無題
黒ひげに拐われてからもう何日、何ヶ月たったか分からない 窓も何も情報を得る手段がない部屋にいきなり閉じ込められ だが血が出るような拷問をされるわけでもなく海軍が持っている情報を吐けと言われるわけでもなく 敢えて言うなら性暴力、は日常的にあるがあれは拷問目的というよりむしろ恋人に愛を与えるような優しいものである
現に今も
「なァコビー」
「………っ♡やめっ♡あっ♡」
だなんて体格差はあるもののその愛を受け入れている何がどうしてこうなった?黒ひげは何が目的?前に何が目的だって聞いても「欲しいのはお前ェだコビー」なんて言われて余計混乱するばかりだし抱かれるのには変わりない
拐われる前の自分がみたらどんな顔をするのだろう
引くのだろうか それとも___
そしてこの誘拐には変わった点がある
それは
「コビーお前ェはお姫様だ、何もしちゃいけねェ、したい事があったら俺たちがする 動くことも食事する事も着替えも風呂も勿論排泄もだ イイな」
全く意味がわからない 行動の一切を与えるという意味では拷問の部類に値するのだがその手つきがあまりにも優しすぎるのだ それと着替える服装がどこからの海賊から強奪してきた女性用のドレスを着せているという点についても だ
「あの」
「なんだァ」
「なんでこのような服を着せるんですか 僕は男です」
至極当たり前な事を伝える が、黒ひげもまるでさも当然かのように答えを出す
「あァ何言ってるんだ?この船の姫様を綺麗にしてなにもさせないようにさせるのは当然のことだろ?お姫様は従者にあれやこれさせてればいい それの何が問題があるんだ?」
会話が成立しているようでしていないため頭が痛くなった もうどうにでもなれとここにいる限り逃げる術はないのだから
ただ 感覚が ここにいる感覚が長すぎたせいなのか
黒ひげとその海賊団達に予想よりも優しく扱われているのに酷く安心してしまい 心地よくなってしまいそれが目的なのか、優しく扱い真綿のように包み込みここから逃げ出さないようにするのが目的なのか もう考えるのすら面倒くさくなり始めている
だから僕は
海軍に見つかったとき
どうなっているのだろう
素直に救助を受け入れるのか拒否するのか
自分の足で歩くことが出来るのか
この人達なしに生活できるのか
そんな事を思いながら黒ひげの胸に寄りかかって声を聞きながらその撫でる手に謎の心地良さを覚えながら目を閉じるのであった