狩生逃死 最期の獣
(かせいとうし)「ここが爾川村か…」
長期休暇を貰えたためとある村に旅行に向かった狐花紫
(風が心地良い…それと……何で妖狐の匂いがする?)
「ようこそお越しくださいました…私、ここにある孤児院の院長をしております、鷹沢春彦と申します、以後御見知り置きを。」
「あぁ…どうも」
「春彦さ〜ん!!」
「…この子達は?」
「私の孤児院で保護している子供達ですよ、近頃里親が見つかるはずです」
「そうですか…(こいつ、何か隠してる訳は…匂いが薄い…)」
「どうしました?」
「いえ…そういえばどこに泊まるべきか…」
「私の施設で良ければ」
「ありがとうございます」
(孤児院 春の家の入り口)
「ここが私の施設です」
「へぇ…とても広い…っ!?」
「アァァソォォォボォォォ」
(呪霊!?急に…)
「皆さん下がって!!」
(戦闘を行うが周りの環境が悪く苦戦】
(くっ…周りに木が多いから下手に術式を使えば…)
「グヘァ!!」
「!?」
【呪霊を拳だけで祓った春彦】
「呪術師だったんですか!?」
「目の前の敵に集中すればどうだ?」
「…そうでしたね!」
【炎を纏わせた蹴りで祓う】
「ふぅ…だけどどうして急に?」
「さぁ?帰りましょう、あの子達が待ってますよ。」
「あぁ………」
(この村…何かおかしい?)
[その日の夜]
「………」
「ヨォ、何の用d…またかよ。」
「貴方を捕まえる事ができて本当に良かった、私の計画がより進みます…感謝していますよ。“水山千鶴”?貴方は私には勝てませんので。」
「そうかよ」
[次の日]
「おはよう…」
「おはようございます!」
「何か…嬉しそうですね?」
「えぇ!ある子の里親が見つかったんですよ!」
「そうなんですか…」
(違和感がある…この村山の中だよな?里親がここまで…?送迎の車について行ってみるか。)
「今までありがとうございました!」
「親元で幸せを運んであげてくださいね?」
「はい!」
(あれか…)
【追尾して車の上に乗り込む】
「まさか妖狐が本当に存在して、しかも食えるなんてなぁ〜」
「………は?(妖狐は私含め2体しかいないはず!?)」
(里親?の家)
【近くの相手を締め上げる】
「どう言うことだ…吐け!」
「…?あの孤児院をお知りでないと?」
「はぁ?(嘘だろ…)」
「あの孤児院はね…妖狐を食糧にする所なんですよ…どうやっているのかは知りませんがねぇ?」
【解放する】
「クソッタレが」
(春の家の入り口)
「…どう言う事ですか」
「何がですか?」
「私の同族を食糧にしてる事だ!」
「それが彼らの幸せなのですよ」
「幸せを決めつけるなよ、鷹沢春彦…何処かで聞いたことがあると思えばお前…呪詛師だったのか!」
「えぇ…そうですよ?それが何か?」
「どうやって妖狐なんて生み出した?」
「私の術式は血液と呪力を混ぜることによって命を生み出せます…」
「そうか…もうお前の計画は終わりだ
「他の妖狐の数人は脱出させた…補助監督も数人呼んだ…」
「家畜が……人間様に楯突くなぁ!」
「そいつらにも生きる権利はあるだろうがぁ!!」
【春彦に耳と尻尾が生える】
「まさかお前も…!」
「いえ、これは一度きりの力…永続ですがねぇ?血液を摂取することでその生物の特性を取り込めます」
「なるほど…ねっ!」
【戦闘になるが他の妖狐を庇いながらであるため敗北】
「ぐうっ…」
「さて…家畜を始末しに行くかぁ…」
【春彦は妖狐を始末に移動]
(ガシャン!)
