無題
その日2人は心から繋がった。
お世辞にもウタの技術は上手いとは言えなかった。
けれども破瓜の痛みを必死に堪える姿、痛みが引き顔を蕩けさせる姿、弱弱しくもしっかりとルフィに縋り付く姿など、新時代を誓い合った女のさまざまな姿がルフィの脳の奥まで響き、愛おしさを感じさせ、ルフィの劣情を刺激した。
お互いに名前を呼び合いながら愛し合う。
ルフィは時折ウタの体に赤い華を咲かせながら愛おしそうにその髪を撫でる。
ウタはそれを嬉しそうに目を細め、受け入れる。
手を繋ぎ指を絡めて相手の存在を確かめ合う。確かにそこにいるのだと確認する。
ウタの寂しさを埋めるように強くもう片方の腕でウタを抱き寄せる。
驚いた表情を見せるウタだが、すぐにその目は和らぐ。
向かい合い、互いの名前を愛おしそうに呼び愛し合う。そして…お互いに果てる。
ルフィはウタに自分を刻み込む。
ウタはそれを受け止める。
それが終わるとどちらからともなくキスをする。
照れ臭そうに微笑むウタに再び愛おしさが溢れ出す。
結局その日は太陽が出るまで愛し合い、目を覚ましたのは昼をとっくに過ぎた時間帯だった。
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数日後……
「じゃあね!ルフィ!シャンクスによろしくね!」
「おう!任せとけ!またな!ウタ!おっさん!」
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「……よかったのかい?ウタ…彼らと共に行かなくて…」
「うん!私は赤髪海賊団の音楽家だからね!」
「そうか…」
「ねぇゴードン!配信の頻度を少し下げようと思うんだけどいいかな?」
「ん?どうしてだい?」
「それはね…エレジアを復興させたいんだ!」
「む…」
「私が巻き起こした悲劇…復興させるだけで償えるとは思ってないけど、少しでも償いたいんだ!だから…私に手伝わせて!」
「君は何も……いや…わかった!ウタ!君の力を存分に借りよう!一緒にこの国を復興させよう!」
「うん!頑張るよ!」
「………とはいえ今日は色々なところに連絡をするだけにしよう…ウタは今日はゆっくりしていなさい」
「わかった!」
「……………さて」
ーーーーー
「………………」
パチパチパチパチ…
「………これでこの楽譜はこの世から消え去った…これをあの時までに選択できていれば……いや…悔やんでも仕方がない…あの子があそこまで言ってくれたんだ…私もそれに応えねばな…」
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しばらく後…
「ゴードン…ごめん……妊娠したみたい…」
「な、なにぃいいいい!!?」
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「ぬうぁあああああ!!ルフィくん!君はなんてことをしたんだ!!」
「あははは…まあ私も覚悟の上であれだけ愛されたからね…仕方ないかな?」
「いや!しかし!?」
「私が誘ったんだよ?いなくなる前に思い出がほしいって……ルフィの愛がほしいって…それにルフィにも伝えてあるよ?子供できてるかもしれない……というか絶対にできるけど気にしなくていいって」
「な、なぜだい!?」
「ルフィは海賊王になって新時代を作る男だよ?こんなとこで止まってる男じゃない…それにいずれ会いにくるからね…それまでは私がこの子を育てるよ」
「………ウタがそういうのなら……だが!一発は殴らせてもらうぞ!いいかね!?」
「あはは…うんいいよ?」
「よし…!今のうちに鍛えておくべきか…いやしかしーーー」
「ルフィ…愛が多いあんたにとってはそのうちの1人の女に過ぎないかもしれないけど………ルフィに限ってそれはないか…順位はつけないもんね、あいつ……ルフィ…私はあなたを愛してるよ…どうか無事に生きて…それで…きっと私とこの子に会いに来てね…」