水霊使いエリアが失くした物を取り戻す話
「ありがとう、気持ちは嬉しいよ…」
「でも、君とはそういう関係にはなりたくない、かな…」
「ごめんね、ギーくん」
背を向けて去っていく彼女。追いかけようと走り出した瞬間、つまずき倒れ伏す。
あたり一面に広がる、骨、骨、骨。こちらを見上げる骸骨の暗い眼窩が大きく広がって
またこの夢だ。振り切ったと思っても蘇る苦い思い出。こういう悪夢を見た後は何かしら良くない事がある。それが彼、ガガギゴのジンクスだった。
ジンクスは当たった。先日戦場で保護した身寄りのない子供達。彼らが魔法使い族であった為、魔法族の里へ送り届けることになったのだ。行きたくはなかったが、隊長もフリードも気軽に動くことは難しい。故に自分にお鉢が回ってきてしまった。荒れていた頃の自分を拾ってもらった恩もあり、断ることは出来なかった。嘗ての想い人、その友人たち、使い魔に会う可能性を考えるとガガギゴは憂鬱だった。
「トカゲのにーちゃんありがとー!」
「さよーならー!」
無事に魔法族の里に到着し、子供達を送り届けたガガギゴ。幸運なことに知り合いには誰にも会わなかった。せっかく故郷に来たのだから、ゆっくり思い出の場所でも回るかとも考えた。だが余計に留まっていれば出会ってしまう可能性も上がる。さっさと帰ろう。そう思い身を翻し
「ギーくん…?」
気のせいだ
「ギーくん、だよね?」
走れ
「ギーくん!!」
走れ走れ走
飛びつかれた勢いでつまずき、腹這いに倒れた彼の背中から
「おかえり…ギーくん…」
一番聞きたくない声が聞こえた。
「ギーくんはいつも急だよね!思い立ったらすぐじゃん!こっちも色々準備があるんだからさぁ!」
文句を言いつつ、料理の手を休めない彼女を前に、ガガギゴはただ唸り声のような返答しかできなかった。
水霊使いエリア。かつて彼が仕えていた主であり、失恋した相手である。
何故振った相手に対してこんな対応が出来る?普通なら自分の様に気まずくて仕方が無いはずだ。仕えていた筈なのに彼女がわからない。ガガギゴは恐怖を感じていた。
「ギーくん、変わったね」
料理を口にしつつエリアが呟く。対するガガギゴは全く手が進んでいないが。
「前よりも体格良くなったし、あちこち傷だらけだけど…なんかカッコよくなった」
そういうエリアも前は可愛い女の子にしか過ぎなかった。今は少し背が伸び、女性らしい丸みを帯び、ボディラインもメリハリがついて、「女性」が感じ取れるようになった。自分が告白したときとは大違いだ。ガガギゴは言葉を多少濁しながらエリアに告げる。
「そう?ありがとう♪」
エリアのご機嫌は取れたようだ。こんなにも美しくなったのだから、新しい使い魔もいるだろう。自分はもういる必要はない。彼女とも穏やかに過ごせたし、早く帰らなければ。
「ギーくん、明日色々買いに行こうね。ギーくんの生活用品全然ないし」
彼女は何を言っている?
「ギーくんが帰ってきてくれて嬉しいなぁ♪霊使いのみんなにも言っておかなきゃ!」
待ってくれ!自分は里に用事で立ち寄っただけだ!帰ってきて永住するわけじゃない!
「?ギーくんは私の使い魔でしょ?」
自分には帰る場所があるし、待ってる奴らもいるんだ!隊長にフリード、隊の仲間達も!自分が戻らなきゃみんな
「誰それ?」
エリアの目から光が消える。
「そんなの知らない」
「ギーくんの帰る場所はここだよ?」
「そんな人たちの所より私の所で暮らすべきなの」
鬼気迫る表情のエリアが近づき、ガガギゴは思わず尻餅を着いてしまう。そんな彼にエリアは跨り顔を近づけ
「だってギーくんは」
「私の使い魔(モノ)なんだから」
彼の唇を奪った
呆然とするガガギゴを霊術で拘束しつつ、エリアは告げる。
「もう何処にも行かせない」
「すーっ…はぁっ…♡久しぶりのギーくんの匂いだ…♡ギーくん♡ギーくん♡えへへ♡」
彼に抱き着き、匂いを堪能するエリア。想い人が自分に密着するというシチュエーションに思わず身体の一部が反応してしまう。
「あ…♡ギーくんまだ好きなんだね…私の事…♡」
「いいよ♡ギーくんにずっと居てほしいからしてあげ…キャっ!?」
エリアがガガギゴの股へ顔を向けると、人間とは違う異形の男性器が姿を見せていた。
「す、すごい…こんなの見たことない…すごく…濃い匂い…♡」
「…ちゅっ♡ちゅっちゅっ…♡れる…♡ぺろぺろ♡」
異形の性器に愛撫するエリア。そんなエリアを止めようと、ガガギゴは足掻くが手足は動かない。
「…っぷぁ♡ごめんね!ギーくんもしたいよね♡ちょっと待って…うんしょ…♡」
スカートと下着を脱ぐエリア。下着は既に愛液によって、その色を濃く変えていた。そのまま陰毛の薄い女性器を広げるとポタポタと愛液が滴り落ちた。
「ギーくん見える…?今からここに♡ギーくんのを入れちゃうんだよ♡」
「後、今日ね♡結構危ない日なんだ♡もしかしたら♡赤ちゃんできるかも…♡」
青ざめ更に抵抗を試みるガガギゴ。だが全く拘束は外れない。
「えへへ…♡嬉しい…♡こんなに喜んでくれて…♡」
ちゅぷっ…
「それじゃ…」
ずぷ…ぐぐぐ…
「んぐ…♡ひぁっ…」
みちち…ぷちぷち…
「ひぎっ…♡」
ぶちゅん!
