犬島SSのみ

犬島SSのみ


ホラー・鬼畜・閲覧超注意 ss 「犬島」


1◆moGl7h5.5Q23/01/26(木) 00:07:564報告

前の島を出港してから2週間、麦わらの一味はただ海を眺める生活を続けていた。新世界なのにも関わらず天候もこれと言って荒れず、ただ平和で退屈な船上生活を送っていたのだ。

そんな時だった。

「うおー!?ありゃ島だ!?」

ルフィが双眼鏡を片手に叫んだ。

「久しぶりの島だー!」珍しくゾロが子供のようにはしゃぐ。

「うげー…必殺ケチャップ星~…」

ウソップはいつもの「島に入ってはいけない病」にかかった。

「うし、ジンベエ!あの島に向かうぞ!」


2◆moGl7h5.5Q23/01/26(木) 00:08:132報告

こうして上陸したのは

「犬島…?」

ナミが島の看板を見て声をあげた。

「でも犬はいねェよな」

チョッパーが辺りを見回すも犬どころか人もいない。しかし、目の前に見える商店街らしき街はかなり派手であり、辺りから美味しそうな匂いが漂ってくる。

「メシ~!メシの匂いだ~!」

そう言ってルフィはゾロと一緒にどこかへ行ってしまった。

「まあいいわ。ねぇ、ロビーン、こんなに賑やかそうな島について良かったわ!一緒に探索しない?」

「ええ」

一味は繁華街に目を輝かせてそれぞれどこかへ行く。

街にそぐわない薄汚れた工場が遠くにあることに気づいたのは誰1人いなかった。

  • 3◆moGl7h5.5Q23/01/26(木) 00:08:42報告

***


「酒だ~!メシだ~!」

ゾロとルフィ、そして途中で加わったフランキーは酒屋でとんでもない量のご飯と酒をがっついて食べていた。

「兄ちゃんたちよく食べるね~!」

酒屋の店主がにこやかに笑う。

「ああ、この頃まともなメシ食ってなかったからな

ゾロが頬張りながら話した。

「オウ!!この店コーラもあるのか!!」

「そこの兄ちゃんはコーラが好きなのか!」

「イエス!オレのスーパーボディを維持するにはコーラがマストなんだ!!!」

「そうか!!コーラだけじゃねェ、それにうちの島は新鮮な肉や魚が売りなんだ!どんどん食ってけよ!!!」

「「「やった~~~!!!」」」


ぐが~~~~

3人は食べすぎたあまり、眠ってしまった。

4◆moGl7h5.5Q23/01/26(木) 00:09:30報告

一味のグループ分け

ルフィ ゾロ フランキーウソップ チョッパー

ナミ ロビン 

サンジ 

ジンベエ ブルックtelegra.ph


5◆moGl7h5.5Q23/01/26(木) 00:10:04報告

「いやん♡ロビンお姉様、ここの店凄い宝石売ってるわ!」

「あら、すごいわね…見たことないわ」

ナミは悪趣味な程に豪華に光る宝石がディスプレイに飾られているのを見て瞳がベリーになっている。

「そういえばここって犬島というけれど何でそんな名前なのかしら」

「え~?昔ここに犬がいっぱいいたからとか?意外と変な名前の島ってあるのよね」

「そう…」

ロビンは何か奥歯に物が挟まったような返答をした。

報告

「お~い!」

ウソップとチョッパーが向こうから走ってきた。

「あら、ウソップにチョッパー?どうしたの?」

ロビンが返すと

「いや、ルフィ見なかったか?」

ウソップが尋ねた

「ううん見てないわ、私たちロビンとずっとウインドウショッピングしていたもの」

「これ見てくれ」

ウソップの手か出たものは

「これは、ルフィの…」

ロビンが眉を潜める。


報告

「ルフィのやつ帽子なんて落とさねェよな…?」

ウソップが不審がる。

「これって…」

ナミもおかしいと感じたようだ。

「ねえ、そういえばこの島って人がいなくわよね?ええ、店の人はいるけれどこんなに賑やかそうな街並みなのに私たち全然人がいないなんて、どうして気づかなかったのかしら…」

