滅却師とは何か

滅却師とは何か

スレ主

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璃鷹は粗方話が終わると一護とルキアに滅却師について出来るだけ分かりやすくそして自分にとって都合の悪いものは省いて説明をした。


「私は滅却師っていう対虚戦に強い一族なんだ」

「じゃあその滅却師ってのは死神と同じようなもんなのか」



それを聞いた一護は納得したように呟いた。だがどうやら少し違ったようで璃鷹は苦笑いを浮かべていた。



「虚から生きてる人を守るっていう点では共通認識だけど掲げてる目標?みたいなのが違うんだよ」



璃鷹は母親が子の間違いを正す様に訂正を入れた。


「後それ他の人に言ったら怒られるからやめようね」

「あ、わりぃ」


日頃何に対しても寛容で大らかな璃鷹だが流石に自分の種族のことについては敏感だったかと少し今の発言に後悔した。



「私は別にそういうの無いけど死神に対して良く思ってない人もいるから」


少し苦笑いを浮かべながら先ほどの一護が言った言葉がどれほどのものなのか意味を教えた。


「短気な人だったらその場で撃ってくる程度には地雷らしいよ」



それを聞いた一護は「そんなやついるのか‥」と思い顎に手を置いてどうにか想像しようとしていたがそもそも滅却師自体璃鷹が初めてだったのでどうもイメージが湧かなかった。


「うん凄いキレられたからマジだよ」

(言ったのか‥)


そうして唸っている一護に璃鷹は先程の問いに自身の体験談を交えて話した。


「違いがイマイチわからねぇけどよ、ルキアお前は知ってたのか?」


ルキアは聞いたことのない単語に首を傾げた。


「滅却師…その様な一族聞いたことがないぞ」


疑問を浮かべ困惑しているルキアはそう呟くと嘘を言っているわけではない仕草に璃鷹は納得したような顔をしてからルキアの問いに答える。


「うーん、殆どは二百年前の滅んでるから割と若い死神の人は知らないのかな?」

「お前若いって言われてんぞ」

「たわけめ!!黙って話を聞かぬか!!」


「仲良いね」と微笑ましそうな顔をして2人の様子を見ていた璃鷹は続けて説明した。


「あははは、それにここ十数年で更に数を減らして“血だけ〟で言えば数人程度まで減少しちゃたから、絶滅危惧種みたいな感じかな?戦える滅却師はそれより少ないし」


それを聞いた一護は──それならコイツは俺が死神になる前からずっと虚と退治していたって事だな。

ならば友である自身には言ってくれても良かったのでないかと少し顔を俯かせた。

そんな一護を察してた璃鷹は一護の顔を覗き込みながら言った。


「もしかして拗ねてる?」

「拗ねてねぇよッ!」

「冗談だよ」


そう言ってムキになった一護にまたくすくすと笑っていたが少しすると「それでここからが本題」と言って2人に声をかけた。


璃鷹はそれから空気を変えて話を始めた。


「もしソウルソサイティ側に滅却師である事が知られたら私が死ぬまで監視の目が付く可能性がある。その上で私は今こうして貴方達に話した」


璃鷹はルキアの様子を様子を窺いながら人間の感情が1番体面に出やすい目をジッと見つめた。

〝もし少しでも怪しい素振りがあればその時は‥〟そのままできる限り相手の動きに合わせて体勢を変えた。



「…朽木さんは私の事上に報告する?」


ルキアは何かを考え込んでいるように視線を逸らすと再び璃鷹に目を向けた。璃鷹はルキアの秤の結果を待ちながらどう転ぶかを黙って鑑賞をしていた。

そしてこちらに姿勢を変えて視線を合わせる。

───どうやら答えが決まったようだ。



「…悪いがそれは今この状況では保証はできぬ」


ルキアは言葉を少し溜めてからそう返事を返した。

今、朽木ルキアにソウルソサイティ側へそれを報告する手段はない。黒崎一護には死神の力を渡したので帰れないと伝えてあるが本題は別にある。どんな状況であろうと人間に死神の力を渡すのは重罪であり帰れば死刑は確実、故にルキアは今ソウルソサイティに連絡は取れない。


