理想が残した星
シャーレの先生『藤丸立香』は、ホシノと共にパトロールをし、夕方遅く、アビドスの奥地まで来ていた為、廃電車を利用し、夜を過ごしていた。
「先生も苦しんでいたんだね。」
ホシノは、藤丸の体に密着し、暖を取りながらそう呟いた。
「俺、いや、私は…」
「私と二人きりだったら俺でいいよ。私と先生の仲でしょ? あの日、本心をさらけ出したんだから遠慮することはないよね〜」
数日前、ナラム・シンに酷似した空間。
ホシノは、現世の光が照らすオアシスの草原に立ち、藤丸は冥界の闇に包まれた彼岸花のみが咲き誇る花畑に立ち、二人の間を夕空の川が遮る仮想空間が出来上がっていた。
夕空はさながら現世と冥界の境界を曖昧にする黄昏の様。
「その苦しみを君一人だけで背負ってはいけないんだ。
私と一緒に背負っていこう。」
藤丸は涙を流しながらホシノを説得する。
「だから皆の元に戻るんだ。ホシノはこちら側に来てはいけない。
あぁ、私と違ってまだ間に合うとも」
死と苦しみ。
それはキヴォトスにおいて誰よりも彼が理解している。
ブラックバレル、根源的な『恐怖』に魂を蝕まれた彼は、まだ不完全な反転となっているホシノとは違い、不可逆。
『恐怖』となってなお此岸にいるホシノ。
此岸と彼岸を繋ぐ橋をホシノは完全に『恐怖』へと転ずる為に歩み続ける。
「…ホシノ。」
藤丸は涙を拭い、強い意志を固めた視線をホシノに送る。
(違う…ホシノがこちらに来ないよう追い返すんじゃない。
俺があちらへと歩み寄ればいいんだ。
そうだ。俺も多分、まだ囚われていたんだ。)
「手帳には何が書いてあると思う?」
藤丸は、そう言い、彼岸の花畑から出て、光指す草原へと、ホシノへ向かって歩み出した。
時は現在に戻る。
「いやー、おじさんの為に大の大人が涙を流してくれるなんてあの時は言えなかったけど嬉しかったなー」
ホシノは、そう言って「うへへ」と笑う。
「俺は正直に言えばホシノ…君に古い鏡を見ていた。こういう子供がいたのだなって…だから俺はほうって置けなかった。
苦しむ生徒を助ける先生としてではなくあの日の俺を助けたい…
藤丸立香個人としての我儘で助けようとしていた。」
藤丸は、ホシノにあの日の自分を重ねていた。
あんな辛そうな眼をしていたのは、いつ頃だっただろうか。
「先生。」
「ん?」
ホシノの唇が藤丸の唇と重なる。
「何を…」
「うへへ…
ねぇ、先生。改めてごめんね。
何度も言われているのに私が勝手に動いて皆に迷惑をかけて…でも、後一回、これが最後の勝手な行動だから許してくれる?」
「一体、どうする気?」
「お詫びの印に、いや、それは言い訳だね…うん、正直に言おう。私が先生の事が好きだからエッチな事をしたいんだ。
うへへ…可笑しいよね。さっきまで寒さに備えていたのに逆のことをしようだなんて…」
「…いいよ。来て、ホシノ。」
「うへっ!? ホントに?」
「うん、俺の事を好きにしていいよ。」
藤丸は、シャツのボタンを全て外し、ベルトを外し、無防備な状態で手を広げ、ホシノを誘う。
ホシノを誘う藤丸は、ホシノから見て、蠱惑的な魅力で、魅力による甘く蕩ける濃密かつ淫靡な花の蜜のような幻嗅が鼻をくすぐる。
「先生ッ…」
ホシノは藤丸の魅了に誘われ、藤丸のズボンとパンツを下ろす。
そこには非勃起状態でも分かるどんな女も快楽で魅了する美しく完成された陰茎がそこにあった。
ソレを目にした瞬間、淫靡な幻嗅は強くなる。
