爆買いデートここ拓

爆買いデートここ拓

モテパニ作者

ここね「…」

9月4日オークションの日、この日いつも通りあまねによってみんなが集められ企画されたイベントが始まった。

その内容はオークションの日にちなみ品田拓海を1日好きにする権利をかけてオークションが開かれたのだった。

各々の財力が試されるこの企画多少は白熱したが、結局勝敗を分けるのは個々の懐事情であるため努力する余地もないため順当にお小遣いの多いここねが勝ったのだった。

問題はその後だ。

あまねいわく。

〜〜〜

あまね『今から二人にはこの落札金でデートして全額使ってもらう』

ここね『な、なんでいきなり?』

あまね『オークションの日なのでこういう企画をしたが、このお金を私や品田の懐に入れるのはまずいだろう。かといってここねにそのまま返しては茶番になってしまうし他の者にも悪い。ならば遊興費として全額使ってしまうのが一番丸い。品田もそれでいいだろう?』

拓海『まあ、芙羽がそれでいいならいいけど』

あまね『どうする?受けないなら全て無しだが』

ここね『え、ええっと…』

あまね『ああ、安心していい。今回のデートはこのお金を使うため発生した"義務"だ。だからここねの好きにする日は別の日にすればいい。なあ品田』

拓海『たくっ、勝手に決めやがって』

ここね『///』

〜〜〜

という事情だ。

ここね「(うぅ、ゆい達にお金使わせるのが気が引けたからって理由で勝ち取ったのにこんな事になるなんて。でもこういう機会でも無いと拓海先輩を一人でデートになんて誘えないし…)」

拓海「どうする?今日は予算を使い切るって予定だし、変わった感じになりそうだな」

ここね「ははは…なんだか最近やってるテレビ番組みたいですよね」

拓海「あーあれか。あれ俺はあんまりだけど母さんが好きなんだよなぁ」

スターが地元に還元するという名目で大金を使う番組。

この状況は確かにそれを彷彿とさせる。

とはいえあの番組のように何十万と使えるわけでは無い。

拓海達はあくまで中高生の子供だ、自由にできるお金は限られている。

まあ…今回ここねが出した金額は中高生の使える範囲を基準にすると少々大人気ない金額だが。

ここね「(三万円はやりすぎたー!)」

ここねの提示額は中学生が出すには大き過ぎた。

元々多いお小遣いに加えて彼女に浪費癖が無かったので無理ない範囲が広かったのだ。

ここね「でも…どうしましょう?こんな事になると思ってなかったからわたし何も考えてなくて」

拓海「なら俺がエスコートするよ。今回芙羽のおごりで出かけてんのにプランまで芙羽に任せるのもなんだし」

そういうと拓海はここねの手を軽く引きここねをデートに連れて行くのだった。

〜〜〜

一方その頃

ましろ(まし拓)「なんでこんな酷いことするのー!?」

残された者達の中でましろ(まし拓)が嘆いていた。

ましろ(まし拓)「こんなの努力じゃどうにもならないよ…わたしお小遣い少ないのに…」

らん「ましろんってお小遣い少ないの?」

ツバサ「ましろさん数が多いのでその分分けられてるみたいですよ」

ゆい「それってましろちゃん本人はいいの?」

ましろ(常識人)「んー、まあ仕方ないかなって」

ゆり「ましろ…あなたは少し優しすぎる」

ましろ(作家)「しょうがないなぁ、だったらわたしと一緒におばあちゃんに内職もらうの頼もうよ」

ましろ(まし拓)「え!?そんな事してたのわたし!」

ましろ(常識人)「(わたしも知らなかった…)」

ましろ(作家)「うん。だって作家作業にはいろいろお金がいるからね」

ましろ(まし拓)「うぅありがとうわたし、よーし今度こんな事があっても負けないよー!」

あまね「(もうやるつもりは無いんだが、まあ彼女らは特殊な存在だし自由に使えるお金を持たせる意味で放っておくか)」

〜〜〜

ここね「ほぅ…」

それから数時間、昼も挟んでひと段落しカフェで少し休憩に入っている。

拓海「どうだった?」

ここね「ええ、とても楽しかったです。でも」

拓海のプランは時に食べ歩き、時にショッピング、昼食も満足のいく店に連れて行ってもらい"ここね個人としては"文句はない。

ただ一つ問題が。

ここね「わたし達、お金そんなに使って無いですよね?」

拓海「うっ!」

拓海のプランはあくまで学生に無理ないお手頃なものだった。

学生である拓海には大金を使うのに慣れていなかった。

拓海「くそう、金って意識してない時は支出増えるのにいざ使おうとすると使い方わかんねえ…」

それこそ先程例に挙げていた番組と似た現象だ。

ここね「…拓海先輩、拓海先輩の一番高い買い物ってなんですか?」

拓海「一番高い買い物?んー…ベースかな」

ここね「ベースって、楽器の?」

拓海「ああ、前に思い切ってな。曲なんかも軽く作ってみたりとか…あ!」

趣味の話でつい夢中になってしまうところだったと思い当たり自分を正す拓海。

しかしここねはその様子を見て何やら思いついたようだ。

ここね「だったらいいところを知ってますよ」

〜〜〜

所変わってここは楽器屋。

拓海がベースを購入した店とは違う場所。

拓海「おお…芙羽はなんでこんなとこ知ってんだ?」

ここね「実は前にお気に入りの音楽CDをもっといい音で聴きたくていいコンポなんかを探した事があって」

拓海「そりゃまた大きな話だな」

中学生がコンポが欲しいとは思ってもなかなか手を出せるものでもない。

今日は少しここねが遠く見える。

もっともコンポなどはこういう店では無く電気屋などが主な販売店だが…

ここね「今日はここで拓海先輩のベースに使えるアンプを買ってみませんか?」

拓海「え、いいのか?」

拓海も音楽を本格的に志す者ではない。

そうなれば楽器そのものには手を出せてもオプションまでは流石に手が出しづらい。

なので今回の事は拓海にとってとてもいい話だが、拓海は今回のデートの資金はあくまで二人で楽しむために使うものと認識していた。

拓海の物、しかもかなり高価な物を買ってもらうとなるとやはり気が引ける。

ここね「はい。でもそのかわり…」

ここねはイタズラを思いついたような笑顔で

ここね「今度わたしが好きにしていい日に拓海先輩のベースを聴かせに来てください。もちろん今日買うアンプも一緒に。それが条件です」

拓海「…!ああ、お安いご用だ」

そうして二人は選ぶ。

二人だけのコンサートを盛り上げる物を…


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