残酷な事実か、最悪な嘘か

残酷な事実か、最悪な嘘か



IFローの想像妊娠ネタ&妻として扱われている概念でちょっとした話

もうIFローが兎に角可哀想、救いは無いのか

手を出されてる世界線で大分下品な内容だし、終始やることやってる

IFローに変な事言わせるの嫌な人は見ちゃ駄目な内容になっちゃったけど、自分が見たかったんだ許して



 ドフラミンゴに囚われてもうどのくらい経っただろう。1年、いやそれ以上か?

 正確な時間が分からないから、今の俺の日時の測定の頼りはドフラミンゴの「おはよう」「おやすみ」の挨拶だけだった

 ただここ最近は「おはよう」も「おやすみ」も聞いていない

 ドフラミンゴと顔を合わせる事が無いから?いや、それならどれだけ良い事か


「んんッ!ひああァあッ!!!ぅッ…ん、あ、ぁあ!ハァ、やあぁ…や、やら…も、やぇて……ああッ!」

「フッフッフ、何だ?もうへばったのか?」

「お、ねがッあっあア!いやっ!やす、やすまへ…あァああ!!ぉあ゛!ひぎゅ!!」






 それは、どのくらい前だったか。日付の間隔が無いから分からないが、少なくとも昨日今日ではない


「子供でも作ろうか?」

「……は?」


 何を言っているのかさっぱりだった

 少し前、それまでは部屋からはおろか鳥籠からすらろくに出してもらえなかったのだが、ある時突然旅行へ連れて行かれた

 俺の事は正体不明ではあるが皆『妻』として扱ってくる。それも病弱な、常にドフラミンゴに支えてもらわなければ満足に出歩く事も出来ない程にか弱い妻と

 最初の方こそそう周りに言われる度に吐き気を催したが、最近は無心になって乗り切っていた

 そんな妻を甲斐甲斐しく支える夫

 世間から見れば理想の夫婦であるが故に、ドフラミンゴに定期的に取材が入るらしい

 真っ赤な噓を何の恥ずかしげもなく並び立て、俺からすれば悍ましい記憶を脚色に脚色を重ねて美談へと仕立て上げて語られる

 そうして世間で『ドンキホーテ夫妻』という存在を確立させていった中で、ベッドに連れて来られて突然言われた一言がそれだった


「いやな、今日記者に聞かれちまってよ。子供は作らねェのかってな。妻が病弱だから無理はさせたくねェと答えたが、まァこういうのは授かりものだからなァ」


 ニヤニヤといつもの笑みを浮かべながらへばり付く様な、嫌な視線を俺に向けてくる

 駄目だ、嫌だ、このままここに居続ければ確実に最悪な事が起きる

 咄嗟にベッドの上から飛び降りた、兎に角逃げたくて、だけど健に傷が入っている足じゃ走る事も出来なくて、体力が全くない身体じゃ部屋の扉の前に辿り着くまでに立っている事すらままならず、ドアノブに手が届く直前で床にへたり込んでしまった

 振り返ればすぐ後ろには楽し気に、嘲笑っているかのような笑みを浮かべているドフラミンゴがいた

 伸びてくる手から逃れたくて、体を捻ったり、床を這って逃げようとしたが、抵抗は何の意味も為さず、ドフラミンゴに抱え上げられてベッドへ連れ戻された

 服に手を掛けられて、嫌だと暴れても意に介さない様子で簡単に脱がされた


「ま、まって…むり、むりだから……」

「ん?何がだ?」

「だって、だっておれ、おとこだから…にん、し…なんてしな……」

「あァ何だそんな事か」


 当たり前の事を言った、そうしたら流石に諦めるだろうと、そもそもこれだってドフラミンゴが単にシたいだけで口実として言っているだけだと思った

 しかしそれが何だとでも言いたげにドフラミンゴは笑っている


「フッフッフ、今じゃ俺の方がお前の体に詳しいくらいにお前の体を弄ってきたんだ、それなのにまだそんな事言ってるのか?」

「…へ?」


 ドフラミンゴの覚醒能力で何度も体をただの糸にされて、そこからまた人の形に戻されたり、全く違う別の何かにされたり、子供にされたり、それこそ女にされた事もあった

 だけどそれだけだ、子宮なんて物は流石に再現出来ない筈だ

 これはドフラミンゴが俺を不安にさせる為の嘘だ、その筈なんだ


(でも、もしも本当だったら?)


(違う!そんな訳ない!)