ロビンが違和感の正体に気づく。すれ違う人間はまばらにはいたが、繁華街にしては閑散としていた。

「………」

その場にいた4人が固まる。

「……と、とにかく!ルフィとゾロ探そうや!」

ウソップがその場の重い雰囲気を明るくしようと呼びかけた。


「色んな店の人にも聞いたけど見てないって…」

チョッパーが項垂れた。

「こっちも全然見つからねェ、どうでもいい噂は聞いたけど」

ウソップが不思議そうな顔で話すので、

「噂?」

ロビンが聞く。

「なんか夜中になると人の顔した犬の人面犬が出るって噂なんだとよ、犬島っていう由来もそこかららしい」

「ほんっとにどうでもいい噂だわ…」

ナミが呆れた。

「日も傾いてきたし4人でサンジ君たちと合流する?」

「そうしましょう」

一味は船長命令で夕方にはサニー号に戻るということになっていたのだ。


しかし数十分後、

「ナミー!ロビーン!今度はチョッパーがいなくなったー!!」

「ええ!!あんたも!?」

「あんたも…ってお前、ロビンは…」

「いなくなった…『サンジ呼びにくるから待ってて』って…私待っていたんだけどいつまで経っても戻ってこないからずっとここにいたのよ」

「えええ~!!?」

「なんで…」

「ああそうだ!ジンベエやブルックと一緒に戻ってるかもしれねェ!!一旦サニー号に戻ろう!!」



夕日に染まるサニー号

「よし、食料は確保できたぞ」

サンジがサニー号に戻るも

「あれ?誰もいねェ」

船内には誰もいないことに気づいた。おかしい、日が沈むころには戻ろうとはルフィが言っていたが…。

「おーい、ナミさーん、ロビンちゃーん?」

返事はない

「ルフィークソマリモー」

いない

「あれ?」

サンジがひとり首を傾げる。とりあえず食料は傷まないように冷蔵庫に入れることにした。


「やばいやばいやばい」

おれは船から飛び出した。

仲間がやられた、あの様子だと大変なことになっているはずだ。

まさかおれ以外は…いや、何も考えるな、ナミさんは山と言っていた、この島にある山は1つしかねェ。

早く、仲間を助けるんだ。

大丈夫、大丈夫、きっと間に合うはずだ。

アイツらなら大丈夫だ。


3報告

「工場…?」

山の中にそびえ立つ無機質で煙にまみれた工場のような、廃棄場にも見える薄汚ねェ建物があった。

きっとナミさんはここから助けを求めたんだ。

クソ!こんな時にルフィやバカマリモがいてくれたら…!

おれは裏口にあった大きな扉から侵入した。


「おーい、ナミさーん!ロビンちゃーん!」

おれは大声で仲間を呼んだ、さっきのナミさんの会話からそんなに経っていない、まだ大丈夫だ。


だが、この嫌な予感はなんなんだ?


「…くん、サンジくん…」

「!!」

微かにナミさんの声が聞こえた、間違いない、確実にこの近くにいる!

