正義の為に
※宿儺が死にますある日、僕は怪物を目にした
最初は幻覚だと思っていた
だけど怪物はずっと視界の中にいた
しばらくして怪物が見える生活にも
慣れてきたが、ある日怪物が襲ってきた
僕は必死に逃げて逃げて逃げ続けた
だけど怪物はニヤニヤしながら
僕を余裕そうに追いかけてきた
とうとう体力が切れ怪物に追いつかれた
怪物は僕を喰らおうと大きく口を開けた
その瞬間、僕の中の何かが弾けた
僕は本能のまま怪物を殴り続けた
どのくらい時間が経ったかはわからない
怪物はいつの間にか消えていた
それが初めて”呪霊”を祓った瞬間だった
今、僕の目の前にいるのは
死にかけの両面宿儺
その隣では狐の式神が消えかけていた
案外、弱かった
いや、強いには強いが
それ以上に僕が強かった
拡張術式で鎖を生み出し宿儺を縛る
「晴に…手を出してみろ
その時は、俺が必ず…殺す…」
死にかけの宿儺がそんな事を言ってきた
何、一丁前に被害者面してんだよ
そう、心の中で悪態をつく
「安心しろ、禪院晴には
やってもらうことがある
すぐには殺さないさ」
そう言って僕の縛りを押し付ける
縛りによる死は避けられない
結んだ事実があるのならば
縛りを結んだ体が本体でなくとも
死を強制する。
故に今ここにいる宿儺は必ず死を迎える
しかし、ここで殺した宿儺は3本分のみだ
まだ17本分残っている。
そこでスマホを取り出し電話をする
「楽巌寺学長、
禪院晴の裏切りが確定しました。
証拠はまた後ほど」
僕は僕に為に無辜なる人々を守る
「ええ、はい、ですが死刑には”まだ”
しないでいただきたいのです。
彼女にはまだ
やってもらうことがあるので
ああ、できれば軟禁でお願いします
彼女の術式は危険なので
無効化できる僕が食事を運びますよ」
時代遅れの老害には死を授けよう
「ああ、盗聴の危険はありませんよ
あらかじめ彼女の式神も周囲の鴉も
殺していますので」
誰かを守る為なら何だってしよう
「…え?何でこんな事をするのかって?
そりゃ勿論、正義の為ですよ」
そう、僕の薄っぺらい正義の為に
特級呪術師、禪院晴を呪詛師認定
また2級呪術師、口岡明人の証言により、禪院晴は宿儺解放に手を貸したとされるが、両面宿儺への交渉材料になるとされ
処刑は保留となっている。