御巫少女の心を開くのは誰か

御巫少女の心を開くのは誰か



とある山間。御巫の里にて、婚礼の儀が行われていた。

少女方は、御巫の中でもとりわけ厳格な御珠の家、その分家の娘として生まれたフゥリ。

対するは村一帯の地主の息子であり、契りを交わす少女とは同い年の少年。


この婚礼は、フゥリの家が格を上げたいがために行われた、愛も何もない政略結婚。それを理解している彼女は表面こそ取り繕っているが、内心は暗く、式の最中も心が動かずにいた。


その夜。共同の寝室に、少年が足を踏み入れる。これからパートナーとして、一生をかけて付き合っていく相手だ。好きな食べ物は何なのか、趣味はあるのか。早く話がしたくてたまらなかった。

これから未知の新婚生活が始まる。意気揚々とふすまを開くと、既にフゥリが布団の横でかしずいていた。


「此度は旦那様と契りを交わせた事、大変うれしゅうございます」


思ってたのと違う。

想定外の事態に、一瞬だが少年の動きが止まった。

少年が唖然としている間にも、フゥリは事を進めてゆく。


「このフゥリ、不肖ながら旦那様の閨の相手を務めさせていただきます……」


服の襟に手をかけ、するすると寝巻を脱いでゆく。すらりとした鎖骨が、年の割には発達した乳房が、桜色の小さな乳首が、少年の眼前に曝け出される。


「どうぞ、旦那様の好きにしてくださいませ……」


股間に熱が溜まりはしたが、それはそれ。気合と精神力で堪えた少年。こんな事すぐに辞めさせ、誤解を解かなくては。


「ちょ、ちょっと待って!」


「如何なさいましたか? 私めに何か粗相でも……」


「確かに俺たちは、その、そう言う関係だけど……こういうのはもっと段階を踏んでからであって……」


「……はい?」


それから、フゥリと少年の新婚(?)生活が始まった。

その日常を垣間見て行こう。



「旦那様、街中でのお買い物お疲れ様でした。お荷物お持ちいたします」


「いや、いいって……あっ」


「おや、これは……1/72縮尺のパワーツール・ブレイバー・ドラゴン!? これ、幾らしたんですか……」


「えっと、税抜きで2万5000円……」


「こんなプラモデルに? バッカじゃないの!? ……あ」



「アンタから借りた漫画……アショカなんとかって柱がめっちゃ出てくるんだけど……」


「良いでしょ? 『サテライト島』 あ、『ファイアスターター』の方が良かった?」


「(こういうのが好きなの? 男の子ってよく分かんないなぁ……)いや、うん、悪くはないよ。主人公がサテライトから脱出できるかどうか、白熱しちゃって頁捲る手が止まらないし」


