『犬吠埼家の抱き枕』

『犬吠埼家の抱き枕』




 そう、これはまだ俺が風と樹の2人と恋人になる前のお話だ——

 

 

夜も更けた時間帯に程よい硬さの枕と柔らかいマットレスに身を委ねていると、僅かな衣擦れ音とベッドに小さな揺れが起こったのを感じた俺は閉じていた目を開いた。

 

「ん~?何だ結局潜り込んできたのか——ねーちゃん?」

 

瞳を涙で潤ませた姉が、マットレスの上で女の子座りをしながらも、そっと俺の服の端を握っていた。

いつもの元気溌剌とした姿と違って身を縮こまらせながら震えているせいか、普段よりもか弱く見える。

 

「今夜は1人でも平気じゃなかったのか?」

「——っ!ワイぃ……」

 

——ああ、しまった……言い過ぎちまった。

食後にねーちゃんと樹との3人で見たドラマの内容がホラー要素たっぷりだったので怖がりなねーちゃん1人では寝られないんじゃないかと思って気を遣って声を掛けたのだが「アタシは平気よ!全然怖くなんて無いんだからっ!まぁ、ワイが怖いんだったらお姉ちゃんが添い寝してあげるわ!」と意地を張られて断られてしまったのだ。

断られ方にちょっとイラっとしたからその意趣返しと、今の弱っているねーちゃんの姿が珍しくてつい意地悪なことを言ってしまったが、ねーちゃんがびくっと体を震わせたのを見て言い過ぎてしまったのだと後悔した。

 

「悪かった、俺の言い過ぎだった。ごめんなねーちゃん。ほら、俺は嫌じゃないからここ来いよ」

「う……ん」

 

左腕を伸ばしてベッドを促すとおずおずとした動作で俺の左腕にねーちゃんは頭を乗せた。

それも態々俺の方を向く形で……だ。

——ん?俺ベッドを促しただけだよな?何でねーちゃんは俺の腕に頭を乗せてんだ?何故?

混乱する俺の姿に気付かないねーちゃんは安心したように目を閉じると、俺の腕の寝心地の良い場所を確かめる様に僅かに頭を動かした。

ねーちゃんから漂うフワッとした髪の良い香りと金糸のような髪が肌をなぞる感触に俺の心臓がドクンと跳ねる。

いや待て、落ち着け俺。

いくら美人とはいえ相手はねーちゃんだ。

そう心の中で思ってはいたけれども、近くで見る姉の姿に興味を惹かれて目線が離せない。

自分の独断ではあるが目鼻立ちは整っていると思うし、今は閉じられてはいるが緑の瞳も綺麗だしマットレスに広がる長髪も美しいと思う。

服装は寝間着だからか首元がゆったりしたデザインで、特に最近発育著しい胸の谷間につい視線が固定されそうになったものの、理性を総動員して何とか目を逸らした。

思わずその双丘に右手を伸ばそうとしてしまったのも絶対にねーちゃんには内緒だ。

心臓の鼓動が早くなるのを感じて、隣にいるねーちゃんにバレやしないかと冷や冷やしていると目を瞑ったままのねーちゃんが口を開いた。

 

「ねぇワイ……怒ってない?」

「怒ってねぇよ。ねーちゃんが俺を頼ってくれないって勝手に拗ねて意地悪言っちまったんだ。ごめんなねーちゃん」

「アタシも素直にアンタを頼らなくてごめんね。フフッ、ワイってばこんなに逞しくなってたのねー。お姉ちゃんは嬉しいぞ」

 

間近でねーちゃんから褒められて嬉しさと恥ずかしさで顔が真っ赤に染まる。

ああ、くそっ……。ねーちゃんが目を瞑っていて良かった。

こんな顔見せられたもんじゃない。

俺が恥ずかしさで悶えていると、人肌に触れて安心したのかねーちゃんは直ぐに眠りについた。

ただ、眠る前に「ん~ワイぃ……良い匂いがするぅ……」って言うのは反則だ——

 

 

————

 

 