「私からはそれ以上言えることがない」


しかしルキアは敢えてそれはぼかして伝えてしまった。一護への気遣いからというのもあるが何より自身が彼方に見つかり帰った後で、これから短い生を送る人間に無用の心配をさせないためにだ。

──しかしそれが大きな間違いだった。



「‥そっか」

「‥すまぬがそう簡単に約束はできぬ」


それを聞いた璃鷹は俯いていた顔を上げるとわざとらしく手を動かしてルキアに向かって明るく振る舞った。



「ううん、全然気にしないで!別にあっちにバレても死ぬわけじゃないんだし朽木さんのせいじゃないよ」

「鳶栖‥」


ルキアに建前を話している間にもではいつ遊ぼうかと璃鷹はその舞台に思考を巡らせた。

───発見されやすいようにした方が分かりやすいがあまり遠くでやると身元不明の遺体として一護に気づかれることなく無縁仏の方へ送られる可能性もある。ならばいっそ───

「気難しいこと言ってるけどよ、どうせコイツなんだかんだ言ってお前の事黙ってると思うぜ」──そしてその璃鷹のソレを中断させたのは一護だった。



「な、!何をふざけたことをッ!!」



ルキアは目を見開いて一護に向かって大きな声を出した。今この家に誰かが居れば心配して一護の部屋まで向かってきていたところだろう。

その場合は恐らく他の家族に言い訳とルキアの尻拭いをすることになっていたのでここにルキアと一護と自分しか居なかった幸運に面倒ごとが無くてよかったと璃鷹はルキアを見た。

本人は気づいてはいないだろうが、まさしくそれはルキアにとって鶴の一声だった。

一護はそのまま続けた。



「俺のことを身を挺してまで庇った奴が損得で友達売るわけねぇだろ」

「なッ!!??」


ルキアは言葉に詰まり何か言おうとしていたがそれを言えずに口をぱくぱくとさせていた。


──反応に目の瞳孔‥一護の言ったことの信憑性が増したな。

ルキアの反応を見てそれを理解した璃鷹は先程考えていた計画をシフトチェンジさせると「ふふ、」とおかしそうに笑った。

その笑い声に反応して2人は璃鷹の方向に目を向けた。


「朽木さんのことまだよく分かってないけど一護がそう言うんだからそうなんだろうね」

「ぬ、」


璃鷹の問いに少し言い淀んで諦めた様に息を吐いた。



「それで、なんだけどさ」


璃鷹は確認をする様に2人に質問をした。


「2人は今虚退治してるんだよね?」


「お、おう まぁな」

「まだまだ危なっかしいがな」

「うるせぇ」


璃鷹はそれを聞いてから2人に告げた。


「私もそれ手伝うよ」


その言葉に2人は目を見開いて驚愕した。



「は、!!??おま、何言って」

「だって一護1人だと心配だもん、次からは虚退治の時メールして」



──自身1人だと心配、その言葉に一護は少し顔を曇らせた。やはり一護は自身が頼りないと思われている感じた。

しかし一護が何かを言う前に璃鷹は言葉を続ける。



「それに、私たち友達でしょ?友達は助け合わないとね」

「璃鷹…」


そうして柔らかい笑みをしながら──友達だからと言うだけでいつも自分を助けてくれる璃鷹に対して感謝の気持ちと、しかし自身の事情に巻き込んで怪我をしてほしくないと一護は複雑そうな顔をした。ルキアはその言葉を聞き璃鷹の身を案じて問いかけた。


「本当にいいのか?正直言って危険な仕事だぞ」

「うん承知の上だよ。それに経験はそれなりにあるし問題ないよ。小さい頃友達と大人に内緒で虚退治してた時があったから二人組でのサポートも一応出来るしね」



璃鷹は一護に手を差し出して笑顔で言った。



「じゃあこれから改めてよろしくね、一護」


「──おう」


璃鷹の真剣な顔を見た一護は此方に差し出された手を握ると力強くそう答えた。


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