無題

無題


コルイス、駄文 誤字脱字あったらすみません








ガラガラと、大きいキャリーケースを引きながら上機嫌に鼻歌を歌う。

第三者から見れば観光を楽しんでいる海外客に見えるだろう


しかし向かう先は観光のために向かうとは思えない山の奥、小さなコテージに男は向かった。

手馴れた様子で鍵を開ける。入ってすぐの扉を開けるとそこは地下室につながっていた。

丁寧にキャリーケースを持ちながらゆっくりと地下に降りる


とても清潔にされている少し殺風景な部屋にキャリーケースを置き、ゆっくりと蓋を開ける


「長旅お疲れ様、身体は痛くないかい?」


キャリーケースの中には両手足を縛られ、猿轡をされている少年が怯えたようにこちらを見つめていた。


優しく、少年の首をなぞり、そのまま首の血管に指を当てる。ドクンドクンと高い心拍数は彼が生きていることを確認させた。


ようやく、ようやく君に出会うことが出来た。

間違えるものか、ずっと探していた彼の産まれ変わり。

すぐにでも迎え入れたかったが、準備もあったし数日間様子を見た。

特定の曜日に、彼は人通りの少ない道を通り家に帰る事が分かった。

自分の身に対する危機感が無く、駆け寄りたい気持ちを押さえ付け君を出迎える準備を整えた。


そして決行した。血を流す君を見たくなかったからスタンガンを使用した。

君は優しいからうずくまってる人がいると直ぐに駆け寄ってくれる。

意識が飛んだ君を縛るのは抵抗があったけど、安全に運ぶためだからどうか許しておくれ

このキャリーケースは通気性が良くてね、ちゃんと息をすることもできる。

あぁ!この部屋は君のために用意したんだ!

まだ殺風景だけど君の好みに合わせてこれから変える予定さ!


意気揚々と語る自分に少し驚く、こんなにも気持ちが晴れるのは何年ぶりだろうか

まぁ、そうなるもの無理ないか!とキャリーケースから君を起こし抱き寄せる。


ガクガクと震えている。もしかして寒いのだろうか、後で暖房をつけなければ


「ムテスマ…もう君を失いたくないんだ…分かってくれるだろ?…君を守るために必要なことなんだ」


額に残る、あの忌まわしい事を思い出させる傷跡に触れながら一方的に男は告げる



「これからはずっと一緒だよムテスマ」


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