感じですよね?
…兄上は感受性が強いというか、登場人物と自分たちを混同しがちで。そのライバル関係と
いうのが琴線に触れたというか…」
楠木「前世でライバルだったから、今もライバルなのだとより強く感じてしまったと?」
直義「そういう感じです。それが強い動揺につながったのかなと」
楠木「ええ…ちょっと予想外でござる」
直義「あくまで想像ですよ。真相は藪の中でわかりようがありません」
楠木「…そういえば、どうしてあの時小説の台詞を言ったでござるか?」
直義「ああ…三人に執着しているらしい前世の兄上になんだか呆れてしまって。
小説でのキャラもあんな感じでどちらも好きというスタンスだったでしょう?
相手からしたらやきもきしますよね」
楠木「そうでござるな。尊氏殿は皆に優しいからなあ」
直義「ずっと気になっていたのですが、どうして私のキャラを幼馴染にしたのですか?」
楠木「ん?」
直義「性別を変えるのはともかく、妹でも良さそうなのですが」
楠木「深い意味はないでござるよ」
直義「…私が兄上に恋をしているように見えましたか?」
楠木「そういう訳では…主人公の相手をより魅力的に見せるなら、他の人間から
好かれている方が良いというだけでござる」
直義「その割に師直のキャラから新田先輩のキャラには矢印が出ていないのですよね。
あくまで弟と並列扱いというか」
楠木「一体何が言いたいのやら」
直義「主人公は本当に敗北感を覚えたのでは、と思っています」
楠木「面白い発想でござるな」
直義「勝手に私が考えているだけですから、お気になさらないで下さい」
楠木「そうでござるか。どのみち真相は藪の中、前世のことと一緒でわかりようは
ないでござるよ」
おまけ
作戦開始前、足利邸、裏庭。
新田「よく晴れていて月が綺麗だな」
師直「…新田、お前は前世の話をどう思っている?」
新田「? ああ、前世で敵同士だったかも、という話か?」
師直「正直お前や楠木と初めて会った時に、嫌な感じがしたのは事実だ。
もしかしたら、かつて殺し合いをしていたのかもしれない」
新田「うーん、俺はそれあまりピンとこないな。尊氏と直義に会った時も、師直と師泰に
会った時も別に悪い感じはしなかった」
師直「そうなのか…」
新田「むしろ尊氏に会った時は嬉しいと思ったような気がする」
師直「…あまり考えないほうが良いか」
新田「よくわからないものだからな」
師直「そうだな。…今日は本当に月が綺麗だ」
新田「もし前世で何かあったとしても、俺は今の師直のことが好きだぞ」
師直「! …玄関のドアが開く音がした、皆が来たら台詞を言う(小声)」
新田「師直が台詞を言ったら抱きしめると。よし(小声)」
??「? そうか、そいつの事が好きなのか。では殺さないでやろう」
??「ただし尊氏との一騎討ちを邪魔してくれるなよ?」
※感受性が強いのは尊氏殿だけだろうか?本当に一人の身体じゃなかったね
※『鬼』が欲しかったのは皆の中に居る南北朝人格
荒んでて蛮性が高く『鬼』の力の源になり得たため
新田殿が肉が欲しいのではと思ったのは、何か塊を丸呑みするイメージが浮かんだから