人が気が付くはずのない騒動の発端
~上も下もない不思議な場にて~
ーーーーーーー。
呼んでいる。
ーーーーーーー。
呼ばれている。
ーーーーーーー。
応えてはいけない。答えてもいけない。
ーーーーーーー。
うるさい。煩い。五月蝿い。
ーーーーーーー。
貴様らの事など知る訳ないであろう。そもそも、なまえを知らぬのだ。呼べる訳あるまい。
ーあれらがお前に干渉するなら我らも干渉しても問題ないな。ー
「……………は?………まて。待て!………待て待て待て!!余計な!事を!するでない!!」
ーーーーーーー?
ーだからといって、渡す訳ないだろう?ー
「……うぐっ。くっそ………。何なんだ、この蔦!!びくともせんが!!?」
ーーーーーーー。
ーははははは。宣戦布告、として受け取らせて貰おう。ー
「〜〜〜〜〜!!!!………か、カミサマなど………だいっっっきらいだ〜〜〜〜!!!!」
ー………間に合わなかったか……。確か、あの時空の聖仙ヴィヤーサが世界が関連深いものを旅立たせていたな。彼が誘拐された位置に近いし、手助けとして派遣しておくか………。ー
ーでは、我はあのものを派遣しておこう。………愚かだが、加減できんよりましだろう。早計かもしれんがな。(訳:疑いの目を向けられるかもしれないが、己の担う力そのものを派遣しそうな他の神々よりも多分マシなのではないか?ヒトの感性など、良く分からんがな)ー
ー………言葉が足りんぞ、言葉が。「親子は似る」というヒトの世界の言葉があるが、似ない方が良かったと思ってしまうな。ー
ー………?……貴様は逆に、その心根が似ていないな?(訳:そういうものなのか?だが、お前の息子は正しい筈なのにバーサーカーのような言動をするし、お前の他のものへの配慮ある気遣いが出来てない事が多いよな?)ー
ー………ほおっておいてくれ……。ー
ー・・・ここは、いったい・・・?なんだか争ったような余波を感じるけど・・・ー
ーああ、成程。あなたが来た(引き込まれてしまった)のか。ー
ー説明する。同行を願おう(訳:先程何の騒動があったのかを簡単に説明しよう。後、貴女に依頼をしたいと願っているものが居るので、できれば付いて来てくれないだろうか)ー
ー・・・・・・。どうやら、また面倒ごとが起こっているようね。・・・・・。あなた達はまだ会話が通じるし、とりあえず話は聞いてあげるわ。案内して頂戴。ー
・
・
・
・
~ノウムカルデアにて~
「………………?」
「どうしたんだい、ガーンダーリー?」
「誰かが・・・・居なくなったような………?」
「!!……直ぐに、ダ・ヴィンチに確認しに行こう。お前のそういった勘は良く当たるからな。」
〜司令室〜
「ガーンダーリー王妃にドリタラーシュタラ王?司令室に来たってことは、特異点の記録を閲覧しに来たのか?数十分前から、ダ・ヴィンチはプリヨダナと道具を開発しているみたいで手が離せないけど、俺で良ければ手続きするぞ?」
「カルデア内で探して欲しい人が居るの。至急確認したいから、対応できないかしら。」
「それ位なら、俺でも出来るさ。付いてきてくれ。誰を探したいんだ?」
司令室の扉を開けると偶々近くに居たムニエルがガーンダーリーとドリタラーシュトラを見て不思議そうに首を傾げる。
ガーンダーリーの中にある喪失感は未だに主張し続けている。その不安を直ぐに解消したいため話かけると、ムニエルは笑って了承して幾つも並んでいる機械のうちの1つに2人を誘導してくれる。彼はその機械を起動させたのか、確認するように問いかけてきた。
「今カルデアに居る、私の息子達が全員揃っているか確認してほしいの。………先程から嫌な予感が無くならないの、直ぐに確認して頂戴。」
