「決戦」(1)
※ようやく戦いに辿り着けた。キャラ崩壊注意!誤字脱字あると思いますが許してください
(ロー目線)
『転移完了。安全装置を解除します』
機械音声を流しヘルメスが天球儀の形へと戻る。それを受け止め辺りを見回すがそこは島影1つ見えない海の上だった。
「なんだぁ?海のド真ん中じゃねぇか!ほんとに転移できたのか?」
道化屋の疑問は最もだ。ヘルメスを確認すると飾りの宝石が1つ光を失っておりしっかりと転移できたことを示していた
「待って!」
風の状態などを確認していたナミ屋が声を上げる
「この辺り、ジャヤの周りの気候に似てるわ!ノックアップストリームが起こるかもしれない!」
「じゃあ目的地は空島だな」
麦わら屋がその言葉を聞きそんなことを言い始める。待てなんでノックアップストリームなんて超常現象と空島が結びつくんだ。目を丸くした俺を見て鼻屋が自慢げに話し始めた
「その顔は知らねぇなぁ?実は空島ってのはノックアップストリームに乗っていくのさ!積帝雲の上を航海して俺達は辿り着いたんだ!」
「お喋りしてる場合じゃないわよ!あの時だって大変だったんだから。もう1回アレに乗りたきゃ急いで準備なさい!」
途端ナミ屋がテキパキと指示を出し始める。
「トラ男くん達も!その船サニー号に仕舞ってこっちに乗って!ふたつの船に同時に指示出す余裕なんてないから!」
その剣幕に押されながら、俺達もドタバタと準備を進める
「ナミ屋全員こっちに乗れたぞ」
「それじゃあ何処か捕まるとこを探しといて!特に能力者共はしっかり身体括っときなさい!落ちても拾ってあげないからね!……ジンベエ、5分後取舵30!頼んだからね親分」
「任せとけ。どんな波でも乗りこなしてみせるわい」
同盟中も何度か見たがナミ屋の航海術は凄まじい。ミンク族で感覚の鋭いベポでさえノックアップストリームの正確な発生場所と時刻を予測するのは不可能だろう
「皆!準備はいい?飛ぶわよォ5、4、3、2、1」
「行けえええ!サニー!!!」
ナミ屋の予想通りサニー号はノックアップストリームに押し上げられ空へと登っていく。横で麦わら屋が叫んでいるが俺も同じくらい興奮していた。クルーたちからも感動とも取れる絶叫が上がっている
「ほんとに……空の上だ」
揺れが納まった時誰かが呟いた。真っ白な雲の海を船が進んで行く
「ウソップ!なにか見える?」
麦わら屋達は慣れたものでもう持ち場につき始めていた。道化屋が居ねぇと思ったがどうやら船の端でへばっているらしい
「相変わらず……無茶苦茶な……登り方しやがる」
死んだように呟いていたが確かにその通りだろう
「島が見えてきたぞ!」
見張り台から鼻屋が声を上げる
「島自体はそんなに広くねぇ!でけぇ城が建ってるからトラ男の言ってた島で間違いねぇはずだ!……っておいおいおい……ありゃあ」
唐突に鼻屋の声が曇る
「どうしたウソップ!」
「鳥籠だ!鳥籠が島全体を覆ってやがる!ドレスローザの時とおなじやべぇ切れ味のやつだ!」
「!」
その言葉にドレスローザで鳥籠の凶悪性を知っている者は皆顔を険しくする。あの糸の檻から出るのは至難の業だ。ならその反対も推して知るべしだろう
「あれかぁぶっ飛ばせるかなぁ?」
「ドレスローザじゃ切れなかったからなぁもう1回挑戦してみてぇと思ってた。今度は斬る」
どいつもこいつもやる気満々な様子にため息をつきながら俺は壊せなかった時のことを考え始める。そうしている間に島が目視できる距離まで近づいて来た。鼻屋の言う通り鳥籠に全体を覆われ入口は見当たらない。外に見張りも居ないようだ。俺達は島へと上陸する
「よしっゴムゴムのぉ」
早速壊そうとし始める麦わら屋達を余所にRoomを展開する。覇気を纏っているのか鳥籠に阻まれそれ以上はサークルが拡がっていかなかった
「おわっ」
糸の間に手を入れた麦わら屋が慌てて引っ込める。どうやら間を通ろうとすると隙間を閉じて切りに来るらしい。切られる以外に通り抜ける方法は無いのかと考え思い出す
「道化屋」
「あ?何だよ」
ようやくノックアップストリームの衝撃から回復したらしい道化屋を捕まえ鳥籠に押し付ける
「ゴラァいきなり何しやがんだコノヤロー!!!」
予想通り、バラバラに切り刻まれ鳥籠の中で元に戻る
「すげぇなバギーどうやって通ったんだ?」
「フンッ俺様にかかりゃあ朝飯前よ!なんてったって俺様の食ったバラバラの実は斬撃が効かねぇからな!」