ねーちゃんの寝息をBGMに悶々としてしまった俺が天井を眺めていると、部屋の扉が開く音が聞こえた。

誰かなんて言うまでもない。

妹の樹が枕を両手に抱えて部屋の入口に突っ立っていた。

俺と視線が合った樹は狼狽える様に慌て出したので空いている右手で手招きしてやると、呼ばれるとは思ってなかったのかおっかなびっくりした様子で近づいてきた。

俺は隣で眠っているねーちゃんが起きないように小声で樹に話しかけた。

 

「どうした樹?お前も怖……あー、樹も一緒に寝るか?」

「っ!う、うん!!」

「樹、声が大きい。ねーちゃんが起きちまう」

「ご、ごめんなさぃ……」

 

わざわざ枕を持ってきたんだし樹も1人で寝るのが寂しいんだなと思って一緒にどうだと提案したらまさかの食い付き様でビックリだ。

樹にしては珍しい大きな声だし、ねーちゃんも起きたのではと思ったが、その心配は杞憂でねーちゃんは穏やかな顔で眠ったままだった。

ホッとした俺は小さく息を吐くと、空いている右側のマットレスをポンポンと右手で叩いて樹を促す。

しかし樹は動こうとしないばかりか、ねーちゃんの顔と俺の右手を交互に見やった。

んーと……これはもしかして……。

ああ、こうなったらもう自棄だ。

 

「樹、……嫌じゃなかったら俺の腕使うか?」

「良いの、お兄ちゃん?」

「気にすんな。ねーちゃんもぐっすりだし寝心地は保証するぜ」

「うん、ありがとうお兄ちゃん」

 

笑顔でとてとてと近づいてくる樹に右腕を差し出すと、枕を置いた樹はねーちゃんと同じようにおずおずとした動作で俺の右腕に頭を乗せた。

こういった仕草は姉妹そっくりだなと俺が微笑んでいると、樹は照れたのかはにかんだ笑みを見せた。

その笑顔にまた俺の心臓がドクンと跳ねた。

樹もまたねーちゃんに劣らない良い香りがしてくるし、甘えたように腕に頬刷りしてきて樹のもちもちの頬っぺたや柔らかい髪の感触にどぎまぎしてしまう。

「相手は妹なんだぞ」と何とか抑えることに成功したが、俺が樹の兄ちゃんでなければ本当にやばかったと思う。

それだけ樹は可愛らしかった。

 

「えへへ、お兄ちゃんありがとね」

「いいよ気にすんな。樹が喜ぶんなら安いもんだ」

 

朝になったらねーちゃんと樹の枕になった両腕ともに辛いことになってる様な気がするが、2人が喜んでくれているのだから些細なことだと思う。

それだけ、自分にとってこの姉妹は大切な存在なのだから。

樹もまた直ぐにすぅすぅと可愛らしい寝息を立てたのを横目で見て俺は満足すると、再び天井を見上げた——

 

 

—————

 

 

しかし、何というかあれだな……うん。

 

寝れねぇ!!!

 

いやだってあれだぞ、きょうだいとはいえ美少女姉妹が俺の隣で俺の両腕を枕にして寝てるんだぞ。

寝れるわけねぇだろ!

そもそも何で俺は最初にねーちゃんに一緒に寝るか?なんて言っちまったんだよ。

姉とはいえあんな美人が隣にいて寝られるわけねぇよ!

さらには樹まで一緒にどうだって誘うって何考えてんだよ俺は!

どんどん可愛さを増していくとはいえ妹だぞ!

その2人を纏めてとか何処のハーレム野郎だよ!

ハァハァ……駄目だ。

両隣から良い香りがしてくるし、2人の寝息が聞こえるしで頭が変になっちまってる。

腕の当たる感触も意識すんな。

 

ただでさえ——「ん~っ、ワイ~」「おにいちゃん~」

むぎゅっという音とともに俺の身体に柔らかい感触が当たった。

どうやらねーちゃんと樹が俺に抱き着いたようで、2人のフワフワした身体が俺に押し付けられているようだった。

ねーちゃんの上半身の出るところは出た部分が俺の胸に当たって形を変えているのが分かる。

樹のむき出しの細い太ももが俺の腰に巻かれているのが分かる。

2人の柔らかい部分のそこらかしこが俺に当たっているのが分か——


「くぇrちゅいおp」

 

大切な姉妹に挟まれるという余りにも幸せすぎる状況に耐えきれなくなった俺は、何言っているんだか分からない奇声を発しながらも意識を闇へと沈めたのだった——

 

 

——朝になって俺が目を覚ましていた時に既に起きていたねーちゃんと樹が目を逸らしながらも俺の一部をチラチラ見てはいたけども、これは朝の生理現象だからな!

