無題

無題




なんでこいつは子を連れて船内にいる

「おい」

「はい」

「何をしている」

「ああ、いえこの子がぐずってしまったので この船は海底にいるので歩く場所は限られているんですが……」

「すみません部屋の中にはなるべくいるようにはしてるんですが………」


そんなことを言いながら抱き抱えた子をあやしているのは海軍本部で大佐をしていたはずのコビーだ

なんでこいつがこの船に しかも女の姿になっているのかっていうのは少し前に遡る




燃料や物資の補給のためにとある島に上陸のために一時的に上陸したハートの海賊団 

各担当に分かれて補給に当たっていた

はずなのだが

「キャプテン!!!」

そう慌てて帰ってきたのはイッカクと街へ行ったはずのクルーのベポ

「どうした、イッカクと一緒じゃなかったのか」

「そうなんだけど 人を見つけて」

「あ?」

人を見つけたぐらいなら何故そんな血相を変えて帰ってくる?

「その人の格好が………その………とにかく見て欲しいんだ、 イッカクが傍にいるけどキャプテン早く呼んできてっていつものイッカクじゃなくて………」


………どういうことだ??

とりあえず処置道具をもって船に残っていた船員に留守番を頼み、ベポとその場所へ向かうことにした


「キャプテンここ、ごめんここから先は匂いがきつくて近寄れない」

そうベポが指さした先は

「彼岸花……の花畑?」

彼岸花 別名曼珠沙華 有毒性もあり口に含んだりすると危険だ  まぁ口にすることは無いが  にしてもなんでこんなところに……

そんなことを考えながら歩き進めるとイッカクの姿が見えた と同時にベポが言っていた人が見えた

「おいイッカクどうした」

「あ!キャプテン!この人、この人助けてあげてお願い!!」


そう言われて見た先には


女がいた

女がいたのだ


ただし全身傷と痣だらけで白濁したものが大量につけられ後ろに手を縛られた 明らかに無理矢理性暴力を受け捨てられた 

女がこの大量の彼岸花の花畑の中にいた


「ッチ」

「キャ、キャプテン助かるよね………この人………」

分からない

分からないが女をこのまま見捨てるのは医者として出来ない

「とりあえず連れて帰るぞ」

「アイアイ!」

そうイッカクに伝えて女を抱き抱えて花畑から離れた所で待機してたベポと船に戻った


同性である女性のあんな姿を見てしまったイッカクは動揺してしまい「もっと早く見つけてあげれば良かった」「ごめん」と動揺していたがそこはベポが付き添ってくれている


それより目の前の女だ にしてもこいつどこかで……?

いやそんなことは後にしよう治療に専念する






「あっキャプテン!!!あの子は!!」

「外傷酷いが命に別状はない」

「良かった」

「が」

「が?」


この先を言うのか言わないのか 本人のプライバシーもある ましてや見た目の傷が酷いだけならともかく……


「キャプテン?」

「………」


その時部屋の中から物音がした

もう起きたのか

女は医療ベットの上に座っていた

「………助けてくれたんですね」

「あぁ」

「僕のことわか……っているようですねその顔は」

「俺の知っている同名は男だがな」


緊張が走る 


「あなたが思っている人で正解ですよ」

「あの事件ではお世話になりました」

「改めて僕は海軍所属 コビーです」





「今は女性ですけどね」





こいつの話をまとめるとこうだ


数ヶ月前から定期的にあの黒ひげに複数回に渡り定期的に誘拐されその度に陵辱されているとの事

体についてる傷は全てその傷だということ 

なぜ女になったってるのかはあちらにいた能力者によって女性の体にさせらた事 ご丁寧に子宮もあるし月経も来るとのこと


海軍はこれを把握し黒ひげ殲滅の体制に当たっていること



「あとこれはちゃんと調べなきゃ分からないのですが…………」


「恐らくこの中にあの人の赤ちゃんがいます」

「は?」

何を言っているか分からなかった

妊娠?ガキがその身体に?


"ROOM"

"スキャン"

「えっ何するんですか」

「黙ってろ」


……………マジかよ








「誘拐され始めた頃1度あの人がいない間に隙を見て逃げようとしたんです、ただすぐ見付かってしまって……」




「ゼハハハハ!何逃げようとしているんだ?!なァ」

「っやめてください!帰らしてください!」

「何言ってるんだ、ここに突っ込まれてよがってヒィヒィ鳴いているのは誰だ?!」

「………」

「言うこと聞かねえ奴にはもっとたっぷり付けた方がいいなァ」

「それか永遠に逃げられないようにしてやろうかァ」

「ちょっと何を……」

「なに、すぐ終わる  新しい自分に出会えるんだからなァ!!」




「って感じで能力者に女にされて犯されてしまって……最初は一時的に性別が変わるだけだったんですけど気づいたら身体に馴染んでいたのか子供がいるのか元の性別に今もこうして戻れてないので………」

「というより最初に女性にされた時に生でされていたので恐らく時期的にその時ですね……性別自体はすぐに戻ったので深く気にしていなかったのですが 」


言葉が出なかった

女にする能力?

