牢の中で食うチーズは...それなり
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「チーズを貰いましたわ!」
「随分サラッと...死神から貰ってきたな」
「どんな奴からだろうと貰えるものは貰う ホームレス時代の教訓ですわ」
「ウム...まぁ牢の中では出来ることはあまりないしな」
チャドと岩鷲さんにチーズを分けつつ石田君の回復を待つ
(石田君はやはり...滅却師の力を失っていますわね)
ぐったりとして動かない石田君を見つつチーズをフォークで口に運ぶ、まぁ味は悪くない
しばらくして石田君が目を覚ました...どうやら力を失ったことは言わないようなので一旦こちらからは言及しない事にした。もし戦う場面があれば流石に止めるが
「んん...?なにやら外の霊圧が妙な動きをしていますわね」
「霊圧どころか何か破壊する音まで聞こえるな...警戒しろ翼」
t次の瞬間には牢は随分と開放的な様相へとリフォームされた...あれは
「十一番隊長 "更木剣八"!」
「誰だお前」
「ええと...この子は虎屋翼ちゃんです!」「うーん タスタスで!」
(井上さんが肩にいる⁉あとそのタスタスってなに?)
どちらにせよ敵である死神に井上さんが捕らえられて捕まっているのならやることは一つ!
「状況は芳しくはないですが...井上さんを離してもらいます!」
「ちょっと翼君⁉」
「枷嵌められて碌に力も出ねぇヤツが戦ってもどうしようもねぇだろ」
実際霊圧は込めることは出来ませんしその辺は承知の上、その上で出来ることを全力でやる
(この状況で相手を傷つけるための一手は...『傷口を狙え』 なるほど何か知りませんが傷口があると!)
しっかりと目をやれば胸に大きな傷跡と縫合跡が見えた...そこをフォークで素早くだが確かに梳く。縫合し閉じていた傷口がすこし開き血がゆっくりと流れる
「あぁー!せっかく治しに行ったのにー!」
副隊長である草鹿やちるがなにやら言っているが考えている余裕はない
「案外機転が利く野郎だな...てめえにやる気があるならいいぜ!」
手入れなどほぼされていない斬魄刀を抜き放ち、縦に一閃。その攻撃を利用し枷を壊した、この状態なら周りの物の中で戦闘に幾らか使えるものもある...傷口を開いて内臓へと攻撃を届かせれば多少抵抗してみんなを逃がすことは...
「待ってください!翼ちゃんもちゃんと話を聞いて!」
私達二人の間に大きな盾が作り出される...井上さんの三天結盾だ
警戒はしつつも一旦は戦闘を止める...相手がやる気ならこちらは動くつもりだが
「剣ちゃんも目的忘れて戦おうとしちゃだめじゃーん!」
「戦ったらなかなか面白そうな奴だったのによぉ」
どうやら更木剣八は私たち全員を外へと連れて行ってくれるらしい...『信用して大丈夫』...どうやら第六感もお墨付きを出してくれたので信用は出来そうですね。
私たち一行は牢をでて再び瀞霊廷を闊歩することになった。