消えたスレに書いてたヤツ

消えたスレに書いてたヤツ

ああああ

ウマ娘の体になって、もう3年。カフェは一人立ちして海外遠征に旅立った。


私は身分証明の都合もあって日本に残り、新しくウマ娘を担当する事にした。


後輩のトレーナーをサブトレーナーとして迎え──


──表向きは彼がトレーナーで、私は単にチームメンバーと言う事になるが


私の補助をしてもらいながらトレーナー業を覚えて貰うつもりだ。


現在担当している子達のコンディションやトレーニングをどちらが担当するかを考えつつ、朝の仕度を行う。


朝食は手軽に済ませ、コーヒーを飲みながら競バ新聞を気になる情報が有るか、目を通す。


「元トリプルティアラ 結婚発表ねぇ… あ、この娘私と同い年だ、相手は後輩君と同じか」


食後のお腹が落ち着いたら、あまりゆっくりはしていられない、朝の時間は貴重なのだ。


昼食用のお弁当の調理、ウマ娘になってから食事量が増えたのもあってお弁当もそれなりの量になる。


──後輩君はウマ娘の面倒見は良いのだが自分に無頓着な所があり、今さらヒトの1人分増え所で大差が無いから。 と言い含めて彼の食生活の改善を取り組んでいる所だ。


料理が終われば次は鏡台に座り、男だったときには習慣になかった髪のブラッシングを行い、化粧を施していく。


トレーニングを終わらせたら、後輩君と新製品の蹄鉄やウェアを確認するためにスポーツショップに行って。

競技場を抑えてるから、そこで後輩君に手伝ってもらって新製品の検証

ミーティングを兼ねて、ホテルのレストランで食事を……


……何故だろう。

鏡に映る自分に、違和感を感じる。

化粧のノリが悪いとか、体調が悪くて髪に艶が無い。と言うわけでは無い。


何か座りが悪いと言うか、居心地が悪い。


少し悩んだあと、耳飾りを変える事にした。

ウマ娘に変わってから、愛用していた黄色い水仙を模した耳飾り──私の体をこんな風にした“彼女”の遺したもの


それを右耳から外して、幾つかある耳飾りの中から一つ選んだ。


幾つかのバラを束ねたような耳飾り。

私はそれを迷うこと無く、左耳に付けた。


なにかその方が、自分に相応しいと思ったからだ。


位置を整える為に鏡を見た途端、私の中にあった違和感が消え去った。


“元から、これが正解で有ったかのように”

うん、スッキリした。


これは気分転換 この程度で解消出来たなら、ちょっと疲れているんだろう。


「明日はチームでおやすみにしてるし、今日1日頑張ればゆっくり出来るよね。」


着替える為に、クローゼットに向かう。


その背後で、“黄色い水仙の耳飾り”はまるで幻か煙の用に消え失せ、その存在はレストランで起きた出来事に上書きされてついぞ思い出されることは無かった。

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