無題
富良州高校の校舎端にある男子トイレ。普段は人の出入りが少ないこの場所で、宝太郎とりんねの会話が響く。
「きつくない?九堂」
「大丈夫」
個室内の便器にきつく縛り付けられたりんねは、緊張とも興奮ともとれる声色で口を開く。制服を脱がされ、下着姿のまま脚をM字に拘束された姿は、アダルトビデオの撮影と言われても違和感のないものだった。
「じゃあ、挿れるよ」
「うん…ッ…」
宝太郎は持っていた鞄からバイブを取り出すと、スイッチを入れ、りんねの秘所に当てがった。パンティをずらし、既に湿り気を帯びているそこにゆっくりと挿入する。
「後で迎えに来るよ」
宝太郎はそう言うと、りんねの口元に猿轡代わりのタオルを巻き付け、個室を出る。そして個室の扉に「使用禁止」と書かれた紙を張り、トイレを後にした。
(九堂がやってみたいって言うから協力したけど…バレないかなぁ)
個室に放置されたりんねは、挿入されたバイブの振動に身をよじらせる。
快感の波が幾度も打ち寄せ、その度に膣内を思いきりかき回したい衝動に駆られる。しかし身動きを封じられた彼女は、股間に生えた淫具を空しく揺らすことしかできなかった。
「んッ……ふぅッ…んん……♡」
甘い声がタオルの間から漏れ始めた、その時だった。
「ふぃ~疲れた~」
「!?」
予想外の声に、りんねの身体が強張る。部活終わりの男子生徒が数人、りんねが縛られているトイレに入ってきたのである。
(嘘、なんで今ここに…!)
「あ~やべやべ、ションベン漏れる」
男子生徒たちは用を足しながら談笑する。
「そういえばさ、最近この学校で変態が出たってウワサあるらしいぜ」
「ヤバ。今時そんなエロ漫画みてーな話あんのかよ」
「知ってる知ってる。全裸にマスクしてコートだけ羽織った女がオナってたってやつだろ。もしかしたらここの生徒なんじゃねw」
りんねの心臓が激しく脈打つ。何を隠そう、彼らが話している痴女の正体こそ、今この場で露出に勝るとも劣らない変態行為に及んでいる自分自身だからである。
(見られてたッ♡♡私の露出オナニー♡♡)
羞恥心と興奮がないまぜになった彼女は、思わず身体を大きく震わせる。
ガチャン!
「「「!?」」」
バイブが床に落ちる音。それと同時にりんねの顔から血の気が引ける。
「おい、今なんか音しなかったか」
「でもこのトイレ俺ら以外いなくね」
「ん、何だあれ『使用禁止』って」
「壊れてんのかな、見てみようぜ」
(気づかれたッ♡♡ダメっ、こっち来ないでぇぇっ……♡)
男子生徒の一人が、扉に手をかける。「お、鍵開いてんじゃん」
(ヤバいヤバいヤバいッッ♡たすけて一ノ瀬ぇ♡バレたら人生終わっちゃうッ♡終わっちゃうのにいいッ♡)
キンコンカンコーン…
『校内に残っている生徒に連絡します。まもなく下校時刻です。速やかに帰りなさい。繰り返します___』
「あ、やべっ」
間一髪、下校時刻を知らせる校内放送が鳴り響き、男子生徒たちは慌ててトイレを後にした。
「ふーーっ♡♡♡ふーーッ♡♡♡ふーーッ♡♡♡」
あと一歩遅ければ、自分の変態行為が公になり、秘密保持という名目で男子生徒たちに輪姦され、文字通り彼らの肉便器として今後を過ごさなくてはならなくなっていただろう。
りんねが安堵の表情を浮かべたのもつかの間、何者かの足音。
真っすぐ、彼女のいる個室へ向かってくる。
そして___
キィィィィ……
「九堂、どうだった」
扉の向こうから顔を覗かせる宝太郎。見知った顔、自分がすべてを曝け出せる顔が視界に入り、りんねの瞳から一筋の涙が流れ落ちるのだった。
この後二人ともテンション上がってトイレで何発かヤッて帰ったとさ。(力尽きた)