炎を纏う月に魅入られる

炎を纏う月に魅入られる

ここだけゾロがルナーリア族Part2の145

※閲覧注意

※【ここだけゾロがルナーリア族】のスレより

※ゾローリアの更にIFネタ

※ファンタジスタした幼少ゾロがキングに拾われ百獣海賊団所属√

※幼少ゾロはくいなと約束する前

※くいな生存&麦わらの一味√

※CPはゾロ×日和

※IFネタの派生⇒百獣√

※キャラエミュが微妙

※文才なしの駄文

※捏造設定あり

※それでも良い方のみ、お読み下さい























その日、おいどんは魅入られた。

現し世の存在でありながら、此の世ならざる幽世の存在に。

炎を纏う月に。




おでん様が処刑され、10年…光月の侍達は限界を迎えていた。

オロチと百獣海賊団からの襲撃、病、飢餓…もっとも百獣海賊団からの襲撃は1年程前から無くなっていたが。

それでも、20年を待つのは無理なのではと思う程、限界であった。

止めても止めても…オロチや百獣海賊団に挑み、散っていく。

今日とて挑むからと、おいどんにも参戦して欲しいと侍達がやって来ていた。

そして無駄だと知りつつ、止めようと口を開こうとした。

「なぁ、あんたらはカイドウさんに仇なす者か?」

幼い子供の声で問い掛けられる。

声のする方を見れば、腰に刀を二振り差し黒衣で身を固めた子供がいて。

「…子供?」

「何でこんな所にいるでござるか…」

「待てッ!!今、カイドウ“さん”って呼んで!?」

「カイドウの配下かッ!!」

侍達が殺気立つのを気付いていないのか…いや、気付いていて放置しているのか。

「ワイルド様に武器を向けるかッ!!」

「この方は、キング様の養い子で百獣海賊団の大看板候補だぞ!」

ワイルドと呼ばれた黒衣の子供の存在に掻き消されていたのか、百獣海賊団の下っ端らしき奴等が口々に言う。

侍達と下っ端共が堪えきれずに衝突した。

こうなっては戦うしかないだろう。



元々が夕暮れ時だったからか、既に夜になっている。

出来るかぎり侍達を庇っていたが、黒衣の子供に斬り捨てられていく。

戦いながら冷静に観察していれば、大看板候補というのも頷ける力量で。

しかし、まだ経験不足…今の内に殺してしまうのが、未来の為だろう。

そう思い、黒衣の子供の首を狙う。

完璧な機会…な筈だった。

刀の切っ先は纏っていたマントのフードとフェイスベールを切り裂くものの、黒衣の子供にはギリギリ避けられた。

顔が見えると同時に、驚愕した。

10年前に死んだ筈の鈴後の大名に瓜二つだったからだ。

しかし、油断は出来ないと気を取り直す。

子供も驚いた様においどんを見ていて。

 つぅー

子供の首から血が流れると同時に、刀を持っていない手で流れる血に触れ…それを見た。

緩々と子供の口角が上がっていき、瞳孔が開いていて…ゆっくりと、もう一振りの刀を抜いていく。

「は、ははっ!ははははっ!!」

ゾワリと寒気を感じた。

いつの間にか空に昇っていた満月を背にして、子供は笑う。

 ぶわりっ

急に現れた真っ赤な炎が広がり、侍達だけでなく百獣海賊団の下っ端共ですら巻き込み、焼き尽くしていく。

だが、何故かおいどんだけは炎が避けていて…この炎は子供の支配下なのだと理解する。

「さぁ、邪魔者はもういない…殺し合おうぜ?」













攻撃が通用しなかった。

最初につけた僅かな切り傷だけしか、あのワイルドと呼ばれた黒衣の子供にはつけられなかった。

彼方此方を斬られて地に伏し動けないのを、無理矢理動かして子供を見上げる。

例え殺されても、心だけは屈しない…そう思って。


しかし。


現し世の存在でありながら、此の世ならざる幽世の存在を見た。

炎を纏いながらも平然としていて、倒れ伏したおいどんを見据えている子供の姿をした〝ナニカ〟を。

常より大きく見える月が炎を纏った様にも見えて。

思わず息を呑んだ。


「あー楽しかったぜ!!あんたは殺さないでおく。また戦ってみたいしな!それにしても…あんた、おれに〝ナニ〟を見てんだ?」


言葉をかけられている筈なのに、それが耳に入らない程。

おいどんは、この炎を纏った月に。


もう、戻れない程に。



魅入られたんだろう。



































「カイドウさん!おれに聞きたい事があるって?」

「え、おれの欲しいもの?」

「…そうだなぁ…〝侍達〟が欲しい、かな」

「この前、戦った時に楽しかったから…出来たら、あの“アシュラ童子”ってやつも」



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