舞姫、ワームの母になる
「やめ、あぎっ……ああっ!!」
ミチミチと肉を広げて突き入れられていく極太の醜悪な肉の棒。
氷結界の舞姫。戦場を舞うように駆け、敵を屠ってきた彼女は今は巨大なワームの手中にある。
ワーム・キングと呼称されるその個体は、名が表す通りワームたちの長だ。黄色く巨大化した身体は多くのワームを遥かに凌駕するほどで、知性すら有しているとのこと。
そんなキングは、舞姫を捕らえると喰らうよりもその肢体に目を付けた。
「ぐっ、あがっ、やめ、んぎぃぃっ!」
人形のように胴体を掴まれ、上下される身体。ワーム・キングとの戦いによって衣装を裂かれた舞姫は、その美しい肢体を惜しげもなく侵略者たるワーム共に晒している。
男の性玩具のように乱雑に扱われる舞姫の腹は歪に膨らみ、凌辱の激しさを物語る。
「絶対、ころ……いあっ!んぐっ……」
長く続けられる凌辱劇に、舞姫は体力の限界を感じたがキングはそうではないらしい。
いたく舞姫を気に入った彼は完全なるツガイとして連れ帰るつもりだった。
「いや、はなせ!やだ、イヤァァァアアア!」
自分に訪れるであろう未来を感じて、舞姫は泣き叫ぶことしかできなかった。
「はぁ……はぁ……」
特別に用意されたその部屋で、舞姫は膨らんだ腹と格闘していた。陣痛が始まったと思えば、ソレが産まれる感覚をその身で嫌でも感じてしまう。
ふるふると首を振り、現実を受け止めようとしない彼女だったが、やがてその時が訪れた。
「んぎっ……ぐっ、ああっ……」
肉を広げながら出てくるモノがある。骨盤を広げ、這い出てくるナニカ。
よく見知る赤ん坊ではない。舞姫が初めて見た出産は妹のように可愛がる少女が生まれた時だった。だからこそ、苦しくても幸せだったあの光景とは今はかけ離れている。
自分もいつか……という幻想を壊すかのように、舞姫から産まれたソレは産声を上げた。
「はぁ、ぐぅ、うそ、だ……」
産まれてきたソレは歪な生き物だった。ヒトとは明らかに違う爬虫類のような質感の肌。ヒトの色とは違うサイケデリックな黄色。
それは言うまでもなくワームの子供。ワーム・キングの子供だ。
「う、うぅ……」
吐き気が込み上げてくる舞姫。されど縊り殺そうという行動には移せない。醜悪な怪物の子を産まされたというのに、自らの腹から出てきたソレがどうしようもなく愛おしい。
(ああ、もう、私は……)
舞姫は理解した。這ってくる怪物の赤子を抱き寄せて、母乳を飲みだすソレを眺めながら。
(屈服してるんだ……身体が、やつを……ツガイって)
涙を流しながら微笑む。もはや戻れぬところまで来た絶望の涙と、ツガイと我が子を求める己の身体の悦び。
やがて気配を察知したのか部屋に近付いてくるワーム・キングのことを考えながら、舞姫は愛おしそうに赤子を撫でていく。
(きっと、また、仕込まれるんだ……ソレを私は、喜んで……)
もはや考えるのをやめながら、舞姫は訪れた王に微笑むのだった。