(でも心臓だって再現出来るのに、脳だって元に戻せるのに、子宮だけ出来ないなんて本当にそう言い切れる?)


(でも、だって…それじゃあ……)


 途端に不安感が溢れて止まらなくなった

 無いって本当に言い切れるのか分からなくなった


「う、そ…うそ、でしょ?ねェ、ドフィ……?」

「フッフッフ、さァてどうだろうなァ?」


 違う

 違う筈

 違っていて

 お願い


「う、うあ……」


 嫌だ

 怖い

 止めて

 助けて


 それからが地獄だった

 いや、ここは元から地獄だ。それが悪化した

 毎日抱かれた

 抱かれていない時を、いや、何もされていない時を探す方が難しいくらい常に蹂躙された

 ドフラミンゴが城に居る時は常に抱かれているし、食事なんてろくに摂れないし風呂だって何の為に入っているのか分からない状態だった

 ドフラミンゴが城に居ない時は休めるかと思った。だけどそんなのは俺の勝手な勘違いで、俺の願望であったとすぐに突き付けられた

 仕事等で城を開ける時は催淫剤を飲まされた

 常に身体が火照って頭が働かなくなり、自分の意思とは関係なく身体が快楽を求め、その状態であいつの糸人形に道具を使って辱められた。だが絶頂だけは与えられず、生殺しの状態が延々と続く

 そんな状態でドフラミンゴが戻ってくれば、もどかしくて熱くて苦しくて仕方がないこの身体を何とかしたくて、してほしくて、動く際の布擦れや、空気の流れですら甘い刺激に変換されて声が漏れながらもドフラミンゴに縋り付いて、全く働かない頭は即物的な要求を紡いだ


「ふ、ぁ…ろふぃ、ろ、ふぃ……くるひ…ぅ、ふぅ…あっ、たひゅ、けへ…んぅッ……は、はァ…あぁ…らいて…らいてくらはい……あっん…イ…イか、へ、てェ……」


 この時自分が何を言っているのか、自分自身ですら理解出来ていなかった

 汗も涙も唾液も鼻水ですら拭う事を忘れてグチャグチャな自分を自覚する事すら出来ず、ただドフラミンゴが俺を見て笑い、服を脱ぎ出した時、この苦しみから解放されると安堵して笑った事は確かに覚えている

 そこからは酷い物だった


「あ゛ぁぁぁあ゛ぁ!!やっ!そこやぁぁあ゛ぁぁ!!」

「そこ?そこってのはどこの事だ?」

「んぉ゛!ぉ゛あ゛ぁあ!!おぐッ!!お゛ぐぅ!!け、っちょぉお゛ぉ゛お゛!!ああ゛ッ!!」

「おいおいロー、何度も言ってるだろ?それなのにまだ間違えるのか?」

「ひぃ!!ごえ、ごえんあひゃッ!!ぉ゛ん!お゛ぉあ゛!!ぽ、りゅ、ぽりゅちお!!も、もぉいやぁぁあああ!!ぽりゅちおもぉやぇて!!ゴチュゴチュしないれぇえええ!!」


 無い筈の女性の体の部位を言わされて、でも頭が回っていないから何も違和感も覚えずに叫んで、のし掛かられて抵抗の為の身じろぎすら出来ず、腹が膨れる程にナカに出されて、でもそれでも終わらずに嬌声を上げる事しか出来なかった


「あ゛~っ!あ゛ぁあぁぁあ!!ーーッ!!はひっ、はッ、あぁ…あ゛ぁ――…あ゛――ッ」

「あぁ、フッフッフ、毎日これだけ出しゃ孕むかもなァ?」

「……やぁ…に、んし…ん……やらぁ……」


 ダラダラと開いたままの口から流れ落ちる唾液がシーツに染み込んでシミを作る

 何度イったか分からないくらいイかされて意識が薄れていく




 これをドフラミンゴは妊活の範囲内だと言ってくる

 これが?

