添い寝からのシュライグわからせ
「俺は必ず死ぬ。こんな戦いを続けていればいつかは必ず死ぬ」
シュライグはそう言い始めた。なんの感情も込めずに。ただ事実を報告するように。
「それ、答えになってない」
フェリジットはむっとした。まさか添い寝だけでいいのかという問いの答えにこういうのが返ってくるとは思わなかったからだ。
「墓だって立てられないかもしれない。俺が残すものなんてなくていいんだ。フェリジットが俺を忘れたって構わない。むしろ戦いから離れて誰かと幸せになっていて欲しい」
俺はフェリジットを抱くことはできない。誰よりも大事だから。片翼の男はそう続けた。
「はぁっ?」
フェリジットはキレた。抱き締められた腕を解き、布団をまくり、シュライグの服を脱がした。突然のことに彼はされるがままになっている。
「じゃあ、私が残されたならなにに縋って泣けばいいって言うのよ! 勝手に一人きりだなんて考えないで。そもそも可能性の話でしょ。悪い方ばっかり考えているから眉間の皺が取れないのよ」
「フェリジット、なにをする気だ」
「逆に私が死んだら忘れるってわけ? ああ、そうでしょうよ。シュライグは死んでたまるかって思わないんだから当然よね。だったら死んでも生き残ってやるってシュライグに思わせるしかないでしょうがっ!」
フェリジットは傷だらけのシュライグの体に眺めた。勝手に一人で背負い込む彼の気持ちも理解はできる。でもそれはフェリジットの気持ちを考えていなかった。
フェリジットは彼の鎖骨に噛み付く。血が出るまで強く。シュライグから口を離し、フェリジットは手で口を拭った。
「ひぃひぃ、言わせてやる。忘れられない夜にしてやるんだから」
「そんな言葉どこで覚えたんだ?」
普通逆じゃないのか、と続けそうなシュライグにフェリジットは唇で塞いだ。
そのキスは血の味がした。