水晶の輝き、硝子の子
私は斉藤晶。ただの小学生だ。私自体は普通の子どもだけどお父さん以外の親族が本当に芸能関係者ばかり。
例えばころもちゃん(ころもおばちゃん、と昔呼ぼうとしたら凄い怖かった)は歌手、ルビーちゃん(笑顔で訂正させられた)は女優。
アクアおじさんは元役者で今はお医者さん。あかねおばさんは売れっ子女優。
お母さんは大女優の不知火フリル!
そんな中お父さんは普通の専業主夫。
何をどう間違えたら大女優を射止められるのだろう?それにお父さんの友達にはMEMちゃんや有馬さん、鳴嶋メルト(メルトくん)、コケよん、歌手のKENGOetc…とか有名な人もいる。
たまに黒服を着た怖いおじさん、お兄さん引き連れて来る綺麗な女の人とか。
「君のお父さんは数奇な…分からないよね。不思議な運命に導かれているんだ。だから様々な縁が彼のもとに結ばれていく。君と君のお母さん、果ては私ともそれで繋がっているんだよ」
そう、よくお家に来て勉強教えてくれたり遊んでくれるツクヨミお姉ちゃんは教えてくれたけどよく分からない。
とりあえずお父さんは不思議な人、ということ。
専業主夫…と聞いているけどお父さんはカウンセラーの資格を持っているのでたまにカウンセリングに出かけたり、漫画家さんのお手伝いさんをしたりしている。一度だけ仕事場に行った時はサインやイラスト色紙を沢山貰った。
漫画家さん…アビ子ちゃんとはそれなりに仲良くしている。
自慢じゃないがアビ子ちゃんの漫画のモデルにしてもらったし。
「晶ちゃんはお母さんに似た黒髪で目の色はお父さんそっくりですね…そうだ、晶ちゃん。私の漫画のモデルになりませんか?」
主人公(家庭的な暗殺者)とヒロイン(美人作家)の娘のアキラは私がモデルなのは私とアビ子ちゃんの秘密だ。
「アビ子ちゃん、主人公の人…お父さんに似てない?なんとなくだけど」
「え⁈そ、ソウカナー?キヅカナカッタナー?」
「ヒロインは…お母さんとアビ子ちゃんが合体した感じがするね。こだわり強いところがアビ子ちゃん、しっかりしてて面白いところがお母さん!」
「そ、そうですね…まあ、私がこうなれたら、で作ったキャラですから…やっぱり硝太くんの娘さんですね。よく見てる」
そう言いながら頭を撫でるアビ子ちゃんは少し寂しげだった。
「あら、ちびっ子じゃない。今日は硝太は…そっか。仕事か。大女優が読み聞かせしてあげるわ!何読んで欲しい?」
「かなせんぱい、読み聞かせは流石に卒業したよー?じゃあせんぱいがやってたゆうこやって!月に帰る前のやつ!!」
「あんたウルトラ系好きねー…まあ、私も嫌いじゃないわよ。良い役だったし。
…コホン。
『星司さん!私の代わりに戦って!晶と一緒に!!私の故郷をこの子と守って!』…どうよ!特別サービスであんたの名前入れてあげたわよ」
かなせんぱいはお父さん、お母さんが言うには凄い女優さんらしい。確かにTVでよく観るけど私からしたら昔から優しくしてくれるお姉さんだ。
よく読み聞かせや寸劇で遊んでくれる。
今日みたいにお父さんが珍しく仕事でいない時に苺プロに行くと基本かなせんぱいが遊んでくれる。
「硝太から話聞いて出来るだけあんたが1人にならないように頑張ってスケジュール合わしてるのよ。私ぐらいになるとある程度融通効くからね
学校は楽しい?」
優しいせんぱいが私は好き。
「うん!」
事務所に行くとかなせんぱいだけじゃなくて色々な人に会える。
「晶ちゃん大きくなったねー!今度私の動画に出ない?昔出た時反響大きかったしねー」
「MEMちょったら私の可愛い姪っ子に対して違う意味で邪だぞー?ルビーちゃんだよー!あきらー♪」
MEMちゃんと叔母のルビーちゃんに会えたり
