洞窟にて

洞窟にて


私たちはいま、雪の降る冬島の洞窟に身を隠していた。

たまたま手に入れたエターナルポーズが指し示した先が

人のいない無人島なのは幸運だったが、

外で激しさを増す雪は直接浴びずともこちらの体温を奪っていく。

もし火を起こすことが出来ていなかったらこのまま凍え死んでいたかもしれない。

…そのほうが、ひょっとしたら楽なのかもしれないが。

しかし自分だけならともかく、目の前で安らかな寝息を立てている彼をその道に巻き込みたくはなかった。


ルフィは今目の前で眠りについている。

…性格には、彼の体だけは眠りについている。

彼の精神と自分のもう一つの精神は今別の世界の中だ。


はじめは何がきっかけだったのだろうか。

確かあれは逃げている途中で海賊に襲われたときだった。

自分の不注意で彼がルフィがすきを疲れ、肩を激しく斬られる出来事があった。

あのあとなんとか海賊を撃退して逃げられたものの、その日の夜は気が気でなかった。

目の前の彼を失うかもしれないという恐怖で胸がいっぱいだった。

どうしても泣き止むことのできない自分を、彼は少しずつ慰めてくれた。

それでもどうしても止められなかった。

…互いにちゃんと生きている。そう確かめあいたくなった。

ルフィは、そんなあんまりなわがままにも頷いてくれた。


現実で体を重ねたことはない。

仮に身重になれば、もうこれまでのように逃げることは難しい。

自分一人だけではない。彼も、もしかしたらいるのかもしれない新しい命すらも危険に晒しかねない。

だからこれまで行為は全て夢の世界だった。

膜を破られる痛みも、与えられる快楽も、奥に放たれる熱も、

自分が眠りについて起きたときには全てないものとなっていた。

…なにより、現実ではその間ずっと一人だった。

夢の中ではあれほどに熱を分け合えているのに、現実においては目の前の彼を眺めることしかできない。

どれだけ体の奥が疼いても、一人で慰めていることしかできない。

それでもしょうがなかった。逃げるためのリスクを減らすためにはこれしかなかった。


…だがもう堪えることもないのかもしれない。

逃げ始めてそれなりの月日を過ごす中で最近気づいた。

海軍の頃は度々悩まされていた月のものが止まっていたのだ。

最後にあったのはもう4ヶ月も前のように思える。

彼が少しでも自分に食料を分けてくれるとはいえ、

かつてと比べれば環境はあまりに悪い。

体に異常が来ても仕方がないのだろう。


今はそれでも構わなかった。

目の前で眠るルフィに跨る。

眠る彼の顔が、夢の中の獣のような彼の顔と重なり、奥が疼く。

彼の腰を見れば、夢の中で自分を貫く昂りが布越しに主張を見せていた。

自分と違い、彼は現実でろくに欲望を発散させることも出来てないのだから当然なのだろう。

目を覚ますことのない彼の口に自分のを重ねる。

意識のない彼の下と自分のを絡ませ、彼の口内を容赦なく食らう。

目覚めたとき彼はどのような反応をするだろうか。

叱るのだろうか。悲しむだろうか。それでも自分を肯定してくれるだろうか。

もしルフィから否定されることがあれば、自分はもう生きてはいけないだろう。


「ごめんね…ごめんねルフィ…大好きだよ」


露わにした彼の下半身に自分のを落としていく。

幻覚ではない、確かな苦痛が体を襲った。

痛い。痛い。苦しい。

…それでも、その痛さが心地良い。

少しずつ、少しずつ腰を落としていく。

やがて夢の中で何度も味わったあの昂りが全て収まった。

同時に、奥に広がる熱を感じた。

長らく処理していなかったのだ。当然とも言えるだろう。


徐々に意識が遠くなっていく。

自分も体力が限界なのだろう。

起きたら彼はどのような顔をするのか見れないのは少し残念かもしれない…そう思いながら、意識を手放した。

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