「ナミすわああああん!!助けにきましたよ!!」

「サンジくん…サンジくん…!」

すぐ近くで聞こえる

「ナミさーん!今たすけ」












おれはショックの余り、そこで膝を床についた。

そこには四肢を切り落とされて、まるで犬のような姿にされていたナミさんがいたのだから。


気がつけばおれはサニー号にいた。

隣にナミさんがいる、人形のような表情で泣くことすらできないようだった。死んだような表情で下を向いている。

おれはあの後ナミさんを抱えて一直線にサニー号へと帰ったらしい。覚えてねェが。

見つけたのはナミさんだけだ、通話の内容からしてきっとウソップたちも同じような姿で今もどこかに…

誰だ、誰がこんなことをしたんだ。



「こうじょ…う…」

「……え…」

「みんなそこで、手足切られた…」

「……!!」

「薬で眠らされて気がつけば…」

「ウソップもみんなこんな風になってた…何でわたし、生きてるんだろう」

「……」

確かに疑問だった。普通、並大抵の人間ならばいくら麻酔で手足を切るとはいえ、こんなに早く切れるのか?ましてや出血もあるだろうし。

「なあ、何でナミさんは1人でそこにいたんだ?他の皆は?」

「……分からない」


どうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうする

今ここにいたとしてもその内野垂れ死にするだけだ。おれが、おれがなんとかしなければ仲間は戻らない。


もうダメだ、吐きそうだ。

こんな、こんなことで、おれたちの冒険が終わるなんて。

これならまだ海軍に捕まった方がマシだ。

とりあえずナミさんの様子を見ることにした。

手足が無くなっている以外は特に外傷はない、そういえば手足の断面が何か特殊な素材で覆われているがこれは何なのだろうか?

気になったが無闇に弄らない方が良いだろう。

あとは本人の心が…もうヤバいな。


島についての情報収集を行い、それから工場の中を見聞色で確認することにした。

だが、ナミさんをここに置いていくのは危険だ。

何か手足の代わりになるものを探すか…?

「なあ、ナミさん…おれと一緒に町を探索…」

「ダメ!!!」

突然大きな声を出すもんだからおれは驚いちまった。

79◆moGl7h5.5Q23/01/26(木) 17:05:257報告

「な、なんで…かな?」

「………犯人は島の人たち…ウソップもわたしも…みんな、みんな………ああああああああああああああああああああああ!!!」

「わ、分かった!分かった!」

まさか島ぐるみの犯行なのか、だがなぜだ?なぜ、そんなことを…

80◆moGl7h5.5Q23/01/26(木) 17:05:446報告

「サンジくん…行かないで…」

「あ、ああ…」

そうは言ったがここで何もしないのなら緩やかに死に向かうだけだ。

「ナミさん…その…言いたくなければ言わなくて良いんだが………工場の中って見たか……?」

ああ、クソ、本当は言いたくない。傷口を更に乱暴に抉るようで自分も辛い。なんでレディをこんな風にして、おれが、おれが更に心を砕くようなことを言わなくちゃならないんだ。

「見たよ…」

「そう、か…」

「腕、まだあると思う」

「え?」

「分かんないけど……工場の人が腕は保存しとけって言ってたから……」

「!!」

81◆moGl7h5.5Q23/01/26(木) 17:07:536報告

少しだけ、ほんの少しだけ希望が見えたかもしれない。しかし、ナミさんはどうしよう。ここで置いていくわけにはいかない…。

「………」

すまねぇ、ナミさん。

おれはナミさんを背負って再び工場に向かうことにした。


中に入ったが人らしき影や音は聞こえない。

ただ不気味に換気扇の音が怪物の息のようにゴウンゴウンと聞こえてくる。

まずは工場内に何があるか調べることにした。

今のところよく分からない機械があちこちにあり、ルフィたちも見つからない。

「ん?こりゃ電伝虫だ」

なるほど、ひょっとしたらナミさんはここで助けを求めたのか?今はおれの背中で寝ているが…ショックで寝込んでいるんだろう。


これは…」

ナミさんの四肢を覆っているカバーのような何かの元がそこにあった。見るとドロリとしていて、液体のように見えるが…。ナミさんが四肢を切られているのに比較的喋られるのはこれで断面を覆って固めることで出血や腐敗を防いでいるからなのだろうか?分からねェ。


ふと、奥に扉があることに気づく。

何故かその扉が無性に気になり、近づくと無機質な鉄の扉であることが分かった。触ると氷のように冷たい。

まさか、な。

おれはゆっくりとその扉を開けた、開けてしまった。


「……ッ!」

ビュオオオと冷たい風が入り込んで身体を冷やした。

「ん……?」

何かがぶら下がっている。

「…!!!」

それは何十個、いや、何十本と言えばいいのか。

人間の脚や腕がそこに保存されていたのだ。


「うっ…ぐぇっ…」

込み上げる吐き気を抑えている時、おれはナミさんの言葉を思い出す。

「腕、まだあると思う」

まさか、この中にナミさんや仲間の…?


