猛者vsシド 初遭遇戦

猛者vsシド 初遭遇戦



猛者「はぁ、はぁ、はぁ、ハアッ!」

眼前を通り過ぎる青鈍色の刃、その軌道から体を逸らしつつ、間合いを取り直す。

息が上がる、いったい目の前のこの男との戦いからどれだけ経った?おそらく実時間では五分にも満たないだろう。だが体感ではかれこれ数時間はこの怪物の繰り出す剣戟を迎撃しては避け、或いは鎧で受けつつ対抗、いやなんとか「戦いを成立」させているような気がする。


男が恐ろしく静かな一歩、まるで殺気を感じない歩みでこちらの間合いを侵してくる。

見えてる、それはさせない。


鎧を纏った槍手、彼が陰を纏ったが如き男が進んでくる空間に穂先を置くのと男の歩が止まるのは同時だった。男は停止した穂先の側面、そこに剣を添えそのまま間合いを潰すかの如く槍の内へと進む。

しかしそこでふと男が剣を添えていたのと逆の方向から衝撃!

槍手が放った高速且つ最短の槍回しからの石突当てである。


陰の男が石突を剣で受けつつ側面飛びで衝撃を殺す、さしたるダメージは無さそうだ。

猛者(危なかった、咄嗟の対応が良かったでもダメだ。自分の間合いを維持できていない、さっきから彼の間合いを強制され続けてる。読みが浅い。負ける、このままじゃあ)


自分でも訳のわからぬ状況だと理解してる。教団のアジトを潰した折に現れた正体不明の七人組。彼女達に勝負を仕掛けられそれに対応した矢先、何故かこの怪物と戦う羽目になっている。そもそも彼女らと彼は教団なのか?

個人的な所感だが違うように思えるだがそれも実際はわからない。


理解不能の状況だ、だが確かに解ることもある。


側面飛びから体勢を仕切り直した彼が此方を見ている、否、視ている。酷く楽しげな視線だ。


そう目の前に佇む男、彼は自分を上回る強者だということだ

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