道化屋が鼻高々に言う。なんの役に立つのか意味不明な能力だったが今回ばかりは助かった
「というわけで道化屋に鳥籠を破壊してきてもらう」
「どういう訳だ!俺はなんも聞いてねぇぞ!第1俺様1人でドフラミンゴの相手しろってのかバカヤロー!」
「バカはお前だ説明してやるからちゃんと最後まで聞け」
ぎゃあぎゃあ騒ぐ道化屋を無視して説明を始める
「道化屋、バラした身体を目一杯拡げたまま四六時中過ごせるか?」
「あ?そりゃあ無理な話だ。身体を拡げれば拡げるほど制度は落ちるし何より寝ることも出来ねぇ」
「それはドフラミンゴも同じだと思わないか?俺達がいつこの世界に乗り込んでくるか奴には予想ができないはずだ。予測して鳥籠を準備することはできねぇ。つまりこの鳥籠は常時設置されていると考えるべきだろう」
「でもそれは無理なんだろ?さっきバギーが寝るのも食べるのもできねぇって言ってたじゃねぇか」
食べる話はしていなかったと思うがとりあえず麦わら屋に頷く
「あぁ本体が張り続けるのは不可能だ。だから……何かしら仕掛けがあると思う。おそらく鳥籠を展開するための道具が島の中にあるはずだ。それを道化屋に壊してきて欲しい」
「ぎゃははははは俺様にしか出来ないって訳か、いいだろうその役目この千両道化バギー様が引き受けてやろうじゃねぇか」
道化屋がおだてられることに弱いのは目に見えていた。道化屋にしか出来ないことを強調して伝えれば案の定気を良くした道化屋は高笑いをしながら引き受けてくれた
(バギー視点)
麦わら達に鳥籠を壊してくると高らかに宣言する
(なんてなぁこいつらが入れないのは好都合。その間にお宝を盗み出してトンズラしてやるさ)
「気をつけろよバギー!」
麦わらなんて俺様へ心配の言葉をかけているほんとにコイツらはあまちゃんだなと思いながら島の中央へと歩みを進めた
「お宝ちゃ〜ん何処ですか〜と」
城に侵入する場所を探しながら島を探索する。途端背後から身体を真っ二つにされた
「ぎゃあああ……なんてなぁいきなりなにしやがるコノヤロー!」
振り返った先に居たのは
「どっドドドドフラミンゴオオオ!?」
「フッフッフまさかお前が来るとはなぁバギー?」
今回の標的であるドフラミンゴが凶悪な笑みを浮かべながら宙に浮いていた
「いやその……俺はですねぇ……別に戦う気なんてなくて迷い込んだだけと言いますか……お宝の匂いに惹かれただけと言いますか」
「誰であろうとこの島に入り込んだやつは逃がさねぇよ」
「ですよねぇ」
大慌てで逃げ出す。幸いにもドフラミンゴの遠距離攻撃は糸による斬撃だ。殴り飛ばされないように距離を取れば俺様に攻撃が効くこたァねぇ。見えた岩場に身を隠す
「隠れても無駄だぞバギー」
「ほんとにそうかよいけっマギー玉」
ドフラミンゴの視線から外れた一瞬用意したマギー玉を放つ。それはドフラミンゴに真正面から当たり大爆発を起こした
「見たか!マギー玉のこの威力!ド派手に喰らいやがれ!」
爆発の後を見る。そこに人影はなく切れた糸が散らばっているだけだった
「何だ糸人形かよ脅かしやがって……」
ホッとしたのもつかの間糸が勝手に動き寄り集まり始めた
「フッフッフもう終いか?」
一瞬でドフラミンゴの形へと戻る。再び鬼ごっこが始まった
「ぎゃあああこんな予定じゃねぇぞくそおおおお」
糸人形の攻撃を避けながら悪態を着く。ナイフで斬りさこうが岩で叩き潰そうが糸人形は瞬く間に元に戻っていた
「不死身かよこいつはァ」
そこでふと違和感に気づく。先程話したばかりだが能力ってのは普通本体から離れれば制度が落ちる。だがこの糸人形は再生も一瞬攻撃も制度が落ちているようには到底見えねぇ。能力者が目に見えない範囲まで離れているにも関わらずこの動きは異様だった
「バラバラせんべい!」
広範囲を切り裂ける技を使い再生の様子を観察する。ここまでの動きができるのは能力者との強い繋がりがこいつの中にあるからだ。予想通りちぎれた糸はひとつの糸玉を起点に集まっていく
「てめぇの急所はそこだァ!!!」
隠していた手が握ったナイフが糸玉目掛け突き刺さる。その途端戻りかけていた糸は統率を失いハラハラとその場に散った
「ふんっ……手間取らせやがってってあー!?」
崩れていったのは糸人形だけでなくそれを媒体にしていたのだろう鳥籠も解除されていく
「くそォこれじゃあトンズラこけねぇじゃねぇかよぉ」
こうして予想と反する形ながらも戦いの火蓋は切って落とされ、麦わら、ハート同盟は初戦を納めたのである