無題
.
.
.
.
.
倒れたキッドを呆然と見つめていたが、我に返ると周りを見回し人影がないことを確認した。
そしてできる限り自分の痕跡を消す。触ったのはキッドのツナギだけだ。
念のためジッパーやボタンなどの金属部分を袖で拭う。
唾をごくりと飲みこみ、次の作業へ入る。
震える手ですべてのポケットの中を探る。財布と携帯、車のキーとカードケースが出てきた。
物取りの犯行に見せかけるため、それらを地面にばら撒き、財布に入っている数枚の札を抜き取り自分のポケットへ入れる。
そして闇に紛れるようにして足早にその場を後にした。
→→→ >>55-1へ