恋と狂気
見つけた見つけた見つけた!!あの女だ!あの女だ!何が歌姫だ!結局ただの薄汚い海賊の娘だったんだ!あの女にはあの人の隣なんてふさわしくないんだ!興奮冷めやらぬまま足を振り抜く。
「ら゛んきゃく!!」
クズは回避しようとするがかわさせなどするものか。振り抜いた足はしっかり狙い通りクズの足を傷付ける。まずは機動力を削ぐ。なぶり○すのはその後だ。何が准将だ。結局ただ怯えるだけの雑魚だ。能力が良かっただけの雑魚だ。
「いやっ!助けて…ルフィ…」
今、なんと言った?助けて?助けを求めたのか?あのルフィ先輩に?あれだけ偉そうにしといて?
「ふざけるな!お前のせいでルフィ先輩まで犯罪者になったんだ!!なのにお前はまだあの人を苦しめるのか!!ふざけるなふざけるなふざけるな!!」
○すのはやめだ。コイツには出来る限りの苦しみを与えよう。もう2度とつまらない事を考えないように。ルフィ先輩を唆そうなんて考えないように。
「あ〜〜いい事思いついた♡ねえ知ってる?先輩って歌が大好きなんだよ♡だからさ、もう2度と先輩に近づかないようにその喉から潰してあげよう♡そうだその方がいい。」
恐怖に怯えるその目。いいね♡ルフィ先輩を苦しめたんだ。もっと苦しんでくれないと。○さないように加減しないと。ここで安らかに眠るなんて許さない。腕を振り上げその喉に狙いをつけ、振り下ろす。
「おい。お前今何しようとした?」
腕が掴まれる。前までずっと感じてた力強くけれども今まで感じた事のない冷たさ。
「ルフィ先輩?ルフィ先輩だ♡ねぇ先輩!早く戻って来ましょう?そんな性悪なんて捨てて。追われるなんて先輩らしく無いですよ♡なんてたって貴方は世界の太陽なんですから♡」
先輩はクズを少し撫でた後こちらに向かってくる。ああ、やっぱりそうだ。先輩もこんな事嫌だったんだ。大丈夫ですよ♡味方なら沢山います♡署名も集めて先輩だけは助かるようにしますんで♡
「○○」
名前を呼んでくれる♡いつぶりだろう。嬉しくなる。
「はい♡なんでしょうせ ん ぱ い?♡」
こちらにくる先輩を抱きしめようとする。やっぱりあのクズと一緒に居るのも嫌だったんだ。そうだよね。先輩だもんね。
ドンッ!!
「な…んで…せんぱ…」
「お前はウタを傷付けただけじゃなくアイツから歌を奪おうとした。おれからウタを奪おうとした。だからだ。」
完全に不意打ちだった拳は私の体にめり込む。痛い。なんで。どうして。骨が歪な刺さり方をしたのか血が滲んでくる。
「あ…ヤダ。ヤダヤダ死にたく無い。先輩なんで…私はあなたを…愛してるのに…」
「おれはお前が嫌いだ。」
その一言は私が意識を手放すのに十分過ぎた。