 こんなのどう考えても拷問の類いだ


 そんな生活を続けて暫くした頃、体調を崩すようになった

 思い当たるのはドフラミンゴが不在にする際に俺に飲ませてくる催淫剤。あれを定期的に飲まされるせいで体調を崩したんだろう

 それをそのまま伝えるとあの拷問のような妊活とやらは終了した

 このまま回復しても暫くの間は体調不良のふりをしていようかと思ったが、俺が思っていたよりも体調不良は長い期間続いた

 常に熱っぽく、気怠い

 幸い妻扱いのお陰で清潔なベッドの上で一日を過ごせるようになったのもあって快適に過ごせていた

 だが薬はもう抜けたであろう日数が経ったにも関わらず、体調不良は変わらなかった

 そんなある日の事だった


「ッ!!うぷっ、ぉえ!!ぅ、おご、ぅえ…ゲホッ!ゴホッ!!」


 その日は吐き気が酷くてトイレから出られなかった

 元々大して食事が摂れていなかったせいで吐くのは直前に飲んでいた水。それすら吐き終えれば胃酸を吐いた

 息を切らしてぼうっと自分の吐瀉物を眺めていた

 背後で足音が聞こえて重たい頭を動かして後ろを見れば、そこには楽しげに笑うドフラミンゴが立っていた


「ド、フ……」

「大丈夫か?」

「あ…だい、じょう…ぶ……」


 まだ意識が不鮮明な俺をドフラミンゴが抱き寄せて持っていた水を俺に飲ませてきた

 胃酸で痛む喉が水で潤ったお陰で少し落ち着いた


「も、だいじょぶ…だから……」

「そんな顔色で大丈夫なんて言われて信じられるか?」

「でも……うっ!」


 ほんの少し落ち着いた嘔気が一気にぶり返し、俺はまた思い切り吐いた

 吐いている最中ドフラミンゴに背を摩られ、またようやく落ち着いた頃にドフラミンゴは俺の頭を撫でてきた


「はぁ、はぁ…っ、はぁ………」

「もう暫く様子を見ていた方が良いな」

「ぅあ……」

「……?」


 ふと、何かに気が付いた様な表情を浮かべるドフラミンゴに俺は首を傾げた


「な、に…?」

「……あァ、そうか……そうか、フッフッフ!」


 ニヤリと吊り上がる口角に一気に鳥肌が立った。一体何に笑っている?ドフラミンゴは一体何に気が付いた?

 薄ら寒い何かに小さく震えていればドフラミンゴが口を開いた


「ロー、お前身籠もったのか?」


「……は?」


 何を言っている?

 みごもった?

 本当に何を言っているんだこいつは、そんな訳無いだろう

 だって俺は男なんだ、それなのに妊娠なんてする訳が無い、ある筈が無いんだ


―今じゃ俺の方がお前の体に詳しいくらいにお前の体を弄ってきたんだ、それなのにまだそんな事言ってるのか?―


 あの拷問の様な妊活とやらが始まる前にドフラミンゴが言った言葉が脳裏に浮かんだ

 本当だった?

 そんな筈無い

 ならここ暫くの体調不良は?

 この異常な吐き気は?


 反論をしたくて震えながらもドフラミンゴを見れば、ドフラミンゴは変わらず嫌な笑みを浮かべていた

 言葉が出ない

 声が出ない

 はくはくと動く口が、震える喉がようやく声を、言葉を絞り出した


「…うそ、って…いって……」


 それは反論とは呼べない、弱々しい願いだった


「フッフッフ、フフフフフ!!」


 俺の言葉にドフラミンゴは答えず、声を上げて笑い、そして俺の腹を撫でてきた。それはそれは優しい手付きで、愛おしそうに俺の腹を撫でた


「楽しみだなァ?ロー」


 その一言に堰を切った様に涙が溢れた


「あ……あぁぁぁ……」


 呻き声の様な鳴き声しか出ず、俺はドフラミンゴに寄り掛かって泣き続けた

 嘘であると言い切りたいのに、そう判じる事が出来ない程に俺は身体を弄られ過ぎた

 ドフラミンゴが何か言っているが何も耳に入ってこない


 何でこんな事になったんだろう

 俺、何か、ここまでの事をされる程の事をしたのだろうか


 分からない

 考えても何も分からない


 …………


 嗚呼、もう、良いか

 受け入れてしまおう

 そうすればもう辛い事も苦しい事もない。使用人だって殺されないし、クルーの遺品が壊される事だってない

 ドフラミンゴの機嫌が良くなれば誰も傷付かないんだ

 嫌だけど、心を殺してしまえば何も辛くない


―俺はドフラミンゴの病弱な妻で、そしてドフラミンゴの子を身籠もった―

 

 受け入れてしまえばほら、もう辛くないだろう?


「……ドフィ」

「ん?」

「たのしみ、だね……?」


 腹を撫でるドフラミンゴの手に左手を添えた

 零れ落ちる涙はきっと嬉し泣きなんだと自分に言い聞かせた








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