ホシノは、藤丸の陰茎に顔に近づければ近づく程、淫靡な幻嗅は強く高くなる。
ちなみに相性のいい異性からはそういった幻嗅がするらしく藤丸が性的に無防備になればなるほどそういった幻嗅が強くなる。
「ねぇ、先生。嗅いでるだけでも濡れてきちゃったから挿れてもいい?」
「うん、いいよ。」
「わかった。けど、先生が勃起してないから今勃たせるね。」
そう言ってホシノは、まだ勃起していない藤丸の陰茎を咥える。
「ッ!」
陰茎を咥えた瞬間、藤丸の陰茎から漂う濃密な淫臭と淫靡な蜜の幻嗅が脳に直接届き、衝撃を受ける。
(うへへ…何これ…酔いそう…でも好き…)
ホシノは、重い装備を外し、本来の目的を忘れるように必死で藤丸の陰茎をしゃぶりながら自慰にふける。
完全な勃起状態に近づけば近づく程、強く高くなっていく淫臭。
「ッ!」
完全に勃起すると陰茎の大きさと淫臭で咥えきれずむせて口から離し、大きく数度咳をする。
「大丈夫!?」
「うへ、大丈夫だよー。んじゃ、勃起したことだし、早速挿れるね。」
ホシノはパンツをずらし、藤丸に乗りかかり、自身の秘部を陰茎にあてがい、挿入する。
「痛ッ…」
ホシノは、破瓜に耐えながら歓喜の涙を流す。
秘部から処女の血が流れ、藤丸とホシノの下着と秘部に血が着く。
「大丈夫? 動かない方が…」
「うん、大丈夫だよ。先生。動くね。」
ホシノは既に濡れていた為、最初から速く腰を動かす。
「凄い。気持ちよすぎて勝手に腰が動いちゃう!」
ホシノは、自分の意思とは関係なく番による生殖が必要な生物が当然として抱く根源的な性の本能のままに腰が乱暴に動く。
「うへ、うへへ。浅く動かしてるのに気持ちいいよ。」
それでも人間としての尊厳を守る為、藤丸の陰茎に本能的に酩酊し、藤丸に快楽に堕ちた醜態を晒さないように理性を働かせ、肉体を言う事を聞かせ、浅く動くように制御する。
「我慢しなくてもいいんだよ? ホシノ…どんな姿でもホシノはホシノ。俺の大好きな生徒なんだから…大丈夫、俺はそんな事で、君を嫌いになんてならないさ。」
藤丸は、そう言って脳を焼き尽くすかのような甘い囁きをするとホシノの肉体の制御は失った。
そこからホシノは言葉にならない獣のような喘ぎ声を鳴きながら、腰を振り、絶頂を何度も何度も繰り返し、そして…
「クッ…そろそろ出る。」
「出じで! ながに出じで!! わだじのながに出じでいっじょにイギダイの!」
ホシノは、その言葉を聞いて我に返り、何とか言葉をふりしぼりながら腰を振り、藤丸の体を足で固め、力強く抱きつき、逃げられないにする。
「出るよ!」
藤丸が射精した瞬間、ホシノの脳は受けつける快楽の許容量を超え、気絶し、ヘイローが消え、だらりと藤丸の身体にもたれかかった。
藤丸の射精はまるで妊娠させたかのような量であった。
藤丸はホシノの身体を持ちあげ、秘部から陰茎を抜くとホシノの秘部から滝のような精液が流れ出る。
藤丸は、気絶したホシノを安静な状態にし、ホシノに抱きつき、二人で毛布に包まり、眠りについた。
朝日が昇る。
藤丸が目を覚ますとホシノは銃の簡単な整備をしていた。
「う、うへへ…先生、おはよ…」
ホシノは藤丸が起きたのに気がつくと昨日の夜を思い返し、照れながら朝の挨拶をする。
「ねぇ、先生」
ホシノは銃の簡単な整備を終え、ホルスターにしまい、藤丸に抱きつく。
「先生の事は私が守るから先生も私の事を守ってね。相棒としての約束だよ?」
「うん、わかったよ。ヒーロー。」
藤丸は、そう言ってホシノの頭を撫でた。