「で、どこまで読んだの?」


「『みんなアショカ・ピラーは持ったな!! 行くぞォ!!』のトコまで……」


「そこは盛り上がるシーンだよね!」


「これ読み終えたら他のも読んでみたいな……どんなのがあるの?」


「俺が持ってるのはそうだな……『ズババガガッド』『SPYRAL決闘伝タフネス』『ヴェンデットスレイヤー』あたりだな」


「ふーん。どれど、れ…………」


「(違う……コイツの漫画に対する感性が独特なだけだ……!)」



「ふぅ…………」


「稽古お疲れ様。はい、これ食べて午後も頑張って」


「これって……いなり寿司に檸檬の蜂蜜漬け?」


「そう! 蜂蜜レモンで疲労回復! いなりは……好きかな~って思って」


「ちょっと、アタシの霊獣が狐だからって……いくら何でも安直すぎるんじゃないかなー」


「そう? いなりには煎り胡麻入ってるけど、いらない?」


「食べる!!」



「うわぁ……! これが、都会の街……!」


「凄いよなぁ……」


「見て見て! あそこのお店にあるやつ!」


「どれどれ……お、これなんかどうかな」


「帽子?」


「ほら、ちょっと被ってみて」


「わ、わかったってば。……どうかな?」


「うん、似合ってるよ! すっごく可愛い!」


「えへへ……」



そうして月が満ち、欠け、また満ちようかという夜。二人は縁側で夜空を眺め、談笑していた。

今夜は雲一つなく、北天の極で輝くポラリスも、その近くのりゅう座α星ツバーンもよく見える。もちろん、丸みを帯びてきたお月様も。


心地よい夜風の中、先程まで笑っていたフゥリの表情に影が差す。


「そろそろ一月経つけど……キミはさ。この婚姻、どう思ってるの?」


「急にどうしたんだ?」


「いいから。言ってよ。でないと……」


「分かった分かった! 親たちの言ってる事は難しくてよく分からんけど、結婚する以上、一生をかけて幸せにしてくつもりだったよ」


「ふふっ、何それー。重すぎー」


「え!?」


「まあでも、そうやって真剣になれるのはキミのいい所だよ。本当に……」


顔を落としたフゥリは、ぽつりと、語りだした。


「アタシは……最初、何とも思ってなかった」


低くなった彼女の声色に、少年も只事ではないと理解したのか黙って聞く姿勢を見せる。


「権力者との繋がりを作って、世継ぎを生む為だけの結婚だと思ってた。そこにアタシの意思なんて無いし、意見も許されなかった」


少年は、しっかりと、フゥリの言葉に耳を傾けている。


「けど……今は、違うって、はっきり言える」


手で頬を挟んで振り向かせ、見上げる。


「キミがアタシを想って、二人で一緒にいろんな事をやってる内に、アタシはキミの事を好きになっちゃいました」



「ちょっと感性が独特で、趣味に使うお金に糸目は付けなくて、いつもアタシを待ってくれているキミをいつの間にか好きになっちゃいました」



「キミは、どうなの?」


顔を傾け、少年を覗き込むフゥリ。


「俺も、その……初めて会った時から……」


「もしかして……一目惚れ?」


「……はい」


「そっかぁ……じゃ、これからは恋人同士だな」


「結婚してるのに恋人っていうのも、変な感じだけどね」


「ははっ、違いない」


「あははっ!」


ひとしきり笑い終えたフゥリは、少年と向き合う。


潤んだ彼女の瞳に映るは、己の紅顔。徐に目を閉じたフゥリは唇を尖らせ、意匠返しと言わんばかりに彼を待つ。

月明かりの下で、少年がフゥリの肩を抱き寄せ、口づけを交わす。


「ん…………」


軽く、軽く触れ合うだけのキス。ほんの数分にも満たない時間であったが、彼らにとっては永く感じられた。


「えっと、どうだった……?」


「うん……。もっと、欲しい……もっと君を近くで感じたい……」


首に手を回し、もう一度唇を重ね合わせる。ただ一点。先程と違うのは、


「ちゅっ、れぇ……っぷ……ちゅっ、ぢゅるっ……ねぇろ……ちゅっ」


「んぁ、れろ……ちぅ……ぢゅ……んっ……じゅるっ、ぷ……」


舌と舌を互いに絡ませ合いながら、唾液を飲み交わし、息継ぎも彼方へ忘れ行く程獣欲に溺れてゆく。


どちらともなく唇が離れた。少年の視線は、唇から首、鎖骨を通って胸へ。


それに気づいたフゥリは自らの寝間着をはだけさせ、流し目で少年を見やる。


「もしかして……アタシのおっぱい、触りたい?」


「うっ……!」


「遠慮しなくてもいいよ。だって、アタシたちってもう夫婦なんだから♡」


「じゃ、じゃあ……行くよ……!」


「んっ……♡」


フゥリのおっぱいは綿菓子のように柔らかく、指がどんどん沈んで行く。ぴんと立った乳首を指先で軽く弾くと、その度にフゥリの口からくぐもった声が漏れるのだから、つい夢中で弄ってしまう。