ナミさんたちの腕を探そうと思ったが、どうもおれの精神には無理らしく、ひとまず冷凍室らしき部屋を出ようとした時

「あれ、私の腕」

背中でいつ間にかナミさんが起きていた。

慌てて外に出ようとするも

「サンジくん、あれ、右のところに私の腕がある」

「え?」

言われるがまま辺りを見ると確かに彼女のものらしき白くて細い腕があった。よく見ると普段つけていた金のリングがまだ手首に残っていた。


「クソッ!どこにも繋がらねェ!!」

おれは受話器を握りしめた。

ならやることは1つ、仲間を探すんだ。

一応何かあった時のために工場の電伝虫は持つことにしよう。

頼む、ルフィ、みんな、生きててくれ。


工場の中は色々な空間に繋がっているが、とりあえず裏口に侵入する際に通った倉庫を調べよう。


***


倉庫はがらんとしていたが床一面にナタや包丁のような物騒なものが辺りに散らばっていた。

どれも赤黒い汚れが付着していてボロボロのものばかりである。何に使ったのかは考えたくねェ。


https://telegra.ph/%E5%80%89%E5%BA%AB%E3%81%AE%E5%A3%81%E3%81%AB%E8%B2%BC%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%82%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%83%A1%E3%83%A2%E3%81%AE%E5%88%87%E3%82%8C%E7%AB%AF-01-26


11報告

………なんだよ、これ。

おれたちは最初から狙われてたっていうのかよ。

そもそもここに上陸したことが間違いだったのか。

まさか、おれらの知っている他の海賊もここに……

いやいやいやいやそんなことはないはずだ。

ルフィを探そう。

………こんなことはしたくねェが護身用にまだ使えそうなナタを持っていこう。

使う機会はあって欲しくは無いが。

ルフィ、ゾロ、お前らどこにいるんだよ………。


倉庫近くに「従業員室」と書かれた部屋があった。

ここにナミさんたちをこんな風にした馬鹿共がいるのか。畜生。

おれは脚に焔を纏って攻撃態勢になる、そして

ドォン!

おれはドアを蹴ったが

「…誰もいねェ?」

もしかしたら潜んでる可能性もあるので見聞色の覇気を使ったが本当に誰もいなかった。

というか工場そのものが無人状態なのだ。

どういうことだ?


https://telegra.ph/%E5%BE%93%E6%A5%AD%E5%93%A1%E5%AE%A4%E5%86%85%E3%81%AB%E3%81%82%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%83%A1%E3%83%A2-01-26


