注がれた白濁、塗り潰される聖杯達

注がれた白濁、塗り潰される聖杯達


「イリヤ、どうして…? クロも…」


慈母のような表情をしたイリヤとクロが、困惑するわたしの腕を捕らえている。

目の前にはこの部屋の主であるマスター、藤丸立香。自身の部屋で薄い笑みを浮かべて鷹揚と構える彼の姿は、供物を捧げられる神のような印象を抱かせた。

…イリヤ達がわたしをこうした理由は不明だが……ここまで状況証拠が揃っていれば、この状況がどういったものかくらいは答えられる。

───わたしは目の前の親友に裏切られ、マスターに売り飛ばされたのだ。


「答えてイリヤ! わたしがカルデアに召喚されるまでの間に、何があったの…!?」


必死に問いかけるわたしに対し、イリヤが静かに語り始めた。


「…ミユ、わたし達ね? “■■■お兄ちゃん”のことずーっと好き“だった”んだ。あ、兄妹としてなら今も好きだよ? でもね、恋愛的な意味じゃもう眼中にないの。だってわたし達のこと妹としてしか見てくれなかったし」

「それは…」


わたしにも心当たりがある。“■■さん”の親愛の情と、イリヤの恋愛感情はいつも微妙にすれ違っていた。…そしてそのすれ違いは、“■■お兄ちゃん”とわたしの間にも…。


「その点、お兄ちゃんはすごいんだよ? お兄ちゃんといーっぱい絆を深めて、ラブラブデートして、一緒にお風呂入って、初めてを捧げて……ふふっ♪ お兄ちゃんとのラブラブセックス、スゴかったなぁ♥ お兄ちゃんはね、“■■■お兄ちゃん”が教えてくれなかったものをいっぱい教えてくれたんだよ♥ 男の人とのキスの味とか、勃起したオチンポの存在感とか、ザーメンの味とか……オチンポとオマンコで繋がり合う気持ち良さと幸せとか♥」


恍惚とした表情で語るイリヤから、マスターへの嫌悪は一切感じ取れない。わたしはそれが恐ろしかった。人たらしのイリヤが、逆に手籠めにされている。


「けど、仕方ないよね? “■■■お兄ちゃん”はわたし達のこと女として見てないんだから。妹相手にフル勃起なんてしない以上、わたし達の初恋が実ることなんてないんだから」


…イリヤの言葉がちくちくと心に刺さる。それは、わたし達三人が薄々気づいていたことだったからだ。


「こんなすごい幸せくれるのはお兄ちゃんだけ♥ だからわたし達はお兄ちゃんにミユを捧げるの♥ 大好きなお兄ちゃんとミユに、いっぱい幸せになってもらうためにね♥♥♥」


イリヤはそう言い残すと、わたしの腕を離してマスターへと駆け寄った。チャンスと思い体勢を立て直そうとするが、身体が思うように動かない。それどころか…。


(なにっ…!? マスターを、“お兄ちゃん”を見てると、身体が、ぁ…♥)

「ふふ、甘ぁく痺れるみたいでしょ? ミユのお腹にさっき刻まれた、お兄ちゃんとの痛覚共有の刻印……あれにはお兄ちゃんに対するミユの本心を引きずり出す効果もあるのよねー」


クスクスと笑うクロ。その表情が小悪魔を通り越して悪魔のように見えるのは、きっと気のせいじゃない。


「そんな…♥」

「否定しても無駄よミユ♥ ほんとはミユも、お兄ちゃんのことが好き好き大好きー♥ なのよ♥」

「そんなことない…♥ わたしが、わたしが好きなのはぁ…♥」


必死に“■■お兄ちゃん”のことを思い浮かべるが、先程のイリヤの言葉がそれを邪魔する。


(“■■■お兄ちゃん”や“■■さん”はわたし達のことを女として見ていない……なら、“お兄ちゃん”だけが…♥ ぁ、違、違う…! わたしは、わたしが好きなのは…)