それは後でもいい

その前にこいつがあの黒ひげに何回も誘拐され凌辱されあまつさえガキが出来ているかもしれないだと??

話を聞いているだけで反吐が出る

つまり黒ひげとその海賊団は目的は知らねぇが(分かりたくもねぇが)たった1人を囲い込むために性別まで変えてその中に自分の遺伝子を植え付けたって事か



「クソ野郎のする事だな」


思わず声に出てしまった


「そうですね、でもあの人達の言うことは黙って聞いてされるがままになっていればもっと酷い事をされる危険性は無いのでそうやって守るしかないのです」


そうお腹をさすって淡々と答えるあいつに一瞬の違和感を感じたのだがひとまず聞きたいことがある

「お前これからどうするんだ」

「出来れば海軍本部と連絡をとって救助をしてもらいたいんですがお腹の子がティ…黒ひげとの子って分かったら堕胎しろと言われかねません」

「産む希望はあるんだな」

「産まれてくる子に罪は無いので 僕が沢山愛してあげればいい」



そう言ってにこやかに笑うコビー屋はもう母親の顔をして 俺は思わず




「だったらここにいればいい」




そんな事を口走ってしまった

「キャプテン?!?!」

「海軍敵に回すんだよ!!」

「そもそも敵だろ 俺は嫌いだ」

「ここにいて診察を受けた以上お前は俺の患者だ、生憎産婦人科は専門外だが知識はある 」

「それに」

「罪なき子が産まれる前に犯罪者扱いされるなんて母親からしたらクソ喰らえだろ」


「俺はもう 親と子が離れるのを目の前で見たくない」

そうやって思い出すのは遠い過去の記憶だがそれは今は関係ない

あとはこいつの決断だ どうする 



「………少し1人になる時間をください」





 

元王下七武海、死の外科医、ロッキーポート事件の首謀者 そんな人の船に今僕は乗っている 

まずこの時点で海軍からは怒られるがその前にティーチに攫われてるので治療で一時的に保護されたとか言えばなんとでもなるだろう。 


問題はティーチだ

また海軍本部に来るだろうけどここにいたらそこに僕はいない そしたらまたあの時の惨劇になる でも戻ったら中にいる子が…………   でも戻らないとティーチが……………






出てきた

「答えは決まったか」

「………はい 」





そして冒頭に戻る


結局こいつは子を産むことを選択しポーラータング号にいる 船員の中に反対するやつもいたがコビー屋が直接話して説得したのだろう 結果全員の許可を得ることが出来た 

隣の部屋はイッカクにしたから何かあった時には頼ることが出来る

基本潜水してる期間が長い為母子ともに不自由にはなるし正式な船員では無いから動ける場所は限られているが…………

「ごめんなさいどうしてもぐずりが酷いので……僕に似たのかな」

そう言いながら赤子を揺らしながら右往左往する姿は母親そのものだ

だからつい 




"ROOM"

「えっ」

"シャンブルズ"




そうしてコビー屋と赤子を連れてきたのは船の中でも数少ない窓がある箇所で海が見える部屋だ

「ちょっといきなり何するんですかびっくりしたじゃないですか!!」

「うるせぇ子供がこれ以上愚図られるとこっちも困る」

「……………」

「ここなら海一面だが外の景色も見えるし気まぐれにはなるだろ」

「ローさんあなたって……優しいんですね」

「あ?」

「今は分からないけど海軍所属で性別が変わったどう考えても厄しかない人の出産を引き受け そして匿っている 」

「そんな人は優しいって言っているんですよ」


そんなことを赤子を抱えて優しい顔でいうから 


「だったら」

「だったら?」

「………何でもねぇさっさとあやして寝ろ出産の時のダメージまだ完全に治りきってないんだろ」

「はい」


まぁこの後のことは落ち着いてから考えればいいしこいつにも考えてもらえばいい  母子に負担がかからないように情報は海底にいる限り来ねぇ どうにかなる






この後どこから嗅ぎつけたのか海軍と黒ひげが同時に攻撃してきて壊滅寸前まで追い詰めりたり はたまた何故か麦わら屋が来て再同盟組む事になってサニー号にあいつが一時避難する話だったり 黒ひげを倒すという目的でギザ屋を呼ぶ事になるのは また別の話だ


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