海兵時代 東の海へ

海兵時代 東の海へ


まだ逃亡前の海軍にいた頃の2人


半年前 海軍本部


「お前らには東の海に行ってもらう」


海軍大将の執務室にてそんな会話が聞こえてくる。声の主はその部屋の主である大将赤犬ことサカズキ、最近問題児に頭を悩まし続けている男である。


「はぁ?サカズキのおっさん急にどうしたんだ?」


「ちょ…ルフィ!流石に仕事中にそれは不味いって!けどサカズキ大将、どうしていきなり東の海なんかに?」


そしてその部屋には今日は2人、普段は現れないような海兵達がソファに深々と座っている。


1人は海軍の英雄ガープの孫にして規律違反の歴代ワーストを更新し続けているある意味大物モンキー・D・ルフィ。階級は大尉。


そしてもう1人は紅白色という派手すぎる髪を持っていて彼の幼馴染にして別ベクトルの問題児ウタ。海兵の中には彼女を歌姫やアイドルと呼び崇めている者もいるらしい。階級は少尉。


そんな2人の不遜ともいえる態度にサカズキは頭を押さえながらもう片方の手には山のような紙束を持って説明を始める。


「この紙束が何か分かるか?これはお前らがここ最近やらかしたことに対してのクレームとその始末書じゃ…ガープ中将でも流石にここまでの量は出しとらんぞ」


「ん?そんなに出してねーぞ?」


「クレームが付くようなことなんてしてないはずですが…」


「…ルフィ大尉は近隣の食堂や定食屋でのツケ、懲罰として皿洗いをやらしたら全て皿を砕く…そして演習中に撃った大砲を跳ね返して最新型の戦艦を中破」


「ウタ少尉は度重なる軍楽隊への入隊拒否、ルフィ大尉との大食い競争で共に店の料理を食料庫が尽きるまで食べ続ける、極めつきは勤務中にも関わらず突然ライブと言って歌い始めマリンフォードの住民や海兵を眠らせる…これだけやってまだ何もしてないと言えるのか?」


ビリビリと怒気のような覇気のような物を発しながらサカズキは2人を睨みつける、英雄の孫とその英雄が連れてきた少女とあって多少は目を瞑っていたが流石に限界であった。

「あったなーそんなの」


「あったね、大食いは私の勝ちだったけど!」


俺が勝った!いや私の勝ち!とどうでもいい言い争いを続ける2人にますます怒りを覚えるサカズキであったが大将の威厳を見せるためにも目つきがますます悪くなっているが今は怒りをこらえている。

そして海軍本部や偉大なる航路の支部では2人に甘い者がいる可能性を考慮してそして灸をすえる為にも東の海への研修をさせるつもりであるのだ。


2人の故郷であり世界一平和な海とはいえ海賊やトラブルは常に発生する。そんな中でも2人の故郷や海を守る海兵達を見て我が身を振り直してほしいと考えているのがサカズキのプランである。


「えーっ…東の海ってそんなにつえー奴がいねーじゃん」


「コラ、ルフィそんなの言っちゃダメだよ?けど確かに歯ごたえのある敵はいなさそうだよね…久々にフーシャ村に行ってマキノさん達に会えるといいなぁ~~」


なのであるが2人はそんなこと全く気にせずある意味旅行に行くかのような能天気さを見せている。


「はよ行かんか!!このバカモノどもがぁ!!!」


そんな姿がサカズキの逆鱗に触れたのか怒りが爆発し覇気はドンドン強さを増していき、今なら本来は持ち得ていない覇王色の覇気に目覚めそうな勢いである。


飛び出すように部屋から出ていった2人を尻目にサカズキはタメ息を付く、コレを気に少しでも海兵としての自覚を持って欲しいと願いながら。


後日東の海に監視役として行かせた部下から魚人海賊団船長のアーロンや女海賊アビルダの撃破、海軍の権力を悪用した者を逮捕までの報告までは良かったが道化のバギーを追跡してリバースマウンテン経由で偉大なる航路へ突入し未だそれを追跡しているとの報告を聞いたサカズキは医師に頭痛薬の量を増やしてほしいと相談するのであった。


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