「あぁん!♡はっ…はっ…入ったぁ…♡」
結合部分から流れる血。性器の形に膨らんだエリアの下腹部。とろけきったエリアの表情。その全てが煽情的であり、ガガギゴの性欲は意思に反してドンドン強くなっていってしまった。
「あん♡ギーくんのっ♡気持ちいい♡♡ギーくん♡ギーくん♡ギーくん♡」
身体を上下させ快楽を貪るエリア。射精しないように必死に耐えるガガギゴ。こんなに変わってしまった想い人の姿を見て、彼の眼には涙が浮かんでいた。
「泣いちゃうくらい気持ちいいんだ♡ギーくん可愛い♡♡そんなギーくんにぃ♡ご褒美あげちゃう♡」
エリアは服に手をかけるとそのまま脱ぎ捨て、下着までも外してしまった。形の良い丸形の乳房。その年代にしては大きいサイズ。やや大きめで色素の薄い乳輪と乳首。全てがガガギゴの眼に飛び込んできた。
「はい♡おっぱい♡♡ギーくんちっちゃい頃からずーっと見てたからね♡夢叶ってよかったね♡♡」
蠱惑的な表情、動きに合わせ大きく弾む乳房、いやらしい音を立てる結合部分。これらを一度に見てしまったガガギゴは限界を迎えてしまった。
ドックン!ドクドクドク!ドクン!
「あはっ♡射精しちゃったね♡気持ちよかったね♡」
「私っ♡も…イッ!?♡ちゃったぁ…♡」
ちゅぽん♡ぶぴっ♡♡こぽ…♡
「こんなにいっぱい…♡おめでとう♡ギーくん♡」
快楽と絶望の2つを同時に味わったガガギゴの脳は処理をしきれず、意識を手放すという選択を取った。
翌日目覚めたガガギゴは責任を取らせて欲しいと告げた。自分と結婚して欲しい。家庭を支えていきたい。傭兵稼業も引退すると。だがエリアの返答は意外なものだった。
「私の返事は変わらない」
「君とはそういう関係にはなりたくない、だよ」
何故?自分が好きだったからあんな事したんじゃないのか?
「ギーくんは私の使い魔であって恋人じゃないよ?使い魔は使い魔のまま。自分のものを側においておくのは当たり前でしょ?」
「振ったらいじけて居なくなる、セックスしたら責任取るって言い出す。思い立ったらすぐ行動。ギーくん、中身は変わってないんだね♪」
クスクスと笑うエリア。ガガギゴは一瞬ドキリとする。しかし子供はどうするのか?何もしないのは罪悪感がある。
「私、水霊使いだよ?液体の扱いだったらお手の物だし、妊娠するのも自由なんだ♪」
その言葉に思わず力が抜けてしまう。自分を伴侶であると認めないが、所有物であると認めているとは…何とも複雑な関係であろうか。
とにかくまずは隊長とフリードに伝えに戻らなければ
「だめ」
昨日と同じく目から光が消えるエリア
「そうやってまた逃げる気なんだ」
「絶対に逃さないから」
「あ、そうだ♡いいこと考えちゃった♡ふふっ♡」
その後、一通の封筒が切り込み隊長と無敗将軍フリードの元に届いた。その中に入っていたのは手紙と1枚の写真。
『切り込み隊長、フリード将軍、この手紙を読んでいますか?貴方達の戦友だったガガギゴくん、もう帰りたくないそうです♡これからは私の使い魔として一生そばにいるって言ってました♡戦力が減っちゃいますけど、がんばってくださいね♡
水霊使いエリアより』
『追伸、貴方達が戦場で保護した子達は里で元気に過ごしています。隊長と将軍によろしく、だそうです』
肩までしか写っていないがおそらく何も身に着けていないであろう、満面の笑みを浮かべる少女。涙を流した跡が残る顔面に、キスマークを大量につけ、引き攣った笑みを浮べ、ピースサインをした戦友の姿が写真に収められていた。
二人は遠い場所に行った戦友の行く末を思い、里の方角に向け敬礼の姿勢を取ったのであった。