混乱する思考に焦るわたしを尻目に、ぶちゅり♥ とお兄ちゃんにディープキスを捧げるイリヤ。それに追従するように、クロもお兄ちゃんにしなだれかかる。


「ぷはっ…♥ お兄ちゃん、そろそろミユの目を覚まさせてあげて♥」

「そうそう♥ サーヴァントのわたし達は元の世界のわたし達とは独立してるんだから♥ ミユのつまらない未練、お兄ちゃんが断ち切ってあげて♥ ん、ぢゅぅぅ…♥♥♥」

「ん……ん、ぷはっ…。親友の説得でも心が決まらないか。じゃあ、ここからはオレの出番だね」


お兄ちゃんが、イリヤとクロの腰から背中を一撫でしながら立ち上がる。わたしを穢さんと近づいてくるお兄ちゃんの手を、わたしは振り払えなかった。


───


「あ゛っ♥ ぁっ♥ ぁ♥ あっ♥ 知らなっ……こんなの、しらないぃ♥♥♥」

「恥じることなんかないっ…。これから、オレの腕の中で知っていけば良いよ…!」


イリヤに腕を押さえつけられながら犯される。いつの間にか霊基第三になっていたわたしは、なす術なくお兄ちゃんにパコパコされていた。


「あらあら、ミユったら堪え性がないのね♥ わたしとイリヤでももう少し喘ぎ声抑えてたわよ?」


お兄ちゃんの背中に抱きついたクロが、お兄ちゃんの肩からぴょこりと顔を出してこちらを煽る。


「んっ…♥ ぐぅ…♥♥♥ ひ、ィ♥♥♥」

「抵抗しても無駄なのに、やけに頑張るわね♥ さっさと観念して、ミユも一緒にお兄ちゃんのモノになりましょ? 目の前の恋に全力を出すのも、女の子の特権よ♥」

「クロの言う通りだよミユ♥ 一度お兄ちゃんを受け入れて、愛し合ってみよ? そしたら、ミユにも分かるはずだから。…わたし達三人が本当に帰るべき場所は、お兄ちゃんの腕の中だって♥♥♥」


イリヤとクロの言葉が脳を揺さぶる。その間にもガチガチ大人チンポはわたしの未成熟おまんこをごりごりしていて、頭がおかしくなりそうだった。


「盛大にイきなさいミユっ♥ お兄ちゃんに身も心も全部捧げるのっ♥ お兄ちゃんこそ、わたし達聖杯が求めた真の所有者なんだからっ♥♥♥ ほらほらぁ、無駄な抵抗さっさとやめろ♥ 子宮っていう聖杯お兄ちゃんに明け渡せっ♥♥♥」


───神稚児としての自分を所有してくれる?

そんな妙な考えが脳裏に浮かんで、弾けた。

───クロの言葉が正しいなら……わたしは、聖杯としての自分を所有してくれる『運命の人』を探していた?


「美遊…! もうイくぞ!」


───多分、そうなんだろう。だって、今感じる充足感はこれまでの人生で一番だ。これを切り捨てて元の自分に戻るなんて、わたしには無理だ。

───元の世界にはオリジナルがいる。…だから、だから。…ここにいるわたしが“藤丸美遊”になっても、誰も文句は言わないよね?

