猫天与誕生

猫天与誕生

猫天与誕生日記念

あー・・・面倒な事押し付けられちゃったな


そう思いながら袋の中に二人の赤ん坊を入れて適当な所がないか探し始める。

なんでも猫の姿をした赤子が生まれたから災いをもたらす危険性があるため一緒に生まれた弟も両方捨ててこいとの事だ。


そんなの死んで当然な為捨てるのは賛成だがこんな暗い夜道を歩くのは怖い。

・・・ここら辺で捨ててもう戻ってしまおう。

そしてあの青目のガキでも痛ぶるとしよう。


そう思った自分は袋を投げ捨てる。

そうすると袋から人の姿の赤子か転がり落ちていった。


さてこんな所かと振り返って村に帰ろうとして一歩踏み出そうと足を出し・・・

なぜか俺はそのまま前に倒れ込んだ。


おかしいと思って自分の足元を見ようと・・・見ようと・・・


無い


無くなっている


俺の右足が切断されたかのように無くなっている


それに気づいた瞬間自身の足の断面から凄まじい激痛が走る


痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!


なんでだ!?どうして俺の足が!?


そう思ったもの束の間、俺の目の前にある生き物現れた。


・・・猫だ、茶虎柄の足の先が白い成猫。


だが普通の猫と違うのは全身が血に濡れている所

そして俺の物だったと思わしき足を咥えている所だった。


もしやと思い捨てた袋の方を振り返る。


その中には入っていたはずの猫の姿の赤子がいなくなっていた。


いや・・・その赤子は自分の目の前にいるではないか。


捨てるという判断は間違っていなかった。

この猫は一瞬で成猫に成長し挙句の果てには目の前にいる俺を襲ったのだ。


「・・・グルル」


「ひっ!!」


俺の足を咥えるのをやめた猫は俺の後ろに回ったかと思うとゆっくりとこっちへと近づいてくる。

俺は逃げるように腕で地面を這いずり前に進んだ。

股間が生温かくなるのを感じるがそんな事をきにしている余裕は無い


・・・食われる。


生命が感じるであろう原始的な恐怖。

それを俺はとことん浴びせられていた。




※※※



「・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ」

あれからどれくらいだっただろうか。

手で這いずり回るだけでも人間死ぬ状況になれば予想以上の力が出るようだ。


実際背後にあの猫はいない!俺は逃げ切ったんだ!!

そう思ってまた進もうと腕を前に出した時だった。


・・・・・・・・・?


おかしい、なぜか前に進めない

そう思って前を見る。


無くなっていた。


俺の片腕が。


「あ・・・アアアアアアアアアア!!!!!」


痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!


なんでだ!?もうあの猫の姿は見えない!?なんで俺の腕が・・・!?


そう思った時だった。


目の前に現れた。


あの猫が。


「あ・・・あぁ・・・」


その猫は嗤っていた。


あぁ・・・間違い無い。


こいつは化け物だ


生まれついての化け物だ。


こいつは俺が苦しんで逃げ惑って最期には殺すのを楽しんでいたんだ。


あぁ・・・いやだ・・・死にたく無い・・・


死にたくな







※※※


「・・・グルル」


一匹の猫は一人の男の肉を貪りながら次の獲物を探していた。

理由はそう・・・急激な成長による栄養不足である。


そして何かの匂いに気づいたかのように男の腕を咥えたまま血まみれの体で走っていくのだった・・・





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