激戦
神永 side in
───日は沈んだ。
「…よし、ライダー準備はいいか?」
「ええ、問題ありません」
日が沈むまでは家で待機をしていた俺たちは行動を開始する。美作も準備のため自分の工房で礼装を用意してから現地で合流するとの話だ。
───
「それで、このビルからどうやってホテルに行くんだ?」
ホテル近くのビルの屋上にて、俺たち4人は集合した。
「ここからホテル屋上に飛び込む、OK?」
…俺の言った案もだいぶぶっ飛んでたと思ったがコイツの言っていることよりはマシな気がしてしまった。
「まぁわかった、サーヴァントに抱えてもらってだな?」
「当たり前でしょ、私たちだけだと飛び降り心中みたいになるわよ」
「わかった、ライダーお前は美作頼んでいいか?」
「了解です、さ美作殿動かないでくださいね」
「ちょ!?なんでそうなるわけ!?」
「体のサイズの問題、俺をライダーが抱えるとなると厳しい」
「…仕方ないわね!」
そう言って美作はライダーに大人しく姫抱きされ先行して行った。
「宜しく頼むぜバーサーカー」
「応、任せな。」
バーサーカーに米俵のように抱えられビルの屋上からホテルの屋上へと跳んで行く。
「なぁライダーのマスター」
「なんだバーサーカー」
「オレのマスターの事頼んだぜ?」
「は?いきなり何言ってんだ」
「まぁ一応な?着地すんぞ!」
無理やり話を切り上げられてしまった。
相当な衝撃とともに着地する、危うく舌を噛むところだった…
「…無事か?」
「こっちは無事よ、そっちは…舌噛みかけたわね」
「この程度なら別に問題ねぇよ」
そう言いながらバーサーカーに下ろしてもらう
さて屋上にも多少礼装を用意しているかと思ったんだが…特に居ないようだな
「…よしさっさと降りるわよ、セイバーが来ないとも限ら」
「遅い」
その瞬間、美作へいつの間にか屋上にいたセイバーが斬りかかってきた。
「将の首を即取れると思うな!!」
近くにいたライダーがその剣をいなしバーサーカーがセイバーに斬り掛かる。
「マスターたちは下がってろ!」
「ふむ、2対1か」
「昨夜は遅れを取ったが今宵は一味違うぞ!」
バーサーカーの一撃を弾きながら後ろへ跳ぶセイバー、追撃の構えを取ったライダーだったが追わずに体勢を立て直す。
セイバーは屋上と最上階を繋ぐ階段を背に立つ、そしてその階段からマスターであるトーマスが現れた
「全く、想定外だったな」
「の割にはだいぶ余裕そうじゃねぇか」
「はっは、君たちよりは濃厚な人生を送っているからね」
杖と何体かの獣型ゴーレムをつき従えセイバーの後ろに立つ
「さて、ここまで来たら小細工は不要だな」
杖で地面を2回ほど軽く突きゴーレムたちへ指示を出す、明らかに俺たちを狙っているようだ
「ここは王道の魔術師らしく決闘といこうではないか」
その言葉と共にゴーレムたちがこちらへ襲ってくる。
さぁここから正念場だ…!
神永 side out
ライダーside in
さて、ここからは一瞬たりとも油断出来ない戦いだ。
こちらの戦力は私と金時殿、相手方はジークフリート。
正直これでトントンあるいはギリギリこちらが上回るかと言ったぐらいだ。
そして相手の宝具はこの屋上であれば方向によっては放つことも可能だろう。正直昨日の室内の方が戦いやすかった。が仕方あるまい
そう思いながらセイバーへと斬り掛かる、私の役割は撹乱だ、攻撃が通らなくとも視界や意識をこちらに向かせるだけで十分な隙になる。
そこへバーサーカーが斬り掛かる、流石のジークフリートと言えどもその剛力は無視できないようで大剣で何とかいなしている。
「おおおおおおおお!!!」
「ッ───!」
バーサーカーの連撃にこちらへの意識が途切れる、そこへ背中の弱点へ向け一撃を見舞おうとするが
「───させん!」
バーサーカーの斧を弾いた勢いのままこちらへ剣を振るう。
「甘い!」
両足を開き一気に体を沈めそのまま地面に手をつけセイバーに蹴りを入れる、その勢いで立ち上がりバーサーカーの横に並ぶ
「どうだ、宝具なら行けそうか?」
「厳しいですね、いくら速度で撹乱しても通るのは背中だけ…そこに最大の警戒をしているので通りません」
「…足止めならどうだ?」
「その場から動かさない、これならば多くとも10秒、これが限界ですね」
「よし、任せた準備までは?」
「今すぐにでも」
「よっしゃ行くぞ!!」
その言葉と共に再びセイバーへと向かっていく。
ライダー side out
神永side in
「ほう、中々粘るな」
ゴーレムをこちらにけしかけながらサーヴァントたちの激突を観察していたトーマスが口を開く。
「如何にセイバーと言えども極東の、しかも知名度においては最大に近い英雄二人相手は厳しいか」
ライダーは兎も角バーサーカーも既に真名に宛があるのか…!
「いや何単なる消去法だよ、あとはそこの彼女の触媒を手に入れたルートを調べたりね?」
「…お前ガバガバじゃねぇか!」
「あんただって召喚場所調べりゃ即出てきちゃうでしょ!」
ついツッコミを入れてしまったが手酷い反撃を受けてしまった。
というかこのゴーレム強くないか!?俺がしょっぱすぎるって言うのもあるけどアイツの宝石当たってくだけないってのも相当だぞ!?
「ふむ、君たち自身はそこまで強くは無いな。ならば」
───君たちを倒すのが早いかな
その言葉が聞こえた瞬間、ゴーレムたちの速度が跳ね上がった。
「なっ!なんだこれ!?」
「嘘っ!?」
はっはっはっと笑いをあげる。
「何、私の専門は主にゴーレムなのでね、もし君たちが生き残ったのであれば時計塔に来るといい。私の授業の聴講生としてならねじ込んであげよう」
「お生憎様…!その予定はないわっ!!!」
そう言っていくつか宝石を投げつけそれが爆破する。向かって来た五体のゴーレムのうち三体ほどにぶつかり爆発する。残り2体は巻き込まれたか…?
そう思っていると爆発で起きた煙から残りのゴーレムが飛び出て美作へと飛びかかる。
「あぶねぇ!」
鞄に魔力を通し盾にして美作を庇う、鞄に噛み付いたゴーレムの顎が砕けたところにフルスイングした鞄をぶつけ頭を砕く。その勢いのまま2体目も胴体に叩きつけ砕く。…なんつー硬さだこの鞄。
「…何それ固すぎない?」
「知らん!遺産だ!!!」
トーマスは…ちっ、向こうに気を取られずこっちをずっとみてやがる。ライダー…どうにかしてくれよ…!
神永side out