「よぉ〜バカ狐、元気か?」
「千鶴!?」
「…他の妖狐を殺さなきゃな…」
「待て!ガハッ…」
「寝てろ、」
(森)
「逃げろぉ!」
「家畜が逃げられると思うなよ…」
「妖狐を殺してるのはありがたいが…どうにか気分悪くなるな…」
「これはこれは千鶴さん、屠殺作業に協力しませんか?」
「まずは借りを返さなきゃなぁ」
【春彦vs千鶴】
(春の家)
傷だらけの妖狐「紫さん…私を食べ…て……」
「出来るわけない…」
「私…は、誰かの命に…なり…たい…それが、私の、幸せ……だから…」
「……ああぁぁぁぁ!!!!」
【戦闘中】
「まさかお前ぇ…妖狐だったんだなぁ…!」
「私は人間だ!お前に殺せる筈がない!」
「「ふふふ…はははははは!!」」
「死ねぇ!」
【チェンソーを突き刺す】
「アァァァァァァ!!」
【春彦の腕が切り飛ばされる】
「ウワァァァァ!?」
【春彦の胸を腕で貫く】
「言っただろぉ…お前は妖狐だってなぁ…これがぁ…水山ダァ…!」
【別の森】
「みんなこっちに!補助監督?って人たちが助けてくれるって!」
「待てぇ、下らん鬼ごっこは終わりだ…」
「皆逃げてぇ!」
「貴方…人を殺したんですか!!」
【その様な問いを投げかける彼女の口元には血が付着している】
「お前こそぉ…同族喰っただろ、お互い無様なもんだなぁ!目に映る物全部守ろうとしてたよなぁ!!お前ぇ!」
「貴方はもう壊れてる、人間はどうでも良いんでしょう?」
「そんなの最初からさ!」
「…やろうか。」
「……そうですね、壊すか守れるか。」
「「……ハァァァァァ!!」」
【そこには理性も何も無い獣同士の争いが繰り広げられていた。
鮮血が飛び散り、地獄絵図を描いている】
「アァァァァァァァァァァァ!!」
「グウゥ…!」
【千鶴の刃が紫の右目を斬る】
「アァ……!」
【その好きに押し倒され、紫の手袋から抜き出された剣が彼女に向くが、それを手で無理矢理掴み取る】
「何を躊躇うんだぁ…狐花ぁ!俺が生き続ける限り…あの組織は妖狐を生み出すだけだぁ!」
「まさか…千鶴!」
「選べよ…生き残るのは俺か、それともお前かぁぁ……!」
「もう、終わらせましょう…」
【力任せに拘束を外す】
「「ハァ…ハァ…ガァァァァァァァァァァ!!!!!」」
【声はおろか咆哮とも呼べないけたたましい何かを叫び、二人は同時に突っ込んだ…千鶴の刃は彼女の首の皮を裂き、血を流させ、紫の拳は彼の腹を穿ち、終わらせた】
「「ガハッ…………」」
【千鶴 seen】
「あぁ…死ぬなぁ…これは」
「…………?」
「あはは…迎えに来たんだね、泉さん、ようやく言えるなぁ…“ただいま”」
“おかえり”
「ははは…」
【水山千鶴・死亡】
【紫 seen】
【湖中に足を進める[その前に二度と妖狐が生まれないよう、5peを壊滅させ情報や妖狐を生み出す方法の資料を全て破壊した】
『…生きてよ紫お姉ちゃん。』
「無理だ、私は一度は越えてしまった、絶対に越えてはいけない一線を越えた」
『なら…生きてよ!その罪を背負って生きて!!それが罰だから!!私も背負う!!』
『それに礼佳お姉さん、紫苑お兄さん、焔お兄さん、猫ちゃん…それだけじゃない、皆の笑顔を守りたいんじゃなかったの?“皆”と一緒に生きたいんでしょ…なら生きてよ、私は貴方だから…」
「あぁ…そうだったね……生きなきゃ…私は奪った分まで、それが罰であり、その命で誰かを守ることが…私の贖罪だから……」
【彼女は歩き、決着のついた場へと向かう…】
「これ…千鶴の小手…呪具化してる?あぁ…使用者の呪力と栄養を元に刃を出すのか…これ、誰かに渡そう…」
【剣と小手を回収し、バイクに乗り込み…皆の元へ帰る】
(生きることは…何かを奪い、何かを殺すことだ、自分勝手な死は許されない…それならば私は苦しもう…誰かの命が守れるのなら……)
彼女の名は狐花紫…罪を背負い、生きる事を罰とし……永遠に苦しむ、
“一匹の生物“である
狩生逃死 最期の獣 完