SSじゃなくて会話文、最後にちょこっと謎の妄想文

ジャンプ今週号のネタバレ含むのでOKな人のみ








屈強なオタクなのでハートクルー全員と合流できてポーラータングの意思継いだ新しいお船に乗ってなんやかんやルフィ子たちと再会できたという大変前向きな前提で妄想するぞ!

分かりにくく弱ってるローがいつもより素直なせいで両思いがイチャイチャしてるように見えるけど親愛ローです










「じゃあこの船、ポーラータングの部品で作られてるんだ」

「ああ。派手にやられたもんで流石に全ての流用は難しかったが、パーツごとにサルベージしてみりゃ使えるものがいくつかあった。特に機関室の気密性の高さで動力部がほぼ損傷なく生きてたのは奇跡と言っていいな。あとは船尾下部のスクリュー機構と外壁の特殊金属の一部、それから…」

「不思議スゴイ船ってことかあ」

「……まあそうってことでいい」




「サニーとはまたちょっと違う形だけど、この船も受け継いでるんだね」

「そういえばお前らも二隻目だと言ってたか」

「うん。名前言ったっけ」

「メリーだろ。ゴーイングメリー号。クジラに刺さって空にぶっ飛んで最後は司法の島までお前らを迎えに来た、乗ってるバカそっくりの破天荒な船だ」

「よく覚えてるなー」

「おれとしちゃお前がポーラータングの名を覚えていたことの方が驚きだが」

「私のこと何度も助けてくれた、乗ってるトラ男たちそっくりのやさしい船だよ」

「……」

「トラ男かわいいんだ、照れてんの」

「てめ」

「わ!くすぐんのナシ!や、うひ、あっひゃっひゃ!やめてー!」

「ろくでもねェこと言うからだ!」




「ハァ、ハァ……うぅ、ゲホッケホ、トラ男ひどい……ギア5はみでるかと思った」

「安心しろ、実際はみ出てた。感覚神経の集中部位を心得た医者に喧嘩売ったらどうなるか分かったか」

「ひどいことされるのは分かった……」

「ならいい」





「トラ男?」

「……なんだよ」

「ん。いや、トラ男の方からぎゅってしてくるの珍しいから」

「気分だ」

「そっか」

「……」

「……」





「……おれにとって。おれにとっての、ポーラータングは。海賊がこんなこと言うもんじゃねェと分かっちゃいるが……家というか、恐らく、故郷のようなもんだった」

「うん」

「陸で戦って、時に一人でふらふら無茶やって、帰りたくなるのはいつもポーラータングだ。海賊になって十年と少し乗り回してたもんだから、そのせいかもしれねェな」

「うん」

「中腹を捩じ切られて、ちょうど船体ド真ん中の船長室は跡形もなかった。サルベージの際に水中写真をいくつか見たが、カルテを収めてた棚も、その中身も、或いはコインだとかなんだとか、まあどうでもいいものばかり押し込んでた箱もすっかり流されて見当たらねェ。お前を抱いて散々眠ったベッドなんざまっぷたつになって沈んでた」

「うん…」

「憂さ晴らしに大枚はたいてこの無駄にデケェベッドに買い直してやったが、どうにも居心地が悪くて寝つきが悪い。最大限のパーツ流用して新しい船作って、家族同然のあいつらがいて、部屋には良い家具を見繕って、いつも通り航行もできる。それで。いや、それなのにか。これ以上を元に戻すには一体どうしたもんか、皆目見当もつかねェ」

