⚡️⛵️➕🐢父

⚡️⛵️➕🐢父


⚠️完全幻覚SSもどき、解釈違い

⚠️持ち出し禁止

⚠️🐢父思い出話捏造

⚠️誤字脱字改行✖️など

俺の父は所謂『大種牡バ』といわれていたヒトで、俺は彼が年をとってから産まれた息子のひとりだった

結局逢えたのは一度きり。それもまだ俺が幼駒のとき。正直どんな会話をしたのかさえよく覚えていない。ただ、頭を撫でてくれた大きな手や、優し気に細められた金色の瞳だけ、憶えていて。


ーーあの時、最後に父さんは何て言ったんだっけ。


「…ボルトくん、朝ですよ」

「……アズ?」

「はい。アズールですよ?」


目の前の恋人は上機嫌に笑っていて、その笑顔が眩しくてチカチカした。

もうすでに身支度はすんでいるようで、水色のカットソーがよく似合っている。


「…って、今なんじ!?ごめんアズ、俺寝坊した?」

「ふふ、そんなに慌てなくても大丈夫ですよ。まだ7時をまわったばかりですから。

朝ごはんできたので、呼びに来たんです」


冷めてしまう前に食べましょう?なんてまた微笑って、アズールは寝室から出て行った。

去年の秋、引退後に決死の想いで告白した彼と恋人になって早5ヶ月。

いまでも正直信じられない。いや、もう既に一緒に暮らしているのだから、信じられないもなにもないのだが。

ずっと片想いしていたのだから、尚更。


「…しかし、なんだか懐かしい夢を見たな…」


父さんの夢だった。

2004年のダービーバ。引退こそ早かったものの、その後種牡バとなり、たくさんの優秀な子どもたちを送ってきた父は俺の憧れであり…目の上のたんこぶだ。現役の頃だって、父の子、ということで相当なプレッシャーを受けていたし、G 1を勝った後は、言わずもがな。その後は中々勝てず、引退をすることになった。これに関しては納得もしているし、俺自身よかったとは思っている…多少の悔いは残るが。

きっとこれからの仕事に緊張しているせいだ。だから父の夢を見たんだろう。そう切替えて、ベッドから降りて身支度をした。


「おはよ…朝ごはん、作ってくれてありがとう」

「おはようございます。いいんです、今日はなんだか早く目が覚めてしまって…」


はい、と渡されたコーヒーを啜る。

ほのかに香るはちみつの匂い。フレンチトーストを皿に移しながら、それに、とアズールは少し間を置いて付け足した。


「…恋人になってはじめてのお誕生日ですから。やっぱり朝ごはんはボルトくんの好きな物を作りたくて」

「!?…あ、ありがとう」

「…ふふ。今日は遠出しますからね。しっかり食べて、英気を養ってください?」


こと、と皿をテーブルに置いて、アズールはちょっといたずらっぽく微笑む。

その笑みに顔が赤くなるのが分かる。

不味い。なにが不味いって、いま飲んでいるコーヒーではなく、アズールが可愛すぎて不味い。

彼、ヴェラアズールは自分より背も高く身体付きも間違いなく男性だ。なのに可愛く見えてしまうのは、やはり惚れた弱みのせいなのか…いや、顔立ちは中性的な美人なのだし、それだけではないはず…


「あ、それと…」


なんて悶々と考えていると、アズールが俺の近くまで来て、跪いた。

右手を取られ、あ、と気づいたらときには手の甲にキスをされーー

アズールは愛しむように、俺に呟いた。


「お誕生日、おめでとうございます…どうか貴方のこれからのバ生が、幸せなものでありますように」



『幸せになれ』



…そうだ。父は俺にそう言っていた。

競走バとして成功するものは一握り。多くのウマはO Pバになることすら難しく、重賞、ましてやG1を勝つウマなど数えるほどしかいない。父の子どもたちだって、勝つことすら叶わなかった…競走バにすらなれなかったやつだってたくさんいたはずだ。

だから。たとえそのバ生が上手くいかなくても。苦しいものになったとしても、幸せを諦めないでほしい…幸せに、なってほしい。

そう、言ったのでは、ないだろうか。


「…ボルトくん?どうしましたか?」


アズールが心配そうにこちらを覗き込んだ。

しまった、なにか誤解されてしまったかもしれない。

俺は慌てて首を横に振った。


「あ、ご、ごめん…ちょっと、父さんのこと思い出して」

「お父さまの?」

「うん…さっきアズが言ってくれたみたいに、俺に言ったんだ…『幸せになれ』って」

「…そうですか…素敵なお父さまだったんですね」

「…どうだろう?一回しか逢ったことなかったし。…でも、」


思い出す。頭を撫でてくれた大きな手。優しげに細められた金色の瞳。

そして、目の前にいるーーー俺の最愛。


「父さんの言うように、幸せになろうと思う…アズと、一緒に」


アズールの蒼い瞳が見開かれてーーその後、優しげに細められた。


「はい…一緒に、幸せになりましょうね」





⚡️「室内に露天風呂って最高だなー…」

⛵️「いいですよね、ヒトを気にせずゆっくり浸かれますし…今日は色々歩き回りましたからね、ボルトくん疲れたでしょう?もしよろしければマッサージしましょうか?」

⚡️「え゛!?!いいよ、そんな至れり尽せりな…あれ、アズ。耳飾りつけてるなんて珍しいな?寝る時はいつも外しているのに…しかも金色のリボン…」

⛵️「!!!こ…これは…ですね……

その…」

⚡️「?うん」

⛵️「…ぷ、ぷれぜんとは、ぼく…‥……なんて…」

⚡️「…………へ?」


お目汚し失礼しました!!!


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