そんな現実逃避と共に抵抗をやめれば、絶頂はすぐそこだった。


「あぁぁぁあああッ♥♥♥♥♥♥♥」


───ああ、塗り潰されちゃう。カラダも、ココロも、お兄ちゃんの色に。

───幸せ。これがそうなんだ。これが本当の幸せ。こんなもの味わってしまったら、もう戻れない。


「あはっ♥ すごいイきっぷりだね♥」

「でもリツカの全力はこんなもんじゃないわよ♥ アナルヴァージンだってぺろっと平らげちゃうんだから♥」

「ぁ、へ……ぇ…♥♥♥」


───


結局わたしは、あの後お兄ちゃんに何度も何度も犯された。

和服とミニスカートは剥ぎ取られ、プレイの一環と称してコンドームをつけさせられ、最終的には一糸纏わぬ姿でアナルヴァージンすらも捧げてしまった。

…もう、“■■お兄ちゃん”に捧げられるハジメテはひとつも残っていない。それになんら痛痒を覚えない自分が不思議だった。


「「で、ミユ♥ ミユはどうするの?」」

「ぁ…♥」

「…美遊」


お兄ちゃんにくちゅくちゅとおまんこをいじられながらの問い。答えなんて、とっくのとうに決まっている。だからお兄ちゃんはそんなかっこいい顔をしないでほしい。


「わた、わたしもっ♥ イリヤ達と一緒…♥ お兄ちゃんの……藤丸立香お兄ちゃんのお嫁さんになる♥♥♥ 朔月遺伝子入りの卵子全部捧げて♥ 藤丸家として朔月家復興するぅ♥♥♥ 産まれた赤ちゃんが神稚児だったらお兄ちゃんの好きに力使ってくれて構わないからぁっ♥♥♥」

「ふふっ、良く言えました♪ お利口さんねミユは♥」

「ミユが素直になってくれてわたし達も嬉しいよー♥ じゃあ……最後にお兄ちゃんからのリクエスト、やっちゃおっか♪」

「いや、オレ発案のプレイはチョーカーだけだからね?」


そう言ってイリヤ達が離れ、すぐに戻ってきた。手に持っていたのは、先程の使用済みコンドームと…。


「え、それ…」

「うん。元の世界で“■■■お兄ちゃん”から誕生日プレゼントにもらったブレスレット。そのチャーム部分だよ♥ これにポイする時に邪魔になっちゃうから、輪っかの部分は捨てちゃった♥」


五芒星と、ハートを模したチャーム。それが使用済みコンドーム摘むのとは逆の指に摘まれている。

元の世界のイリヤとクロにとっては本当に大切なもの。けれど、こちらの二人にとってはもう…。

白く濁ったザーメンで満たされた使用済みコンドーム。その中に、チャームがとぷんと沈んでいく。それを床に放り捨てた二人が代わりに取り出したのは、お兄ちゃんの令呪を模したチャームのついたチョーカーだ。


「そのうち結婚指輪プレゼントしてくれるって話だけど……このチョーカーも良い物ね。ミユも早くつけてみなさいな♥ “あれ”を捨てて、ね…♥」


クロが指差した先にはイリヤがいて、そのイリヤの手にはいつの間にかわたしのブレスレットのチャームが握られていた。もう片方の手には、もちろん…。


「ぁっ…♥ ぁあぁ…♥」


…イリヤ達のそれと同じチョーカーがあった。

ニコニコ笑顔のイリヤから、まず六芒星を模したチャームを手渡される。わたしは一瞬だけ逡巡して───それを、手近な使用済みコンドームに捨てた。

イリヤ達がそうしたように、「とぷんっ」とチャームが沈んでいく。白く濁った精液の中に沈んだそれは、床に打ち捨てられてもう二度と顧みられることもないだろう。


「…これから、末永くよろしくね。お兄ちゃん♥♥♥」


そう言いながら、イリヤから手渡されたチョーカーを身に着ける。

わたし達の喉元を新たに彩るチョーカー。

精液に穢され、ゴミとして床に打ち捨てられたブレスレットのチャーム部分。

その構図に、どうしてかわたしは興奮を覚えた。


「…こちらこそ、よろしくね。オレのお嫁さん」

「! うんっ♥♥♥」


───ああ。もう、戻れない。元の世界にも、かつての自分にも。

下卑た笑みで頬を緩ませながら、確かにそう感じた。


───


───ごめんね、“■■お兄ちゃん”。それに“■■さん”。わたし、イリヤ達と一緒に寝取られちゃった。

二人のチンポがイケメンチンポなのか粗チンなのか……勃起してるところを見たことすらないから分からないけど、どっちにしてももう手遅れだと思う。

でもわたし、“■■お兄ちゃん”のこと“妹として”ちゃんと好きなままだから。そこ“だけ”は絶対変わらないから。

だから、バイバイ…♥

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