「まだ今日は誰も個人的な用事でレイシフトの機械を起動してないし、カウラヴァ関係のサーヴァントは暫く周回のシフトに入っていないはずだから、全員居るはずだと思うけど………。ちょっと待っててくれ。」
ガーンダーリの訴えに不思議そうに首を傾げながらも、ガーンダーリの様子が余程切羽詰まった様子に見えたのかムニエルはカタカタと何かを打ち込みながら機械を起動させる。
「最初にカルデアに召喚された、バーサーカーのドゥリーヨダナとその弟達は全員居るな。カリ化してるやつもそれぞれ寛いでいるみたいだな。アーユスの時空のやつも、ヴァスシェーナもちゃんと居るぜ。ユッダもマジカル☆ヨダナも問題なし、と。AIのヨダナとハタヨーダナはヴィヤーサの部屋に居るな。偽王はユユツ・オルタにギー壺されてて、プリヨダナはさっき言った通りダ・ヴィンチと一緒に何かを発明中。………これで全員だっけか?増えすぎたから良く分かんないんだよな。」
「いいえ。いいえ。まだ居たはずよ。私の大切な可愛い息子はまだ居るはずよ。」
ムニエルが映し出したホログラムのような映像にはカルデアの地図が表示され、色々な場所に点が表示されている。恐らく、それがガーンダーリの息子達が居る場所を示して居るのだろうことは予想がついた。
不思議そうに振り返って確認してくる彼に対して、何故か誰かが呼ばれていないという確信だけがガーンダーリーを突き動かしていた。
「う〜〜〜ん…?探してないやついたか?………悪い。名前を教えてくれないか?名前を記入すれば、一発でどこに居るかの大体の場所がー」
「あれ。君達、こんな所で何しているんだい?」
「ダ・ヴィンチ。道具の開発は終わったのか?」
「大分工程が面倒臭かったけど、きっと役に立つと思うわ。………あら。どうしたの、そんなに不安そうな顔をして………。」
ムニエルは暫く考え込むが、その誰かが思い当たらなかったのか申し訳無さそうにガーンダーリーに問いかけてくる。だが、ガーンダーリー自身でも喪失感は感じるものの、それが誰なのかを言語化することが出来ないでいたためどう答えたらいいのか戸惑っていると道具の発明が終わったのか、ダ・ヴィンチがこちらに近寄ってくる。
プリヨダナが疲れたような顔をしながらも彼女の後ろから付いてきて、代わりに答えたがガーンダーリの顔を見て眉をハの字に下げる。
「いや…。ガーンダーリー王妃が息子達が全員居るか調べて欲しいって急に頼み込んできたんだ。不安そうだったから、全員どこに居るのか調べたはずなんだが、誰かを調べきれていないらしいんだよな。」
「…………うそでしょ。」
「どうしたんだい、プリヨダナ?」
「あなた、何か知っているの!?」
腕を組みながら考え込むように話すムニエルに対して、何かを察したのかプリヨダナはガーンダーリーを見つめて少し目を見開き驚いているような顔をする。
何に驚いたのかが分からなかったのか不思議そうに問いかけるダ・ヴィンチの言葉を聞きながらも、ガーンダーリは思わずプリヨダナに詰め寄ってしまう。
「………。知っていると言えば知ってるし、知らないと言えば知らないわ。」
「それって、どういう………。」
「………。詳しい話は言えないわ。情報を伝え過ぎると、気付かれて閉ざされる可能性があるの。」
「項羽の演算と似たようなものかい………?」
「違うけど。…………一番近い現象はそれかしらね。」
何とも言い難い表情をしながらもプリヨダナは言葉を紡ぐ。不思議そうなムニエルに対して彼女は顔を左右に振るだけで答えようとしない。
以前、夢の中であるものの似たようなことが起こる可能性をマスター経由で聞き記録していたため、それを思い起こしダ・ヴィンチが問いかけるが一度バッサリ否定するものの、暫く考え込み肩を竦めながらも彼女はそれを肯定する。
「………。今、何か出来ることはないのかい?」