「やぁ、晶チャン。今や一児のパパのコケよんだよ。ウチの息子と仲良くしてくれてありがとうネ」
お父さんの先生のコケよんと幼馴染のピエよんjrと遊んだり。
「晶…学校でバラさないでくれよ?夢を壊したくないし友達を失いたくない…」
切実な声で歳上の幼馴染に懇願される。
「あら晶、フリルさんのお仕事終わるまであそこに居る斉藤くんと遊んであげてもらって良い?」
「わかった!」
ミヤコママはずっと綺麗。おじさんやルビーちゃん、お父さんがこうこうせい?の頃の写真とあまり変わってない気がする。
斉藤くんは事務所のお手伝いさん。たまに遊んであげてる。いつも困った顔しているのが少し気に食わない。はっきりした態度を取って欲しい。
「ミヤコ…俺にあいつの子を任せるのは…」
「あの子への負い目がまだあるなら孫娘に優しくなさい…晶ももう6歳よ?会うたびにウジウジするからいまだにお爺ちゃん呼びされないんじゃない」
「それは、そうだが…」
「さいとうくん!一緒にびーこまちのDVD観ようよ!ルビーちゃんのやつ!」
「ああ!今行く!…あいつに父親らしいことしてやれば晶のジジイらしいこと出来たのかもな…これは罰だな」
「ええ、1番優しくて残酷な罰。
償ってきなさい」
「ああ、そうする。…晶!もう一つ、取っておきの観ないか?ルビーおばちゃん達のお歌のDVDだ!きっと気にいるぞー」
さいとうくん、いつも私と遊ぶ前にミヤコママとお話ししてる。落ち込んでたら可哀想だから良い子良い子してあげる。
「あきらー?お母さんだよー?待ったかなー?」
「お母さん!」
お仕事帰りのお母さんが迎えに来てくれたらまずはギュッと抱き付く。
ずっと変わらないいつものこと。
「お母さんね、今日はドラマで悪い人をいっぱい捕まえたんだよー?凄いでしょー?」
「凄ーい!カッコいい!」
「ありがとう!お母さん嬉しい!!でも1番カッコいいのはお父さんだから帰って来たらいっぱい言ってあげてね?」
「本当?お父さんカッコいいかな?」
ニコニコしてる姿しか分からない。怒るの苦手でゆっくりじっくり話して来る姿しか知らない。
「本当にお父さんはカッコイイの。また教えてあげる
…お義母さん、お義父さん。晶見てくれてすいません。あの、お礼とまでは行きませんけど美味しい和菓子屋さんの大福詰め合わせです。中に一つだけカロライナリーパー入りがありますから気をつけてください」
「気にしないでフリルさん。あと相変わらずロシアンルーレットなお土産はこの人に処理させるわね?」
「また俺か…」
「ちなみに青色です。2色あるから頑張ってください」
「ちくしょー!!!」
さいとうくんがまた叫んでる。うるさい。
「さいとうくん、うるさい」
「す、すまん…
な、なぁフリルちゃん。硝太は何処行ってんだ?また探偵の真似事か?」
「みたいですね。風祭さんと2人で京都に行ってます。人探しみたいですね。明日には帰るとか」
「…あぶないことしていないなら良いけど…
今度私達からも釘を刺すから。ごめんなさいねフリルさん。あの子のこと、よろしくお願いします」
「俺からも頼む。父親らしいことはしていないが、せめて幸せを祈るぐらいはさせてくれ」
「気にしないでください。また今度家族3人で遊びに行きますから」
長いお話が終わったみたいだ。早く帰りたい。
「晶ごめんねー?お母さんとお家帰ろ?」
「うん!ばいばーい、ミヤコママ、さいとうくん」
「バイバイ晶。また今度ね」
「じゃあな晶」
お父さんが居ない日はこんな感じ。
「晶、そう言えばミヤコママのところは学校から少し遠いよね?どうやって行ったの?近くにお友達居たっけ?」
「ツクヨミお姉ちゃんが送ってくれた!お姉ちゃん凄いんだよ!!烏とお話しできるの!」
「ツクヨミちゃんかーあの子にも今度お礼言わないとね」
「うん!」