「あんっ……♡ キミってば、本当におっぱい好きだよね……♡ この一か月間でっ、キミがちらちら見てたのっ、知ってるんだから♡」


「……!」


「んぅ……♡ いいよ。ワタシのおっぱい、滅茶苦茶にしても」


「う、うおおおおおおおおおおっ!」


「きゃっ♡ ふふっ、よしよーし♡」


張りのある乳房、その先端にむしゃぶりつく。乳輪に沿うように舐めまわし、甘く噛みつき、ちゅうちゅうと吸いつく。無論、もう片方の乳への愛撫も欠かさない。


その間フゥリは赤子をあやすかのように、苦笑しつつも少年の頭を優しく撫でる。


やがて、乳首から少年の口が離れた。


いよいよお互いに限界が近い。そう察したフゥリは少年の頬に両手を添え、お互いに息が当たる距離で、甘く囁く。


「お、俺……もう……!」


「……いいんだよ。我慢しなくても♡」


「フ……フゥリ!!」


「はわ……♡」


はち切れる寸前の理性を働かせ、少年は優しく努めてフゥリを布団へ押し倒す。少年が彼女の秘部に指をやれば、そこは既に濡れそぼっている。


誰がどう見ても準備万端。それでも、少年は心遣いを決して忘れない。


「少しずつがいい!? それとも……!」


「いっき……♡ いっきにおくまで……きてぇ……♡」


服を無造作に脱ぎ捨てた少年はいきり立った己の肉棒を、彼女の望み通り一気に突き入れた。


「んっ、ぐぅ……ああああぁぁぁんっ!!」


悲鳴にも似た嬌声が、少年の鼓膜を揺さぶる。愛する者の異変に、飛びかけていた彼の理性が引き戻された。


「おい、大丈夫か……!?」


「……ぅん、もう平気。動いていいよ」


最初はゆっくりと、己の獣を抑えて腰を動かす。やがてフゥリも慣れてきたのか、自ら腰の動きを合わせてきた。

ぱちゅん、ぱちゅん。

腰と腰を打ちつけ合う音が部屋に響く。

フゥリの蜜壺はきゅうきゅうと彼を締め付け、刺激を与えてくる。


「すきっ♡ すきっ♡ 世界でいちばん……♡」


「俺も……俺の方が……好きだ……世界の何より大好きだ……!!」


「ひゃっ♡」


締め付けが一段と強くなる。少年は指を絡ませ合いながらフゥリの手を握り、対するフゥリも彼の腰に足を回し、がっちりと掴んで離さない。


「うおおおっ! イクっ、イクぞフゥリ!!」


「きてぇっ♡ あなたの種でこどもの部屋いっぱいにしてっ♡ フゥリにあなたの子供孕ませてえっ♡」


首筋に強く噛みつかれていると、睾丸からせり上がってくる感覚。少年はフゥリのひと際奥まで、突き立てる。


「うっ……ぐあああああああっ!!」


「イっちゃ……ひゃあああああああああああ!」


絶頂を迎え、布団の上で放心状態となるフゥリと少年。

先に正気を迎えた少年は、未だ夢の中なフゥリに布団を被せ、自らも寝床に就く。


こうして、建前の愛はやがて恋となり、真実の愛を育んだ。

願わくばこれからの二人に、幸多からん事を……。















































































「もう! またこんなに使って! 今度は何買ったのさ!!」


「……へ? アタシのカード? 25thシク? ロイヤル加工?」


「も、もう……! 本当、キミってばずるいよ……」


「そんな事しなくたって、本物が目の前にいるのに……」


「……あはっ。そうだ、キミの身体に教え込めばいいんだ! アタシ自身で! 『キミを満たせるのはアタシだけ』って!! え? お願いしたってだーめ。聞こえませーん」


「今夜は……寝かさないもんね♡」


続く…………のか?

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