「おえええっ…」

胃には何も入っていないはずなのに、それでも吐き気が止まらない。これって、これって……

ダメだ、考えれば考えるほど気持ち悪い。

そうか、ルフィたちがいないのって…まさか…そういうことなのか…。

いないんじゃなくて、声が出せねェから…。

もう探したくねェ、頼むからクソ気味の悪い悪夢であって欲しい。

……………ガスマスクが机に置いてある。これで催眠ガスというやつを吸わないようにしていたのか。何かあった時のために持っていこう。


よろめいた足取りでおれは従業員質を後にした。

本当はまだ手がかりがあるかもしれねェが何も調べたくない、これ以上知ってしまったらおれの身が持たなくなる。

「…階段」

ふと気づいたが階段があるということは2階があるのか。

行きたくない…でも行かなかったら…仲間が…もう…


ここにいても危険だ、一旦サニー号へ戻ることにしよう。


***


無事に船内に戻れたは良いが解決策は浮かばない。ナミさんは生きてはいるが心は死んでいる。

どうすれば…

「…あ」

そういえば戻る際にナタとかマスクとか持ち帰ったんだっけ。

「今ならいけるか…?」

おれは手元にあった電伝虫を見つめた。

どれくらいの時間が経ったのだろうか。

「…い、おい!」

外から声が聞こえる、ローだった。久しぶりに見た仲間の姿におれは声が出なかった。


ナミさんの身体を見てローが震え上がっていた。

「工場で切られたって…」

「それはナミ屋が?」

「ああ、ナミさんがそう言ってた…他の仲間もそこで…あ、」

おれはあることを思い出した。

「おれ、 仲間を探しに一旦そこへ言ったんだ、そしたら冷凍室みたいなところにナミさんの腕がぶら下がってた…」

「何だと!?それはいつだ!?」

「さっき…1時間くらい前…」

「早くしろ!まずはナミ屋の治療だ!!」

おれとナミさん、そしてローは再び工場へ向かった。


***


「黒足屋の言ってるのはここなんだな…?」

「ああ」

おれたちは裏口に侵入すると真っ先に冷凍室に向かった、そして

「あった…!」

ナミさんの腕は無事だった。

「後は脚だな…」

ローが探している。

「ナミさん、自分のがどれか分かるか?」

「………あれ」

ナミさんが腕を動かして指した、確かに長い脚がそこにあった。

「ロー!脚も見つけたぞ!」

「よし、とっととおれのポーラータング号に来い!」

おれたちは工場から飛び出した。

この時あんな目に遭うなんて、みんな知る訳がなったんだ。


ポーラータング号内、手術室

「幸い時間が経っていないからか、くっつく可能性はあるな」

「……!」

「それに、この断面を覆っているのは恐らく肉が傷まないようにするためのものだろう、細菌が入らないようにしてるのか…?とりあえず手術するから黒足屋はオペ室から出てくれ」

「分かった…」


どれくらい経ったのだろうか

もう7時間は座ってるような気がする。


その後のことはよく覚えてねェがナミさんが元に戻っていたことだけは覚えていた。

縫い目の跡こそあるものの、手足はくっついていた。

ただ、まだ容態は安定していないのでしばらく安静にするのこと。

よかった、本当によかった。おれはローに一生頭が上がらないだろう。 


「まだ、まだだ!あと8人…」

そうだった、他のみんなもさがさなければ…

「黒足屋、もう一度そこにいって仲間を探すぞ…」

「ああ、あ、ちょっと待て」

おれはこれまでに調べた情報を話した。

「なるほど、な…犬島…ってのは昔は無人島だったらしい」

「え?」

「これを見てみろ、おれのクルーが持ってた雑誌の記事だ」

そう言ってローはおれに雑誌記事を見せた。



なんなんだ、これ…」

おれは口元からタバコを落とした。

「この雑誌の言う通りだ…町は凄く栄えていたが、人が妙にいなかった」

「……」

「そういえばルフィとマリモが美味そうな匂いするって走っていったけど…まさか、いや、おれの買った食料も……うっ、おええっ」

「食べることはやめといた方がいいな…」


https://telegra.ph/%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%88%E3%81%AE%E3%82%AF%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%81%8C%E6%8C%81%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%9F%E3%82%AA%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%88%E9%9B%91%E8%AA%8C%E8%A8%98%E4%BA%8B%E3%81%AE%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8-01-27