「……」



「……?おい何してる、何故おれに巻き付く」

「ん?ししし」

「不穏な笑いはやめ、!? うぐッ」



「……ベッドからおれを落として満足か?あ?」

「落っことしたんじゃなくて一緒に落っこちたんだよ」

「同じだこのバカ。前々から言ってやろうと思ってたがな、普通の人間ってのはある程度の高さから落ちると痛ェんだ!」

「知ってるよそんなの。何言ってんの」

「喧嘩売ってんのか。買うぞてめェ」



「トラ男、あのね」

「なんだよ」

「私はエースじゃないよ」

「……」

「……トラ男?」

「いや……知ってるが。なんだいきなり」

「エースのことはさ、絶対忘れないし、エースの思いは私の夢の果てまで持ってく」

「……」

「でも私はエースじゃないし、誰かにエースになってほしいって言われてもなれないし、なる気もないし。もうエースは死んじゃって戻ってこない」

「……ああ」

「だから私は」

「モンキー・D・ルフィだって言うんだろ」

「うん」

「そうだな。そう……そうだ」




「さ、寝ようトラ男」

「は?」

「私眠くなってきちゃったし」

「どうしてわざわざ新品のベッド空にして床で寝なくちゃいけねェんだ」

「大丈夫だって」

「大丈夫とかそういう問題じゃねェだろ」

「大丈夫だよ」

「何が大丈夫なのかも分からねェ、ッ、頭を撫でるな!」

「だいじょうぶ、だいじょ、ぶ……ぐぅ」

「相も変わらずおやすみ三秒か!起きろこのっ……麦わら屋!」










「あ、トラ男起きた。おはよう!」

「……体中が痛ェ」

「ししし、でもぐっすり寝てた!」

「得意げな顔しやがって。床にむりやり落としたことについては申し訳なさそうにしろ」

「うん!ごめん!」

「ハァ……もういい」



「お前は……」

「?」

「何も考えてねェアホに見えて、毎度毎度訳の分からないところで聡い」

「トラ男がにぶちんなんだよ」

「ハ、そうかもな」




「わっ」

「まだ眠い。ベッドで寝直すぞ」

「わざわざ抱っこしなくたって」

「抱えたい気分の時もある」

「キブン屋だ」

「うるせェ寂しがり屋」

「むぐっ。んん、ふかふかだー」

「床に転がった後じゃ最上級の寝心地だな」


「ね、トラ男」

「なんだ」

「ここでもさ、いっぱいぎゅってして寝よう!」

「……突然恥ずかしいこと言うな、バカ」













故郷がそもそもなくて放浪趣味のローにとってはポーラータングそのものが故郷みたいなもんなんじゃないか、ってことは故郷失ったみたいな気持ちなんじゃねェかな……という勝手な想像をしながら最新話を読んでしまったな

途中のルフィ子がするエースと自分のたとえ話は「船も人も故郷も一度なくなったら戻ってくることはない」「『意思を継いで前向いて生きていくこと』と『失った存在をいつまでも引きずって後ろ向きに生きていくこと』は全然違う」「だからそっくりそのまま元に戻そうとなんて思わないで新しいこの船をこの船として愛していくんだよ」っていうそういう話(伝わらない)(でもローに伝わったならそれでいいのだ)



(※ここからはどうでもいい妄想文です)

FILMを同時間軸に据えるなら、途中で出てくる「どうでもいいものばかり押し込んでた箱」には多分WHITEでのルフィ子の結婚指輪も入っててさ、本人はどうでもいいものと言いながらも、胸にぽっかり穴が開いちまったような喪失感だけがあって

それから少し経って、二人が島デートしてた砂浜でルフィ子がその箱を見つけて

「これトラ男の部屋の……!トラ男!トラ男ーー!これ!見て見て!」

「? なんだ、一体何を見つけ……、ッ!?」

「すごい!流れ着いてたんだ!鍵もそのまんまついてるし中身も無事かも!」

「そんなことあんのか……?お前の豪運か。おい、こっちへ寄越」

「えいっ」

「!? てめ、鍵壊すな!そんな開け方するやつが、おい開けるな!返せ!」

「コインばっかしだ!あとそれから~~あっこれ懐かしい!一緒にどっかで買ったやつ!あっ」

からの砂浜に転がり落ちる見覚えのある指輪と、指先で拾い上げてじっと見つめるルフィ子と、見られた衝撃のあまり硬直するローと

「これ……トラ男もとっといてくれてたんだ……」

「捨てどき逃して入れといただけだ。どうでもいいものだって言ったろ」

「うん、でも嬉しい!嬉しいーー!」

「ッ、飛びつくなと何度言えば……!」

「ほらートラ男の指にぴった……あれ。ぴったしじゃない。トラ男太った?」

「鍛えたんだ!無駄な脂肪をつけた覚えはねェ!」

とかやってる二人が見られればいい…

その日からローの首に鎖通した指輪があって死ぬほど気ぶりたい、いや多分パーカーとか着込んでるとき限定でつけててルフィ子にも周囲にもバレないようにしてると思うけど

お粗末さまです


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