だから溜まっているわけじゃないから真っ赤な顔になってまで自分の下着を持ってきて「ァ、アタシので良かったら……つ、使う?」なんて言うのは止めてくれねーちゃん!!

樹も「だ、だったら私も」なんて言い出さなくていいからっ!!

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

——天井を見上げながら俺はかつての出来事を思い出す。

あの頃は2人への恋心をしっかりと自覚してなくて、事あるごとに家族愛だと言い聞かせて否定したりしていたっけ。

俺の両腕はかつての様に風と樹の枕になっており2人とも満足そうな笑顔で眠っている。

あの頃と違っているのは俺たち3人で恋人になったことと、俺たちが今一糸纏わぬ姿でベッドに沈んでいることだろうか。

さらに今ではあの時の様に、眠っている風と樹の身体に欲情したりなんてしないくらい俺の理性も強く——「ワイ~♡ もっと注いでぇ~♡ アタシのオマンコぉ~いっぱいにしてぇ~♡」「お兄ちゃん~♡ わらしもぉ~♡ びゅ~びゅ~してぇ♡ はりゃませてぇ~♡」という破廉恥な寝ごとを言いながら、あの頃よりも魅力的に育った身体を寝ぼけて俺に押し付けてくる恋人たち。

俺の手に何とか収まるくらいに実った風の豊乳は「もにゅんっ」という音を立てながら俺の胸板で弾むと、その柔らかさを見せつける様に幾度も形を変える。

風の胸の先端の突起も絶頂から間もないためか硬いままで、「コリ、コリ」と音を立てて俺の肌をなぞると、風は敏感すぎる為か「んああっ~♡」と喘ぎ声をあげた。

真っ白ですべすべな太ももを俺の腰に巻き付けた樹は足の付け根の花弁を擦り付けては「んっ♡」だの「ああっ♡」だの艶めかしい声をあげてきた。

花弁からは俺が注いだのとは違う、トロトロの蜜が溢れ出してきて、それが潤滑油となって擦られるたびに「にっちゃ、ぐっちゃ」と厭らしい音を奏でている。


両方と2桁を超えてたっぷりとほにゃほにゃをして満足したかと思いきや、まったく寝ぼけながらも俺の身体を使って1人ほにゃほにゃをしようとする悪い恋人たちにはお仕置きだな。

俺は2人が俺の胴体を挟むようにしがみ付いた事によって自由になった両手の指を3本立てると、夢中になって体を擦り付けてくる風と樹の花弁の穴へと突き刺した。

そのまま2人が俺の雁高ほにゃ棒で感じやすい好きな膣襞の部分をそれぞれ指で擦り上げてから一息に抜き切った。


「「いっきゅううううううぅううっ~~~~♡♡♡」」


2人の敏感な部分を弄ったことで寝ぼけたまま絶頂した2人は、すでに天を突くようにそそり立つ俺のほにゃ棒へと大量の潮を吹きかけると、快感が強すぎたのかそのまま意識を落とした。

手持ち無沙汰になった俺は風が感じやすい豊乳を揉みしだき、さらには樹の感じる桃のようなお尻を撫でまわす。

気を失っているのに「あんっ♡」、「もっとぉ♡」と声をあげる2人をまだまだ気持ち良くしようと考えていると、急に2人に抱きしめられた。

俺の両手も一緒に抱き抱えられて、肌の大部分が密着する形だ。

てっきりようやく目を覚ましたのかと思いきや、2人は「すぅすぅ」と静かな寝息を立てていた。

疲れたように眠る風と樹にちょっとやり過ぎだったかなと反省した俺は、しがみ付いて離さない2人をそのままにして瞳を閉じた。


「……まあでも起きたらすぐにでもほにゃほにゃを欲しがるだろうし、その時はたっぷりと風と樹を愛してやらないとな」と俺はにんまりと笑うと、愛しい恋人たちの抱き枕を受け入れて眠りにつくのだった。

 

 

END

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