「………そうだ、お前ずっとナミさんのオペしてたんだろ、休めよ…おれはその間に仲間を探してくる…」

「何言ってんだ!お前が捕まったらどうするんだよ!本当に休むのは黒足屋の方だろ!!」

「でも…ルフィも、みんな…多分喉焼かれて声出せないんだと思う…」

「はあ…?」

「従業員室を調べた時にメモを見つけたんだ…その、解体みたいな、うるさかったら喉を焼けって書いてあって…」

「そんな…!」


「とにかくお互い休むべきだ、黒足屋も精神がズタボロになっているのは分かる」

「でも、ルフィたちが…」

「急がば回れって言葉があるようにここで下手に手を出すと自分たちがやられるぞ」

「……」

反論する言葉は無かった。

おれたちはルフィたちが生きていると信じて夜を明かした。人生で1番恐かった夜だった。


朝を迎えた。気がつけば眠っていたらしいが、精神的には全然休むことはできなかった。

朝食を作る気すら起きねェ。ロー自身も全く食欲が無かった。

工場へ行こう。そして、ルフィたちを助けるんだ。


そういえば2階には行ってなかったんだった。

「おい、ロー。2階は気をつけろ」

「なぜだ」

「前に行った時に人がいた」

「…じゃあそいつが犯人なのかもな」

おれたちは見聞色を使ってルフィ共の気配を探したが、1階にはなかった。なら、2階か。


 そういえば気になったことがある。ブルックは幽体離脱をできるはずだ。その気になったらおれたちの方へ魂の姿だけで会いに行くこともできる。なのに、なぜ、なぜ来なかったのだ。


「もし変なやついたらおれがぶっ飛ばす」

そう言ってローがオペオペの能力を手のひらの上で発動した。

「ありがとう…おれはルフィたちを探すよ」

そう言っておれとローは見聞色を再び……





いた


間違いない、人の気配が、1、2、3、4……

仲間の数とぴったりだった。

ローも同じく分かったようで何も言わず、おれたちはその気配のする方向へ向かっていった。


行かなきゃよかったんだ。


「お前ら無事か!!!」

ドアを蹴り開ける。

部屋には「犬」になった仲間がいた、ゾロとウソップ、ロビンちゃんの3人…。

みんな辛うじて生きているが、こちらに返答することは無かった。いや、返答すら聞こえていないのかもしれない。

「おい!ゾロ屋、鼻屋!ニコ屋しっかりしろ!!!」

だが他の仲間はどこにいるんだ?

「麦わら屋は、他の仲間たちはどこにいるんだ!?」

どうして何も喋らないんだ?

「お前ら…まさか!?」

そんな光の無い真っ暗な目でこっちを見ているのに

「あ…喉が……ゾ、ゾロ屋!?」

ゾロは目を開いていない

「お前、目が焼かれ…」

うわあああああああああああ!!!


その後はどうなったか覚えていない。

ローが能力を発動し、3人をテレポートさせたのは見ている。

おれたちはルフィを探した。

それにあの体制は犬というより…あれは…昔読んだクソ悪趣味な本に載っていた、だ、だる…

「うわあああああ!!!麦わら屋ああああ!!!」


ローが突然叫んで、その場に膝先づいた。

おかしい、ルフィなんていないはずだ。

だってあるのは全身が真っ赤、いや、あれは筋肉そのものだな。そうだ、あれってチョッパーの部屋の本に載ってた人体模型じゃないか?

なあ?


23報告

その人体模型はちょっと変わってて両肘と両膝の先が無かった。おまけに胴体部分に大きな×の字が書かれている、そういう傷なのかな。

「麦わら屋!麦わら屋!!しっかりしてくれぇぇぇぇ!!!」

ローが今までに見たことの無い表情で人体模型に迫っていた。おまえばかだな、それはるふぃじゃないよ


ローが子どもになっちゃった。


「うわああああああん!!父様ー!母様ー!ラミー!」

家族の名前を呼んでいる、ローのやつどうしたんだ。


https://telegra.ph/%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A3-01-27