「いいえ、何も。………暫く経てば、多分カルデアでもその原因を観測することが出来ると思うわ。………今、私が伝えられるのはここまでよ。…………自室に戻っても、いいかしら。」
「………そんな………。」
「………教えてくれて有難う、プリヨダナ。………ダ・ヴィンチ、異変を観測したら一番最初に私達に伝えてくれ。レイシフトメンバーに選ばれなくても、解決をしてくれるのなら最大限の礼を尽くそう。」
静かに問いかけるドリタラーシュトラに対してプリヨダナは顔を左右に振り、眉をハの字に下げながらも言葉を紡ぎ続ける。
焦燥感が解決出来ないことに呆然としてしまうガーンダーリーに対して、ドリタラーシュトラは両手をきつく握りしめながらも頭を下げて礼を言う。その後ダ・ヴィンチの方へと体を向け同じように頭を下げた。
「………。お礼なんていらないわ。伝えたかったから、伝えただけだもの。………それじゃあ、失礼するわね。」
「カルデアでも総力上げて原因を調べ上げるつもりだ。済まないが、暫く待って欲しい。」
何とも言い難い表情をしながらもプリヨダナは司令室から退出していった。
ダ・ヴィンチはしっかりとガーンダーリーとドリタラーシュトラを見つめ返し約束をとりつけてくれた。
「………ガーンダーリー、戻ろう。」
「ダ・ヴィンチ。少しでも早く、あの子の無事を確認したいの。どうか、宜しくお願いするわね。」
邪魔になるだろうと判断し、後ろ髪を惹かれつつもドリタラーシュトラとガーンダーリーは司令室から退出していった。
~設定~
◯■■■■■
■■■■■■■■を使われてカルデアにバレない形で誘拐されてしまった。
本人は騒動にならないよう干渉値が下がるまで無視(我慢比べを)し続けてカルデアに戻ろうとしていたが、インドの神々が介入してきたためうっかり反応してしまった。
最終的に、■■■■神話の■■■■■■の蔦に囚われてしまっている。
◯■■■■■で綱引きのようなものをしている謎の神々達
マイナスとマイナスをかけてもプラスにならない、駄目な例。
お気に入りのおもちゃを絶対に渡してなるものかって意地になっている子供のような騒動を引き起こしている。人間の味方側に立つ■■たちと■■■■のプリトヴィーは頭を抱えているが干渉できる場を整えていないため、観る事しか出来ない。
先に夢で干渉し始めたのは■■たちだが、対抗するようにインドの神々も干渉できる場を整えるため同じようなことをしでかしてる。直接対決したら世界滅亡なので加減はするつもりだが、力の一部ならいいよね?って考えているモノもいる。
急募:神を退散させる術。
◯上も下もない不思議な場からたまたま遠くの位置にいたため、乗り遅れた■■■■の2組。
天然ボケと苦労神。予想のしやすい御仁たち。
上記の神々たちよりもマシだか、やはり何処かズレている。
カルデアが介入するだろうと考え■■■■■が囚われた場所に何かを送ったようだが………?
過干渉にならないようには気を付けてはいる。
〇カルデアのガーンダーリー
普通なら気が付かないはずなのだが、なぜか気が付いてしまった。
■■■■■■■■の影響で誰なのか思い出せないが、攫われたことを察知している。
自分の無力さに不甲斐ない気持ちを抱きながらも、特異点が観測されレイシフトメンバーに選ばれたら暴れまわる気満々。
私の愛しい子供を返しなさい(激オコ)。
ドリタラーシュトラも静かにキレ散らかしている。
〇プリヨダナ(1臨の姿)
動けない■■■■のプリトヴィーの代わりか、それとも別の理由があるのか、なぜか神々が解散した後の”不思議な場”に引き込まれてしまった。乗り遅れた2組と何かしらのやり取りをしているようだが・・・?
ダ・ヴィンチの協力を得ながら何かの道具を作っていた。
知っていることをガーンダーリーに共有できないことを申し訳なく思っている。