無色透明ifローさん(微回復済み)のそくすSS

無色透明ifローさん(微回復済み)のそくすSS

UA2

※注意事項※

「よすが と えにし」系列とは別軸。あっちは救われますがこっちは知らん。ifローさん頑張って。

人形状態じゃないです。ある程度気力が回復してます。

えちです。触手プレイ、初めてなのでよくわからない……糸難しい……

あんまり痛いのは可哀想なので気持ちよくなってもらってます。多分薬かなんかじゃろ。ファンタジーだと思って読んでね。

誤字脱字はお友達。




 やさしい世界から地獄に引き戻されてどれくらい経ったのだろうか。窓のない部屋では昼も夜わからない。目を覚ませば、全身を覆う大量の糸がぐちゃぐちゃと音を立てながら肌と内臓を犯していた。

 人形であった頃も幾度かされたそれは、耐え難いほどの苦痛と快楽をもたらした。宙ぶらりんの体は身じろぎする度に大きく揺れ、その揺れが刺激となって更に俺を苛む。


「ゔっ……ッぐ、はぁ……げほ、……ぁがッ」


 貫通した糸が舌を引っ張り出して口を閉ざすことを許さない。怖気を伴った酩酊感に胃の中のものをすべて吐き出すと、胃酸の酸っぱい匂いが鼻についた。

 俺の醜態を笑う声がする。全てを見ていたドフラミンゴがそっと歩み寄ってきた。


「苦しいか?」

「ぐっ……ぅ……、はぁッ、ぁ……」

「フフフ、可哀想なロー。こんなに泣いて……このままじゃ、糸に犯し殺されちまうなァ」


 猫撫で声の男が糸越しに腹を撫でた。優しげな手つきに背筋がぞくりとして甘い吐息が出る。そんな俺を見下ろして、ドフラミンゴは嘲るように笑った。


「どうすれば解放されるか、忘れちまったか?なァ、ロー」


 首を掴まれて引き寄せられ、至近距離まで近づいた男の瞳は狂気にぎらついていた。顎を伝う唾液を舐め取った唇が、俺の口の端に僅かに触れる。顔を背けると悦ぶ姿は度し難い。耳朶を甘く喰み、甘言を囁く声は仄暗く湿っていた。


「ただ、俺を求めればそれでいい。これまで散々出来たんだ。簡単だろう?」


 ほら、と首から手を離して身を引いたドフラミンゴの言葉に従うように、口の中を占拠していた糸がずるりと腹の奥へと引っ込んでゆく。


「んぐ、ぅ……げほっ、はぁっ……はぁっ……、」


 息を整えながら目の前で笑う男を見やる。男の望んでいる言葉は分かっていた。

 何度も復唱させられて、男が願った時には必ず言葉にしていたそれを自我のある俺に言わせる事が出来たなら。男の欲望は確かに満たされるだろう。この責苦もすぐに終わり、俺は清潔なベッドで甲斐甲斐しく世話をされることは容易に想像できる。

 でも、でも。


『たすけて、ドフィ』

『おれを、あいして』


 本心でないものを、間違ってもこいつなんかに言うべきでない言葉を、俺は口にしたくない。

 あちらの彼らに会って思い出したのだ。取り戻したのだ。本当の己を。

 恐怖に戦慄く口を無理やり動かし、言葉を捻り出す。掠れ震えた声が微かに響いた。


「……いわ、ない。絶対に、」

「アァ?」


 眉を持ち上げた男の表情に喉が引き攣るが、それでも必死に喋り続ける。


「俺は、お前を受け入れない。恨みも、ッしない」


 声を出せた。この男に対して己の意思を言えた。それだけのことだが、俺にとっては大きな一歩だった。


「もう二度と……お前と同じ場所、には、堕ちないッ」


 やっと、ここまで戻って来れた。

 あとはもう一度抗うだけだ。


「テメェはそのまま一生、一人で踊ってろ!!」


 サングラス越し、大きく見開かれた目に己が映る。なんとも無様な格好だが、それでも強い想いの籠った瞳と目が合った。

 俺は生きている。自分の心と共に生きている。


(大丈夫、俺はもう人形じゃない)


 もう、この男に従って媚びる俺じゃない。


「フ、___フフフフ!!そうか、それがお前の答えか!」


 怒りに震えながら、楽しそうに笑う男の姿は狂気そのものだ。


「アァ、いいさ!何もないお前よりずっとマシだ!!」

「ひ、……ぐぁッ!」


 糸に引かれて身体を大きく逸らされ、男の吐息が喉仏に当たる。あ、と思った瞬間、激痛が走った。食い破らんばかりに強く噛まれた首から、どくどくと血が溢れる感覚がする。痛みと共にもたらされる被虐の快に脳が揺らいだ。

 糸を染める赤。男は唇についた血液を舐め取りながら、冷たい目で俺を見下ろす。


「だがな、ロー。そんなお前は俺が認めない。許さない。お前が咽び泣いて、惨めに助けを求めるまで絶対にだ」


 無情な声に命じられた糸が鈴口に集まった。これからされることに気付いてしまってサッと血の気が引く。もがく俺を見て、男がもう遅いと呟いた。


「悪い子にはお仕置きが必要だ」

「あ、あ__やだ、いやだ……あぁあああっ!!!」


 尿道に何本も糸が入り込んでくる。拡張される痛みと共に、先程とは比にならない快楽の濁流に飲み込まれた。

 前と後ろから前立腺を強く揉まれると、押し潰されたそこからもたらされる感覚に体が強張る。息が出来ない。人形の時ですら本能的に死を覚悟したほどだ。鮮明に感じ取れる今、ただただ恐ろしくてたまらない。

 他の糸も動きを再開した。あちこちを一度に攻められて頭の中が真っ白になる。なのに終わりが訪れない。ぴんと伸びたつま先を優しく撫でられて、たまらず善がった。


「、ぁ……っ、あ……あ゛ー……、ぅ……」

「俺はしばらくここを離れる」


 男が指を少し動した。真っ白な糸が断続的に跳ねる身体を繭のように包んでゆく。狭くなる視界の中、口角を上げた男は背を向けた。


「暗闇の中、狂うも良し。悦に溺れて堕落するも良し」

「や、ひッ……ぅあ、あ゛……ひぅぅ……」

「次はそう簡単に壊れるなよ、ロー。二度目の奇跡はないのだから」


 足音が遠くなる。視界は完全に糸に覆われ、ただ暗闇が広がっている。気が狂いそうな小さな世界で、身じろぎ一つ出来ずにただ喘ぎ続けた。感じ取れるのは己を犯す糸が生み出す痛みと悦、恐怖、濡れて湿った呼吸音。

 己を壊そうと蠢く糸が己を引き留める最後の縁だった。自分を苛むと分かっていても、与えられる刺激にしがみつくしかない。

「うぇッ……ヒ、あぁ……っ……、う」

(いたい、くるしい、きもちい……たすけて)


 あちらの世界の光景が瞼の裏に浮かぶ。結局、記憶の中の彼らに縋るしか出来ない己を嘲りながら、淫らな繭の中でいつか来る羽化の時を待った。







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