海獣パレード
「...ねぇほんとに私を師匠にしたいの?」
「「「クォッス!」」」
「はぁ...どうしようか」
アラバスタのサンドラ河で立ち往生をしたウタは頭を悩ましていた。
時は少し遡る
クロコダイルとの激闘を終え次の島へ向かおうとメリー号に戻ろうとした麦わらの一味の前にメリー号の防衛を任されていたクンフージュゴン達の前に別の群れのジュゴン達が襲いかかってきたのだ。
ルフィ達より早くジュゴン達に気づいたウタは咄嗟に歌を歌いジュゴンの群れを無力化したが砂漠の長旅で疲労が溜まっていたウタはその一曲で眠気が襲いかかり仕方なくその日はその場で休息を取る事にした。
そして現在
目が覚めたウタの前に大量のジュゴン達がウタに弟子入りする礼を前にウタは対処に手間取っている。
「ねぇチョッパーこの子達に説明出来ないかな?私は悪魔の実の能力で眠らせたから力づくでどうにかしたわけじゃないって」
「いやあ...おれもこいつらが分かるように言ってあるけどどんな技でも自分達を倒したウタを師匠にしたいって聞かないんだ」
これからの事をチョッパーと話し合ってる最中自分達を弟子にしてほしいジュゴン達の懇願がウタに伝えようと努力している。
「クォ〜...クォ〜...」
・・・主にウタの足に擦り寄せている駄々っ子のような姿で。
(か...かわいい...)
ジュゴン達の必死の説得にウタはある考えを決心した。
「あーもう分かったわよ!やるよ!アンタ達の師匠、やれば良いんでしょ!」
「「「クォー!クォー!」」」「ただし!」
力強く砂地を蹴ったウタは全員自分に視線を向けた事を確認し続けて語る。
「私が師匠になるんだからアンタ達も私のやり方でやらせてもらうからそのつもりで良いわね!」
「...クォ?」
〜〜〜〜
「さぁもう一度!ラ〜♪」
「クォ〜♪」
「声が小さい!もう一回!ラ〜♪」
「クォ〜♪」
「そう!その調子!」
「ポンポン カンカン ピョロ-
クォ! クォ〜!」
「良いね!そうやって身の回りのもので音を奏でられるものを探していくんだよ。」
「クォ!」
「はいワンツーステップターン、ワンツーステップターン!」
「クォッ!?クォ〜...クォ〜ン」バタッ
「回りすぎ!自慢の運動神経はどうしたの!?」
「クォ〜 クォッス!」
〜〜〜〜
「良く頑張ったね!これでアンタ達はアラバスタ一の歌って踊るクンフージュゴンだよ!」
「「「クォ〜♪!」」」
「...もう今の私に教えられる事はないわ、後は自分達で音楽を極めなさい」
「「「クォッ!?クォ〜...クォ〜...」」」
「もう、甘えないの。いい?私はいつかこの世界に幸せに満ちた新時代を作るのが夢なの。だからアンタ達も色んな人達に自分達の音楽を聴かせてその人達を幸せにしなさい。いいわね?」
「「「...クォッス!!」」」
「うん良い返事じゃあねみんな...元気でね!」
「「「クォ〜♪」」」
〜〜〜
それから2年後
"偉大なる航路"の各地である不思議な現象が多く発生していた。
それは多種多様な海獣達で形成された群れで各々が自身の鳴き声や自然物を利用して発生する音を奏でまるでコンサートのような動きを見せていた現象であった。
その光景を目にした人々はその群れが奏でる音楽を聴き 熱狂・歓喜・感動を覚えいつしかこの海獣達の群れを【海獣パレード】と呼ばれるようになる。
一つ一つの群れの構成がバラバラではあるがたった一つの共通点が見つけられていた、それは通常種と比較すると一際声が澄んでおり恐らく自分達で色付けしたのであろう紅白色のTDを首に掲げたクンフージュゴンが群れのリーダーを務めているという事だった。
「クォ〜♪♫」