湯煙温泉記録

湯煙温泉記録


最近アビドス自治区では、無茶な“砂糖”や“塩”の摂取が盛んになっています。

そのため、取扱方法を明文化した比較的安全な摂取マニュアルの作成をヒナ委員長から命じられました。

「よし鼻から吸入する際の粒径限度は0.2〜0.3mmで決定ですね。次は前例がある以上、血管から点滴などで料理を摂取する場合のサイズ規定も考えなければ…」

手をつけ始めてから早数日が経過しましたが…

なかなか完成しません…やはり門外漢の課題に向き合うとなると想像以上に手こずってしまいますね。

「忙しいところごめんね〜ハルナちゃんいる???」

「オオオ?んお…イあああああ」

おや珍しい、風紀委員会温泉開発部門の皆様が帰ってきました。

この独特のあ行とんだけで構成された言語と少し足りなそうな話し方ですぐに気がつきます。

私とお話ししたいようですがどうしたのでしょうか?

「あ、いたいた。ハルナちゃんよかったら温泉行かない?こんな部屋にずっと閉じこもってたらおかしくなっちゃうよ〜?それになんかちょっと温度低すぎ!震え止まらない!」

「いいいいいいい‼︎」

温泉、頭部以外に存在する露出した粘膜と皮膚表面、加えて立ち上る蒸気からもアビドスシュガーを摂取できる上に、湯上がりの“あまじょっぱい”飲食も楽しめるというアビドス生から大人気のスポット。

ですが…流石にまだ経口摂取以外の方法でアビドスシュガーを体に入れるのは抵抗感があります。

砂糖や塩分は健康である限り口から接種したい、というのはつまらないこだわりかもしれませんがそれでも私にとっては大事なこだわりのつもりですから。

しかし、突っぱねるように拒否してしまうのは非礼に当たるというのも事実。

ここは本当の仕事を名目にやんわりと断りましょう。

「申し訳ありませんが、このあと明日の給食の仕込みを一部担当することになっておりまして。よろしければまた別の機会にお誘いいた…」

「エ?温泉に入りたくないってこと???????それはダメだね!温泉になるまで温泉に浸けるよ⁉︎」

「おお…?うお〜いいえ!」


唐突に敵意を向けられ火炎放射機で殴りつけられる。

あいうえおと「ん」だけで否定肯定は可能だという事実に気がつくとともに意識が暗転した。



〜♨️〜


なるほどアビドス温泉とは、こういう感覚になるのですか

「縺ッ繧?¥縺薙%縺九i縺?縺励※」

肉体と精神が切り離されて、痙攣している自分の肉体を俯瞰視点で観察しているような錯覚?でしょうか?

「蜉ゥ縺代※隱ー縺九♀鬘倥>」

なんだか、妙に冷静になってしまいますね…現状に現実味が感じられないせい?それともそういった作用が温泉にある?

「貅カ縺代※遘√′縺ェ縺上↑縺」縺ヲ縺励∪縺」

まあ最近任された仕事のことばかり考えていたから、このようにどうでもいいことを考える機会も大切かもしれませんが…

「豸医∴縺溘¥縺ェ縺」

それにしたって取り止めもない思考ばかりが頭に浮かぶのは少々不気味です。他の方は平気なのでしょうか?

「縺セ縺?鬟溘∋縺溘>繧ゅ?縺梧イ「螻ア縺ゅ▲縺溘?縺ォ」

まあ入浴中に不安になるお方は普通のお風呂だったとしても少ないでしょうから、私が少数派の思考もしくは珍しい感覚受容体を持っている可能性が高いですね

「ブクブクブク…」

「ぎゃ〜ー–〜、ハルナちゃん??????なんか沈んでってない?⁉︎」

「うん」

あらこれ私溺れてますねえ、驚愕しました


〜♨️〜



色々と大変でしたが、やはり入浴後の炭酸系清涼飲料水は最高としか言えませんね!

先ほどの謝罪ということで奢っていただいた、『新発売‼︎ハナコ室長の生搾りサイダー』(お値段なんと温泉開発部の方1人の6時間分のお給料とのこと)を飲んでいると疲れや悩みが吹っ飛んでいくような気さえします。

「さっきはごめんね…ところでさあ‼︎温泉どうだった⁉︎⁉︎」

返答に困る問いかけです…ぽ〜っとする頭でなんとか伝わりやすい回答をしなければ。

「ねええええ〜、早く教えてよ〜どう?どう?温泉どう?」

「えええええええ〜」

よし整いました。

「素晴らしい施設でした。今度立ち寄るときは美食研究会のみなさんと一緒に満喫したいです。」

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