『灰の傷痕』
Part16 - 98ローラン「げっ、マジかよ……」
アンジェラ「どうやら知り合いのようね」
ローラン「……ああ、知り合いの、師匠みたいな人だ。俺も少し手解きしてもらった事もある。……『灰の傷痕』、本名ソロモン。特色フィクサーとしては紫の涙の次に経歴が長いフィクサーだ」
アンジェラ「戦闘系じゃないの?」
ローラン「このオッサンは大体何でもできるんだよ。戦闘も調査も補助も……前は経営アドバイザーとしても召集されてたな。ああ、ただ料理は滅茶苦茶不味かった」
アンジェラ「……それにしても随分と剣が多いわね。飾りという訳ではないのでしょうけど」
ローラン「当然全部使いこなしてる。工房製の最高級品三本と、何処からか調達してきたのかわからない特異点技術の使われた剣が三本……1級フィクサーでもあのオッサンが使ってるものを手にできる奴は数える程度しかいないだろうな」
アンジェラ「残りの一本は何かしら」
ローラン「さあな。俺は使ったところを見たことがないから何も言えない。ただ……前にケブラーと雑談中にオッサンの話題が上がったことがあってな。ふと気になったことがあって話をしたんだよ」
アンジェラ「気になったこと?」
ローラン「『赤い霧として一番敵に回したくないフィクサーは誰だったか』って聞いたんだ。で、意外と直ぐに答えてくれたよ」
ケブラー「……『灰の王』とは二度とぶつかりたくはないな」
アンジェラ「……『灰の王』?通り名が違うような気がするのだけれど」
ローラン「昔の渾名みたいなもの、なんだと思う。一つ言えることは"カーリー"は"七本目"を見たことがある、って事なんだろうな。…………『赤い霧がこの都市で一番敵にしたくないフィクサー』、この評価はいかがかな館長?」
アンジェラ「……招待したいとは思わないわね」