ジンベエはいない、小さな水槽に大きな魚がいるだけだ。

不思議だな、腕と足っぽいっぽいのがある。これなんて言う魚なんだろう、帰ったらオーナーゼフに聞いてみようかな。

2メートルほどの骸骨の模型もあるのか、面白いな。

…あれ、目のところから水が出てる。泣いてるみたい。


「ねえ!見てよ!大きな骸骨ある!凄いよ初めて見た!」

「うええええん…」

「何だよ泣くなよー…怖いのか?あ、すごい頭蓋骨って意外とゴツゴツしてるんだな…まん丸だと思ってたけど違うのか」


「この骸骨鎖みたいなのに繋げられてるんだな…」

「もう帰りたい…」

「えー!?あ、見て!さっきも見たけど大きなお魚!あれなんて言うのかな?」

「…こっち見てるね」

「ほんとだ!ずっと見てる…!けどなんか悲しそうだね」

「お腹空いてるのかも」

「おれたちは食べられねェぞ!!」


その先の部屋にて

「ロー見てよ!ロボットだー!!」

「でもなんか変だよ」

「そうか?」

「だって腕と足ないじゃん」

「あ、そうだね」

「だるまみたい」

「じゃあだるまロボットだ!」


「…ねえ、やっぱりこの骸骨こっち見てるよ」

「え?んな訳ないだろ!!怖いこと言うなよ!!」

「だってさっき振り向いてた気するもん」

「やめろよ!!」

「ご、ごめん…」

「もう帰ろうよ」

「そうだね…戻ろうか」

「うん」


16報告

「ねえ、足音聞こえない?」

「ほんとか?おれには聞こえないぞ」

「だって奥にだれかいるよ」

「え?」

ローが指さす先には人がいた。

「誰だろう…」

おれはじっと目を凝らした。

その人が振り向く

にしし

「「うわああああああああああああああ!!!」」

おれたちは一目散に逃げた。

だって大きな男の人がこっち見てお化けみたいに笑ってたんだもん。


おれたちは海に出た、えっとバラティエはどこだっけ。

「お家どこー!?」

ローがまた泣き始めた。

「あ!船!」

おれは船を見つけた、黄色い変わった形の船だ。

「ねえ!あそこの船に聞こうよ!」


「「すいませーん誰かいますかー?」」

おれたちは船の入口で大きな声で呼んだ。

「「すいませーん!!」」


***


何だか大変な騒ぎになっていた。手と足に包帯を巻いているお姉さんはずっと泣いてて、おれの名前を呼んでいる、

サングラスを掛けた悪そうな兄ちゃんはずっと変な帽子を被った人たちと何か喋っている。

何かおかしなことしちゃったのかな。


「おれたち何か悪いことしちゃったのか…?」

ローに話したが

「分からない」

そうだよな

おまずは泣いているお姉さんを慰めるために色んな話をした。

「お、お姉さん…泣かないで…そうだ!さっき面白いもん見たんだ!だるまみたいなロボットにデカい骸骨標本とお魚!あと胸にXみたいな文字付いてた人体模型みたいのものもあったなー!べ、別に怖くなかったぞ!」

「いやあああああああああああ!!!」

「え?ご、ごめんなさい!!!」

しまった、お姉さんには怖かったのかな。


「なあ」

「あ?」

「さっきの大きな男の人サンジも見ただろ?」

「ああ」

「あいつ何か変じゃなかった?」

「え?」

「だって何かマスクみたいなの被ってただろ?」

「そうか?人の顔じゃなかったか?」

「うーん、何か違うんだよな、ラミと怖い絵本読んじゃった時あったんだけど人の顔のマスクを被った怪人に見た目がそっくりだったんだ」

「そんなぁ」


「あと変な生き物いた」

「え?」

「お前その時骸骨ばっかり見てていなかったよな」

「何なんだ」

「隣に部屋あったんだけど、犬みたいになってる人がいっぱいいたんだ。みんなこっち見てて泣いてた」

「なんだそりゃ?」

「えーっとえーっと、みんな鎖で繋がれてて、あと、女の人みたいなのもいたな、あ、あとシカの剥製もそこにあった」

「えーーー!!おれも呼べよ!」


そういえばここに電伝虫があるのか。

これ使ってゼフに迷子になっちまったこと伝えようかな。あ!昔迷子になった時海軍の兵隊さんについて行ったことあるんだっけ!


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