決勝戦 直前

決勝戦 直前

稲生・紅衣・メメ・虎屋のスレ主

「なんや?決勝戦控えた選手がなんの御用や?」

決勝戦が始まる数十分ほど前に俺くんは平子真子の元へ訪れた

「うーんなんというべきですかね...稲生五席相手にどう戦ったものかと考えてたら来ちゃいました」

俺くんは両手に持っていたお汁粉の一つを平子に渡した

「そないド緊張して相手取るようなタマやないやろ 今までの戦いも大雑把極まっとったし」

「そういうもんですかね...結構多彩で柔軟な対応が出来そうなので攻めあぐねるというか」

俺くんは無駄にフレキシブルさ持っていそうな稲生によって戦闘のビジョンを掴み損ねていた

「あっ 副隊長さん!来てたんですね」

思案していると雛森ちゃんが冷やしパイナップルを持って来た 串の長さは13cmや


「しゃーないわ 偶には隊長らしく部下導いたらんとな...まず稲生のやつはまったくと言ってええほど策に柔軟性はないやろ 勝ち筋一つに一点賭けや」

「あんなに改造しているのに?」

「最初の紫苑の時は両腕とも爆弾にしとったが結局稲生の勝ち筋は『接近してワザと斬られて鴉で押しつぶす』やから爆弾はそのために使う足がかり

次のカワキの時は『チップを当てて機能不全にしそこを縛道で縛る』そのためにロボになって何が飛び出すか分からんようにする

その次のぷるぷるいうのは『自分の攻撃が通らないから相手の攻撃を利用する』そのために相手が慎重になるように手札を如何にも持ってますという態度を崩さない

その上で聞くわ...お前への勝ち筋はなんや?」

一息に言った後平子隊長はお汁粉を啜った 改造はそれ自体が勝ち筋というよりも勝ち筋を通すための推進剤といった所だろうか

「俺の始解相手じゃあまり決着がつけづらいでしょうし...『俺の卍解を逆手に取る』...かな?」

「せやったら稲生は是が非でもお前を卍解させないかん『始解じゃ分が悪い』そう思わせるように戦って卍解を引き出して追い詰められた振りしてカウンターって所やろうな 意地が悪いんは涅か浦原が絡んでるからかもしれんが

せやから始解のうちは稲生は決定打は無い 落ち着いて相手の手の内を探れ」

恐らく始解での戦いはかなり苦戦を強いられることになる だが相手は様子見をせざるを得ないのなら卍解を逆手に取られないための策を講じてから卍解も出来るはずだ


平子隊長の言葉を聞いてまた色々と頭の中で考えを纏めていると雛森ちゃんが話を切り出した

「そういえば稲生さんって縛道も大雑把ですよね 基本的に一度に出すのは一種類を沢山って感じですし」

「正直あんなに大量に出すのに一つ一つは面倒は見切れないし画一化して数で調節している節はあるね」

とはいえ本人が出す縛道だけで見れば普通に熟達しているように見えるし数が少ない時でも警戒はしなければならないだろうか

「...というか寒いのによく冷やしパインなんて食べてるね」

「売れないからって市丸さんにタダで渡されました」

後で冷やかしに行こうと俺くんは考えたのだった




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